議題1:まちなか居住による中心市街地再生

1−1 まちなか居住

■複合的な土地利用
中心市街地では空き店舗や遊休地が目立っており、商業だけで再生することは難しい。今後は住居を含めた複合的な再生を考えていくことになるであろう。 秋田市
まちなかで衣食住が近接しているとにぎわいを創出しやすいが、住居を含めると、商業で自立していた頃よりはるかに収益が落ちてしまう。 岡部先生

■「まちなか居住」推進の前提

まちなか居住は、まちなかに一定の利便性(公共施設等)や文化、にぎわいがあることを前提として推進できるものである。

まちの将来の風景・光景をきちんと描いてまちなか居住の必要性を説明しなければならない。

鈴木先生

「まちなか居住」の地産地消
地元の人たちが、地元をつくり、地元で財を消費していく物語をつくる地産地消のまちなか居住を公共は考えていくべきである。外部資本の流入により、単に人口が増加することとは大きく異なる。 北原先生
まちなか居住の推進は、人が集う都市空間として持続可能かを常に評価する人を抱えるという意味がある。 北原先生

1−2 新しい公共性

■まちなかの公営住宅
まちなか居住が展開し、民間のマンションが増える中で、今後の公営住宅整備のあり方、公共の役割はどういうものか。 福島県

■民間の社会的貢献
ヨーロッパの多くの都市では、公営住宅ではなくアフォーダブル(低所得者が入居しやすい)の住宅を民間が供給するようになっている。 岡部先生

ヨーロッパでは住宅やショッピングセンター等の比較的大きな開発は社会に対して影響を与え、インフラ整備等の公共事業を必要とする。そのため、直接的に影響を与えるインフラ整備の費用は、民間(ディベロッパー)が負担することとなっている。

東北の都市のまちなかに開発圧力がかかっているのであれば、都市全体の公共整備に対して、民間に貢献させるしくみが必要である。

岡部先生

■公共の住宅供給の役割
住宅供給を民間に任せるという考えは、公共の責任放棄であり、公共は民間のための支援や施策を用意する必要がある。 北原先生
公共が直接的に住宅を供給するというよりは、公共の工夫により、民間のエネルギーを活用した社会性ある住宅の供給をしていく考えが必要である。 鈴木先生

■人間的な公共空間
ヨーロッパのような公共広場は中心市街地再生において重要であるが、日本に適した公共空間があるのだろうか。 岩手県
ヨーロッパの公共空間がにぎわいをもっていることは、住環境が悪いことと表裏一体でもある。 岡部先生
空間デザインが良いだけでにぎわいが創出できるわけでなく、社会との関連付けが重要であり、そこに住む人、郊外に住む人、外来者、旅行者など様々な人が集う空間でなければならない。 岡部先生
人間的な公共空間とは、公共が所有権をもっているという意味ではなく、プライベートな空間でも小さな空間でも公共性をもつことができる。新しい公共性をまちで考えていくことが必要である。 北原先生


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