名取川では、河畔林のエノキやエゾエノキを幼虫の食樹とするオオムラサキ(準絶滅危惧)が、鳴瀬川では中・下流域で水質が良く比較的流れの穏やかなところを好むタナゴ(準絶滅危惧)が初めて確認されるなど、良好な水辺環境であることが見受けられます。
また、北上川ではラムサール条約※で知られる伊豆沼・内沼が、周辺に位置していることから、コクガン(絶滅危惧U類)、マガン(準絶滅危惧)等、ガン・カモ類が既往調査同様に確認されております。
都市河川として人為的な影響が懸念される名取川及び釜房ダムでは、全国的に生息環境を拡大させているブタクサハムシが新たに発見されるなど、河川環境について今後の注意が必要と考えられます。
七ヶ宿ダムでは、スジグロチャバネセセリ(準絶滅危惧)が平成15年に調査した29ダムのうち、唯一確認されました。
釜房ダムでは、既往調査同様に、日本の国蝶であるオオムラサキ(準絶滅危惧)が確認されました。また、コウモリが堤体内監査廊などで確認され、人工構造物を一時的なねぐらに利用していることが明らかになりました。
鳴子ダムでは、魚類のスナヤツメ(絶滅危惧U類)、底生動物のモノアラガイ(準絶滅危惧)が既往調査同様に確認されました。外来種はニジマスが新たに確認されました。
宮城県における阿武隈川、名取川、鳴瀬川、北上川、七ヶ宿ダム、釜房ダム、鳴子ダム、河川・ダム湖共通で全体的に見ても、動植物とも生息環境に大きな変化は見らなかったため、生息生育環境が安定していることがわかりました。
※ラムサール条約とは、正式名称を「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といい、1971年、カスピ海沿岸イランのラムサールで採決されたことから、通称「ラムサール条約」とよばれています。
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