どんな課題があるの?
現状の水循環を1)河川流量、2)都市化の進展、3)水源地域の利用の3つの視点から再整理し、課題点を抽出しました。
合わせて今後の検討の方向性を示します。
1)河川流量における課題
河川環境の改善
河川流量の低下時には、河川の瀬切れが起こり、生物の生息に厳しい環境となっていると同時に、河川景観が乏しくなっています。

H6.6.8 広瀬橋上流

H11.5.24 広瀬川1.0km付近
渇水時の水量確保
- 平成6年の渇水時でも七北田ダム,釜房ダム,七ヶ宿ダムなどの水源を確保した上水道では安定給水により、かつてのような給水制限が行われなくなっています。
- 一方、河川から取水する農業用水では、番水や地下水揚水により対応しましたが、一部の水田ではひびわれが起こりました。
- 瀬切れ: 流れが途切れる状況
- 番 水: 灌漑地域を適切に区分し、それぞれに限られた時間ずつ、順番に灌漑すること。
2)都市化の進展における課題
都市内水路の水質改善
雨天時には都市内水路へ合流式下水道から排水が流入し、悪臭が問題となっています。


地域住民ニーズに合わせた都市内水路親水機能の改善
- 水路は三面張りとなっており水際へ近づきにくくなっています。
- 非灌漑期は水が流れていません。
- 水路を塞ぎ、歩道や道路として使用されています。

H12.11 高砂堀(非灌漑期)

H12.11 高砂堀(暗渠化)
平野部の地盤沈下の防止
都市域の地盤沈下量は昭和49年の地下水揚水量の削減指導開始と工業用水道の確保により、沈静化してきているものの依然として沈下は進行しています。
都市域のヒートアイランド現象への対応
- 仙台(北緯38°15.5')と亘理(北緯38°01.8')の気温を比較すると1977年頃を境に、緯度の高い仙台の方が日最高で1.2℃程度高くなっています。
- 昇温の原因は都市域でのヒートアイランド化によるものと考えられています。
消火用水・非常時生活用水の確保
- 市街地への人口集中に伴い、消火用水,非常時生活用水の確保が重要になっています。
- 仙台市消防局の計画によると、表流水を消火用水として利用することを予定している地区の中で、広瀬川,梅田川,七郷堀などでは実際には水量の不足などにより取水が困難となっています。
3)水源地域の利用における課題
水源地域の適正な利用と保全
大倉ダム放流水合流後の広瀬川では、近年出水後の濁水長期化が目立ち、広瀬川のイメージダウン、国見浄水場やアユなど生息魚類への影響などが新聞報道に取り上げられています。
ダム貯水池の水質保全
釜房ダム貯水池では植物プランクトン(ホルミディウム)の異常増殖により異臭(カビ臭)が発生しました。