道路というと私たちは、歩いたり車や自転車で走ったりしているときしか「使っている」という気がしないものです。しかし私たちが食べるものは、道路を使ってお店まで運ばれてきます。道路はそのように、ふだん気がつかないところでも大切な役割を果たしているのです。
幅広い機能を持つ道路ですが、その役割は次のように大きく3つになります。
1.交通機能(コウツウキノウ)
道路の一番大きな役割は、人や物を運ぶ「交通機能」です。道路がつながっているおかげで、私たちはどこへでも簡単に行くことができますし、遠くの工場でつくられた商品を近所のお店で買うこともできます。道路はまさに、生活や産業を下から支えているといえます。
また、交通機能はさらに2つにわけることができます。ひとつは、人や車が道路の上をスムーズに移動できる「トラフィック(走行)機能」。もうひとつは、道路の側にある建物に楽に入ることができる「アクセス(接続)機能」です。高速道路のように遠くに急いで行くことが目的の道路の場合は、トラフィック機能を重視して道路をまっすぐにしたり、走行速度を速めに規定しておきます。逆に建物に車が出入りすることの多い市街地や住宅地などでは、アクセス機能を重視して信号を多くつくったり、走行速度を遅めに規定しています。
2.市街地形成機能(シガイチケイセイキノウ)
たとえば、建物ばかりがたくさんあったとしたら、きっときゅうくつで移動が不便なことでしょう。逆に建物に入りやすいように道路をつくっていけば、街は便利になり、人が多く集まるようになります。また、他の街へつながる道路がしっかり整備されていれば、人や物の出入りが活発になります。
そのように、人が多く集まったり人や物の動きが活発になると、街は自然に発展していきます。新しくつくった道路のまわりにどんどん建物ができて、街が広がっていくこともあります。道路は街づくりにも影響しているというわけです。このような役割を「市街地形成機能(シガイチケイセイキノウ)」といいます。
3.空間機能(クウカンキノウ)
道路は建物の建っていない空いているスペースとしても大切な役割を持っています。これを「空間機能」といい、さらに3つにわけられます。
ひとつは「防災空間」。事故や災害がおこったとき、かけつけた救急車や消防車は道路に車をとめて、けが人を運んだり消火活動をしたりします。人が逃げる道にもなります。また、道路は建物と建物の間にあるため、火事のときに火が燃え広がるのを防ぐ役割も果たしています。そのように道路は、災害を防いだり人を助けたりしているのです。
それから、公共公益施設(コウキョウコウエキシセツ)をしまっておく「収容空間(シュウヨウクウカン)」。公共公益施設(コウキョウコウエキシセツ)とは、生活に欠かすことのできない電気線、電話線、ガス管、水道管、下水道管などのほか、地下駐車場や地下鉄などのことをいいます。これだけたくさんのものを全部地上にはおけないので、道路の下を有効活用しているのです。
もうひとつは、人が暮らしやすい環境を整える「生活環境空間」。たくさんの建物が集まっている街の中では、とくに道路は大切なすき間です。道路のおかげで、どの建物にも光や風を入れることができます。また、道路のわきに木を植えた並木道や、きれいに整備された街並みは、生活する人々にうるおいとやすらぎを与えてくれます。
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