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☆.宮城県における調査結果概要


名取川・釜房ダムでブタクサハムシが初めて確認されるなど、都市河川や人為的影響を受けるような場所では、外来種に注意が必要。
釜房ダムではダム堤体などの人工構造物をコウモリ類が利用している。

【宮城県内 調査結果概要】


 宮城県内の阿武隈川で両生類・爬虫類・哺乳類調査を、名取川で陸上昆虫類等調査を、鳴瀬川で魚介類調査と底生動物調査を、北上川で鳥類調査を実施しました。
 阿武隈川(福島県含む)は、平成15年度に両生類・爬虫類・哺乳類を調査した全国河川のうち、確認種数で上位に位置し、全国的に見ても多様な生息環境を持つ重要河川といえます。

両生類 10種(3位/31河川)
爬虫類 10種(3位/31河川)
哺乳類 22種(1位/31河川)


 名取川は、平成15年度に陸上昆虫類等を調査した全国河川のうち、中間的な生息環境を持っている河川といえますが、都市河川であることから人為的な影響等、今後の環境変化に注意が必要です。

陸上昆虫類等 875種(18位/27河川)


 鳴瀬川は、平成15年度に魚介類・底生動物を調査した全国河川のうち、確認種数で上位に位置し、全国的に見ても多様な生息環境を持つ重要河川といえます。

魚類 53種(11位/43河川)
底生動物 220種(11位/25河川)


 北上川(岩手県含む)は、平成15年度に鳥類を調査した全国河川のうち、確認種数で上位に位置し、全国的に見ても多様な生息環境を持つ重要河川といえます。

北上川 140種(2位/31河川)


 宮城県内の七ヶ宿ダムで陸上昆虫類等調査を、釜房ダムで両生類・爬虫類・哺乳類調査と陸上昆虫類等調査を、鳴子ダムで魚介類調査と底生動物調査を実施しました。
 七ヶ宿ダムの陸上昆虫類等の確認種数を見ると全国的に中位に位置しいます。

陸上昆虫類等  1,407種(12位/29ダム)


 釜房ダムの両生類・陸上昆虫類等の確認種数を見ると全国的に上位に位置し、いずれの調査結果を見ても多様な生息環境を持つ状況といえます。

両生類 10種(6位/22ダム)
爬虫類 7種(15位/22ダム)
哺乳類 18種(10位/22ダム)
陸上昆虫類等 1,613種(7位/29ダム)


 鳴子ダムの魚介類・底生動物の確認種数を見ると全国的にほぼ中位に位置しています。

魚類 21種(8位/18ダム)
底生動物 106種(13位/17ダム)


宮城県河川・ダム概略位置図
【既往調査との比較】


 名取川では、河畔林のエノキやエゾエノキを幼虫の食樹とするオオムラサキ(準絶滅危惧)が、鳴瀬川では中・下流域で水質が良く比較的流れの穏やかなところを好むタナゴ(準絶滅危惧)が初めて確認されるなど、良好な水辺環境であることが見受けられます。
 また、北上川ではラムサール条約で知られる伊豆沼・内沼が、周辺に位置していることから、コクガン(絶滅危惧U類)、マガン(準絶滅危惧)等、ガン・カモ類が既往調査同様に確認されております。
 都市河川として人為的な影響が懸念される名取川及び釜房ダムでは、全国的に生息環境を拡大させているブタクサハムシが新たに発見されるなど、河川環境について今後の注意が必要と考えられます。
 七ヶ宿ダムでは、スジグロチャバネセセリ(準絶滅危惧)が平成15年に調査した29ダムのうち、唯一確認されました。
 釜房ダムでは、既往調査同様に、日本の国蝶であるオオムラサキ(準絶滅危惧)が確認されました。また、コウモリが堤体内監査廊などで確認され、人工構造物を一時的なねぐらに利用していることが明らかになりました。
 鳴子ダムでは、魚類のスナヤツメ(絶滅危惧U類)、底生動物のモノアラガイ(準絶滅危惧)が既往調査同様に確認されました。外来種はニジマスが新たに確認されました。
 宮城県における阿武隈川、名取川、鳴瀬川、北上川、七ヶ宿ダム、釜房ダム、鳴子ダム、河川・ダム湖共通で全体的に見ても、動植物とも生息環境に大きな変化は見らなかったため、生息生育環境が安定していることがわかりました。

 ラムサール条約とは、正式名称を「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といい、1971年、カスピ海沿岸イランのラムサールで採決されたことから、通称「ラムサール条約」とよばれています。


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