摺上川ダムの目的
日本の地形は、河川が急で短いため、大雨が降ると洪水が起こりやすくなります。また、日照りが続くと水不足が起こりやすくなります。
阿武隈川流域にもこのような地形的な特徴があり、摺上川ダムは、洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい用水補給、水道用水供給、
工業用水確保、加えて水力発電と多くの役割を担っています。
摺上川ダムの洪水調節はゲートを操作して人為的に調節するのではなく、洪水吐により洪水を絞り込むことで調節する「自然調節方式」です。摺上川ダムは、ダム地点における計画高水流量850㎥/sを流入量のピーク時で30㎥/sに調節し、その後次の洪水に備え最大70㎥/sを放流する計画です。
摺上川ダムにより、摺上川流域及び阿武隈川本川下流地域の洪水被害を軽減します。
計画高水流量・・・850㎥/s
洪水調節流量・・・820㎥/s
洪水調節容量・・・4,700万㎥
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既得用水の安定補給を行う他、河川環境の保全のためダム下流の図に示す地点において定める水量を確保します。
摺上川及び阿武隈川沿川の水田や畑(湯野、伊達保原、国見、富野、梁川東部、伊達西根堰の6地区約4,200ha分)に、かんがい用水を補給します。
▲かんがい用水を取水する西根下堰
福島市、二本松市、伊達市、桑折町、国見町、川俣町(3市3町)に水道用水(1日最大249,000㎥)を供給します。
給水区域では「美味しい水」との評価を得ています。
摺上川ダムの水道供給区域
福島市の水道水をボトリングしたペットボトル水「ふくしまの水」が2020W受賞しました。
工業用水として、1日最大10,000㎥を確保します。さらなる地域の発展にかかせないものとなっています。
摺上川ダムの貯水を利用した水力発電を2007(平成19)年5月より東北電力摺上川発電所で行っており、最大取水量4.5㎥/sによって、最大出力3,000kwの発電を行います。
水の位置エネルギーを利用する水力発電は、環境に優しいエネルギーとして、これからますます重要となります。
摺上川ダムは、ダム管理用の水力発電を行っています。摺上川ダム管理用発電所は、2007(平成17)年3月より発電を開始しており、摺上川発電所とは別系統で取水された最大で2.882㎥/sの水を利用し、最大出力1,140kwの発電を行います。
発電した電気はダム管理施設で使用され、余った電気を売電しています。その収入は国・関係自治体などに還元されています。