このコーナーでは、皆さんから寄せられるよくある質問や、鳴子ダムに関連する疑問をQ&A形式でお答えしていきます。また、鳴子ダムに関する疑問や質問があればご意見をお寄せ下さい。
明治維新までは伊達62万石の藩領に属していたが、廃藩置県により宮城県の管轄に移り、明治22年自治制施行とともに温泉村及び栗原郡一迫村から分村した鬼首村の2か村より構成、大正10年4月20日温泉村が川渡村と鳴子町に分村したが、昭和29年4月1日町村合併促進法により、温泉村、鬼首村、川渡村が合併して鳴子町となった。
大谷川と江合川の造る渓谷は景勝地が多く、その河畔至るところに温泉が湧出していて、東北屈指の一大温泉郷となっていました。 産業は一応農業をしていましたが耕地が少なかったため、主産業として林業と温泉の利用開発が行われていました。 貯水池の実態としては、
ダムの建設にあたっては、日本人のみで初めて造ったダムということで、ダムの設計ではずいぶん苦労したそうです。特に当時はコンピュータはなく全て手計算で行っていました。ダムの設計には1年を要したと記録されております。
工事においても試験を行いながら安全性を確認した上で、実施していたものですから、今現場で行われている普通のことが普通ではない状況であったものと思わ れます(ちなみに岩盤を抑えるロックボルト工法については、鳴子ダムで試験的に実施したものが今普及しているものです)。
安全面においても、建設工事の内でも特にダム工事における労務者の災害発生率は高く、従来は1億円に1人、1000kwに1人とかの犠牲は当然のこととされていたようです。
特に本ダムは地形が急峻で、急勾配の掘削が要求されている箇所のため、作業上危険度が高く、多数の災害発生が予想されたため、古川労働基準監督署の監督官 が長期派遣により、災害防止の直接の指導を行っていたようです。鳴子ダムの工事にあたっては、14名の方が亡くなっておりますが、、官労使一体となり災害 防止に努めた結果、工事の難易、地形の急峻さからみて、割合に少なくてすんであります。
明治43年(1910)の水害は、宮城県でも各地に被害をもたらしましたが、中でも温泉村(花淵山一帯の村で今の鳴子町)と鬼首村は県内で最も多く死亡者 と行方不明者を出しました。鳴子・川渡地区のみで、死亡110人、行方不明者28人、流失173戸、崩壊156戸、破損10戸に達しました。
荒雄川(江合川)は水害を起こすことが度々あったため、大正6年(1917)以来改修工事を行ってきました。
昭和戦後には、昭和22年(1947)のカスリーン台風、23年のアイオン台風、24年のキティ台風、25年の大豪雨と毎年の洪水によって、至るところ堤防は破堤し、河川の氾濫によって流域一帯が被害を受けました。
昭和22年(1947)のカスリーン台風では、各所で堤防の決壊や田畑の冠水があり、鬼首の荒雄川大橋が流出、東北大学鳴子分院(現農民の家)も大半流 出、道路の至るところで欠損、鉄道は不通になる被害を受けました。その復旧工事がようやく軌道に乗ってきた頃に、23年のアイオン台風がおそって来まし た。大崎地方では、田の実作面積15507町歩のうち、8055町歩(約半分)で、当地の河川沿いの田はほとんど冠水する被害を受けました。
地形地質調査(ダムを造るために必要な調査)、工事用道路(ダムを造るために必要な道路)、仮排水トンネル・仮締め切り工事(ダムを造るために河川を切り 換える工事)、仮設備工事(ダムを造るために必要な設備)、基礎掘削工事(ダムを造るために頑丈な岩盤を造ること)、堤体コンクリート工事(ダムを造るこ と)、基礎グラウト(ダムに水が貯まったときに漏れないようにする工事)、トンネル余水吐き工事(洪水調節をするための水路)、管理施設(ダムを管理する ための設備)、諸設備撤去工事(ダムを造るために必要だった設備を撤去する工事)など様々な工事のために、時間を要しています。
地震の時は、いつどんなときに発生するか分かりませんので、地震発生後は管理に出動し、ダムや貯水池に異常がないか確認をしております。異常を確認するためには、毎日のダムの管理が欠かせません。日頃からのダム管理重要です。
ダムの高さ:94.5m(アーチダムでは4番目に古い、日本人のみの手では1番)
ちなみにアーチダム高さ1位:186m黒部ダム 富山県 関西電力(株)1961年完成
ダムの長さ:215m
ダムの堆積:18万立方m(大型バス2200台分)
ダム建設にかかったお金:32億円(当時)…現在では約180億円(5.5倍治水経済調査デフレーターH12/S35より)
ダムの構造はアーチ式ダムで、天端259.5mで幅5m、基礎部分165mは幅28mあります。
ダムの機能を正常に管理するため、鳴子ダムには、上段監査廊215m(天端から44.5m)、下段監査廊179m(天端から80.5m)があります。
ダムの堤体には、下流のかんがいに供給できるよう取水塔(225m)が設置されており、緊急時の放流設備として予備ゲート(210m)も設置されています。
(緊急時の放流設備とは?)
かんがいにより、231mより下たから取水できることやダム堤体に万が一の危険性があり水位を低下する必要がある場合などに利用する。
鳴子ダムの水質は、宮城県が作成した公共用水域水質測定計画により、水質環境基準【湖沼(天然湖沼及び貯水量1,000万立方メートル以上の人工湖)】でAA類型(最高ランク)に指定されております。
CODは水質汚濁を示す代表的な指標で、有機物量のおおよその目安として採用されており、水の有機物汚染がすすむ程その値は大きくなります。一般的には1〜8mg/リットル以下と定められています。
鳴子ダムでのH15年の全層平均値は1.7mg/リットルであるため、きれいな水といえます。
基準値AA
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基準値A
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H15平均(全層平均)
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水素イオン(pH) |
6.5以上8.5以下
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6.5以上8.5以下
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6.8
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化学的酸素要求量 (COD) |
1mg/リットル以下
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3mg/リットル以下
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1.7
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浮遊物質量(SS) |
1mg/リットル以下
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5mg/リットル以下
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5.0
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溶存酸素量(DO) |
7.5mg/リットル以上
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7.5mg/リットル以上
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10.2
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大腸菌群数 |
50MPN/
100ml以下 |
1,000MPN/
100ml以下 |
778MPN/
100ml以下 |
【小学生用】:水のきれいなところに生きている(渓流の清水域に生息する)イワナやヤマメ等が生きていける(生息できる)ぐらいの水ですから、鳴子ダムの水はきれいです。
(根拠:)生物化学的酸素要求量(BOD)
渓流の清水域に生息するイワナやヤマメ等 2mg/リットル以下、サケ・アユ3mg/リットル以下、比較的汚濁に強いコイ・フナ等5mg/リットル、一般的には 1〜8mg/リットル以下。鳴子ダムのBODは H15平均(全層平均)0.7mg/リットル
台風の時は、台風の影響が鳴子ダムや下流江合川に重大な被害を及ぼすことにならないか、それを防ぐことはできないかなどについて、様々な情報を取り入れな がら、管理所で待機しております。また、ダムからの放流に対して、下流の皆様に情報を提供し、万一の洪水の被害に対する注意を喚起しております。
地震の時は、いつどんなときに発生するか分かりませんので、地震発生後は管理に出動し、ダムや貯水池に異常がないか確認をしております。異常を確認するためには、毎日のダムの管理が欠かせません。日頃からのダム管理重要です。
鳴子ダムでは、平成2年度より河川に生息する生物の調査、河川空間の利用実態調査などを行う「河川水辺の国勢調査」を実施しています。
「河川水辺の国勢調査」は河川に関する事業の実施や維持管理を適切に推進するため、河川を環境という観点からとらえた基礎情報収集整備を目的としております。
鳴子ダム周辺では、多種多様な生物が確認されており、自然景観に恵まれていることが分かります。主な生物は下記のとおり。
魚介類:確認種数23種
内、特定種:スナ、ヤツメ
植物:確認種数859種
内、特定種:フクジュソウ、オオニガナ、オオハクウンラン他55種
鳥類:確認種数96種
内、特定種:オシドリ、オオタカ、クマタカ、ヤマセミ、カワセミ、ミサゴ、オジロワシ、イヌワシ、ハチクマ、ノジコ
両生類:確認種数13種
内、特定種:トウホクサンショウウオ、クロサンショウウオ、ハコネサンショウウオ、タゴガエル、モリアオガエル、カジカガエル
爬虫類:確認種数7種
内、特定種:なし
哺乳類:確認種数16種
内、特定種:ニホンカモシカ、ヤマコウモリ
陸上昆虫類:確認種数1439種
内、特定種:カラスシジミ、ゴマダラチビゲンゴロウ、タカネトンボ、ギンイチモンギセセリ、スジグロチャバネセセリ、ヤマトゴマフガムシ
鳴子ダムに集まる水は210.1平方kmの面積に降った雨の量が集まり、その水は2.1平方kmの湖に貯まります。ダムに貯めることができる水の量は5000万立方mです。
210.1平方km…鳴子町の面積の64%、東京ドームの約4500倍
2.1平方km…鳴子町の面積の6%、東京ドームの約45倍
5000万立方m…東京ドームの約40倍
−−引用−−
ダム上流で捨てられたゴミ等も流れてきます。
ゴミは捨てないようにしましょう。
ダム湖は河川と同様自由使用区域であります。ただし、ダム本体に近い箇所は利用者に危険が及ぶ恐れが大きい区域を利用禁止区域として設定しておりますの で、その区域には入らないようにして下さい。また、ダム湖の利用の場である湖面・水際は本来危険を有する箇所でありますから、ダム湖の利用にあたっては利 用者が自ら安全に留意する必要があります。
あれは「網場」と言って、洪水により流出してくる流木やゴミがダム施設に影響を与えないよう設置しているものであります。
近い将来人口の減少傾向に伴い、水需要も減少すると思われがちですが、実際には生活環境の変化(核家族化、水洗化など)により水の使用量は着実に増加して おり、今後も水需要は増加していくと考えられます。また、近年は小雨傾向であり、年降水量のバラツキも大きくなっている状況を考えると、今後もダム等によ る安定した水供給は不可欠なものと考えます。
平成12年3月に出された「公共事業の個別事業内容・実施状況等に関する予備的調査についての報告書」(衆議院調査局)によると、「米国連邦政府および州 政府においてダム建設を全面的に中止・休止したわけではなく、西部の州においては現在も州政府により大型ダムを建設中である」とされています。
また、世界大ダム会議(ICOLD)が1999(平成11)年9月にまとめた資料によると、カリフォルニア州などの水需給の逼迫している地域などで、42ダムが工事中とされているところです。
一方、米国の民間団体(アメリカンリバース)の調査によると、撤去されたとされる467施設の中で、撤去した施設の高さが分かっているもの(364施設) の9割以上が、高さ15m未満の、我が国では「ダム」とはよばず「堰」とよんでいるものであり、その多くが、発電、レクリエーションを目的としたもので、 治水など人命・財産に関わるものは少ないのが実態です。
なお、我が国でも農業用水の取水用の堰などについて、老朽化、合口化等の理由により撤去された例は、326施設(平成13年4月現在)あります。
また、日本と米国では、気象状況(年降雨量)やこれまでのダム整備状況(貯水容量)は異なります。
森林は『緑のダム』とも呼ばれます。降雨時には森林土壌に雨を浸透させて河川への流入量を減少させ、平常時にゆっくりと水を流す機能があるからです。しか し、『緑のダム』があれば人工のダムが要らない、というのは誤解です。日本は世界でも有数の森林保有国ですが、毎年洪水や渇水が生じていることからも『緑 のダム』だけでは不十分なのは明らかです。様々な変化をみせる自然の気候に対して森林が常に人間に好都合な機能を発揮するとは限りません。長雨や大きな雨 で森林土壌が飽和状態の場合は、洪水を緩和する効果は得られないのです。また、渇水の場合にも、森林は自分の生育のために土壌の水分を吸い上げてしまうの で、河川へ流れ込む流量が減ってしまいます。この自然のダムである森林と人工のダムの両者がそれぞれの機能を十分に発揮することによって洪水、渇水の被害 を減少させることが必要とされるのです。