建設中のものも含めると、日本のダムの数はなんと約3200ヶ所。その数の多さを考えると、人々の暮らしにとってダムがいかに大切な役割を果たしているかがわかります。
古くは田畑に水を引くためにつくられたダムですが、現在では、さまざまなはたらきを持つ大規模な多目的ダムが多くつくられています。その基本的な役割は次の4つです。
1.洪水の調節
大雨が降って一度にたくさんの水が川を流れると、下流では堤防をこえて水があふれ出し、洪水被害が起こります。これを防ぐのがダムの役目です。
大雨のとき、ダムは上流から流れ込む水の一部をためることで、川を流れる水の量を減らしています。これを「洪水調節」といいます。たとえば、1秒間に1000m3の水が流れるとあふれてしまう川に、大雨で1秒間に2000m3の水が流れるとしましょう。このままではたちまち洪水が起こってしまいますが、ダムが1200m3を貯水池(チョスイチ)にため、下流へは800m3を流すようにすれば、その心配はなくなります。こうしてダムは下流部の安全を守っているのです。
2.水の確保
川は貴重な水の供給源として、私たちの暮らしを支えています。川の水は農業や工業、水道の水などに使われたり、自然環境を保つ役割も果たしていますが、それらはすべて、ある程度以上の水が川に流れていなければ機能することができません。
そこでダムでは、水がたくさんあるときに一部の水をためておき、水が不足したときに少しずつ放流しています。つまり「水の銀行」のようなものです。ダムから水を補給することで、川は渇水時(カッスイジ)にも正常に機能することができるようになっています。
3.水力発電
ダムの水を利用して発電も行っています。高いところから低いところへ勢いよく落ちる水のエネルギーを利用し、水車につないだ発電機を回転させているのです。
水力発電は自然の水を利用するため、とても環境にやさしい発電といえます。いまは火力発電、原子力発電が中心となっていますが、公害のない発電方法として見直されるようになりました。また、夜間にあまった電力を有効に使う「揚水式発電(ヨウスイシキハツデン)」も多く行われています。
4.環境への配慮
川にはたくさんの魚や昆虫、植物が生活しています。川の水が少なくなって困るのは、私たちだけではありません。渇水時(カッスイジ)に極端に水の量が減ると、水質が悪くなるばかりか、川にすむ生き物たちの生活の場が奪われてしまいます。ダムは川の水の流量を調節することによって、自然を美しく守り、環境を保護しているのです。
また、ダムをつくるときにも環境に十分配慮しています。むやみに自然を壊さず、安全対策をしっかりすることによって、自然と人がふれあえる環境をつくりだしています。
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