概要
防災機能の発揮
千年に一度とも言われる今回の地震は、地震動による被害もさることながら、高さ15mを超える大津波による未曾有の大災害でありました。
今回の震災で、道路が人的支援や物資輸送の緊急輸送道路として機能した他、津波からの避難場所や津波浸水の拡大防止にも寄与し、副次的に防災機能を発揮しました。
(1)「釜石の奇跡」
岩手県釜石市鵜住居地区において、津波襲来時に小学校・中学校の生徒等570名が、防災教育を踏まえて適切な対応と行動によって、一人の犠牲者も出すことなく、津波の被害を逃れることができました。
その、避難先となったのが、震災6日前に開通したばかりの三陸沿岸道路の「釜石山田道路」で、津波からの避難場所、避難経路として機能しました。
群馬大学 片田敏孝 教授提供
▲命の避難ルートになった「釜石山田道路」(岩手県釜石市)
(2)盛土構造における減災
仙台平野を縦走する「仙台東部道路」の若林JCT~名取IC間において、盛土構造(7~10m)の道路上に約230人が避難し、津波から難を逃れました。
また、盛土構造が、内陸部への津波・ガレキの流入を抑制するなどの防災機能を発揮しました。
押し寄せる津波
避難状況(仙台港北IC付近)
仙台若林JCT~名取IC間
▲「仙台東部道路」による減災(宮城県仙台市)
(3)兼ね備えていた強靱性
三陸縦貫自動車道のルートは、過去の津波を考慮して高台に計画されていたため、地震・津波から被災せず、緊急輸送等に大きく貢献するとともに、道路の強靱性が確認されました。
▼三陸沿岸道路(両石高架橋) | ▼国道45号(釜石市両石地内) |
▲津波を考慮して計画された釜石山田道路は被害無し
(同じ断面の国道45号は道路流失により寸断)