直接関係はないのですが、少し福島市の具体的なお話をします。福島市の真ん中にまちなか広場があります。そこは福島市のもともとの目抜き通りで銀行だった土地があります。これはみずほ銀行グループに統合したので、みずほに統合する関係機関がたくさんあり、一点に集めれば良かったので、それ以外のところが空きビルになっていました。その空きビルになっているまちなかの目抜き通りの一画をマンションディベロッパーが購入して、マンションの建設が始まりました。目抜き通りですので、マンションをつくるのはいいけれど、まちの賑わいという観点からすると、マンションの1〜2階は商業業務系の賑わいの雰囲気をつくっていかければならないと、商工会議所や商店街の皆さんで業者さんに頼んだのですが、これには答えて頂けませんでした。目抜き通りの一日の交通量から判断すると、ここに商業施設を誘導することの方がずっとリスクが大きい。それに対して銀行は融資をしてくれないということになって、このマンションは1階から全部マンションという事になりました。
つまり、まちなか居住は、まちなかが一定の利便性や文化、賑わいがメリットになっていたから売りにできたと思うのですが、まちなかはお医者さんが少ない、生鮮野菜が買えない、まちなかの賑わいが過去ほどではないため将来見込めるかわからないという変曲点を今迎えつつあって、まちなか居住を考えるときに、一定のまちなかでの利便性(公共施設を含めた)が、本当にこれからのまちなかのイメージとして、あるいは一定の計画の仕掛けとして確保できるということをどのくらい示せるか、瀬戸際のような気がしています。例えば福島市でまちなか居住をやろうとすると、まちなかを将来どういうイメージにするか、わたしたちのまちは商業だけではなくいろいろな文化や医療福祉などが存在している地域にするというように組み合わせてまちなか居住をアピールしないとならない状況が生まれる気がします。まちなか居住を進める際に重要なことは、まちなかに住むことでまちの風景・光景がこうなって、だからまちなか居住というのは大切ではないかというような説明をしないといけないのではないかと思います。
日本の都市計画でも、立体容積制のようなものを導入することが技術的にできるようになってきているので、容積率が 600%であれば、そのうちの半分に届かなくても居住空間を確保するなど、一定の都市計画から一歩踏み出したような立体容積制のような考え方はかなり議論として起きているので、具体化できれば地区計画制度などがより立体的な方向になるのかなという感じが致します。 |