【今後の検討の方向性】

 仙台地域水循環の特徴、課題点を整理し、今後の検討の観点を水利用、水環境面から抽出することで、「今後の検討の方向性」が浮かび上がってきます。

広瀬川・名取川などでは流量の減少により瀬切れが起こり、川の流れが分断しています。利水ばかりでなく動植物の生息環境や河川景観の保全からも「ふだんの川の流れ」を確保することが重要となっています。

仙台地域では都市用水の大半をダム貯水池の水に、農業用水や都市用水の一部を地下水に依存しており、「安全でおいしい水」へのニーズの高まりに対応した貯水池や地下水などの水質保全が求められています。

かつて水と関わりの深い暮らしが形成されていた仙台地域においても、地下浸透能力の低下・雨天時排水による水質悪化・身近な水辺の喪失などが顕在化しており、「水辺と緑が一体となった」潤いのある都市の復活が望まれています。

仙台地域の水資源は、市域内の水源と市域外からの水の供給により賄われており、決して余裕のある水資源とはいえません。
「水を上手に使う」工夫と行動の実践により、渇水に強く環境への負荷が小さい循環型社会の形成が重要となっています。

都市部へ人口が集中する一方で身近な水辺が喪失し、災害時の消火用水や緊急用水の確保が難しくなっています。また、浸透域の減少によりちょっとした雨でも浸水しやすい雨に弱い都市となっています。
「いざというときの水」が確保され「雨にも強い」防災に配慮した都市が求められています。

市民・事業者の水循環・水環境に対する認識が高まり、積極的な参加と協力が芽生えつつあります。
更に発展させ市民活動と行政の連携により「豊かな水環境づくり」の基盤を醸成する必要があります。