成瀬ダムではどんな機械が働いているの? 
大きなダムを作るためには、とても多くの”はたらく車”が必要です。
土を掘るバックホウ、土や石を運ぶダンプトラック、土や石を押すブルドーザ・・・他には?
ここでは、成瀬ダムを作っている様子に合わせて、どんな機械が働いているのか、その機械の能力など分かりやすく紹介したいと思います。
知っている? 
”はたらく車”の名前はなんと言うかか知っていますか?
知っているようで、違う呼び名で覚えていたりします。
成瀬ダムではたらく車を紹介する前に、おさらいしておきましょう。

◆ダムや、川、道路などを作ったり、直したりするために、”はたらく車”を「建設機械」と言います。
◆バックホウは、油圧ショベルやショベルカーなど、さまざまの呼び名があります。
ここでは、下の絵のように、区別して呼んでいます。
バックホウはどちらかと言うと、"地面を掘る"ことが得意な機械で、土を手前に引き寄せてすくいます。
成瀬ダムでは、ダムができる場所を固い岩盤が出てくるまで掘る作業や、ダムのコンクリートやCSGの材料が埋まっている場所を掘る作業で使われています。そして、その掘った砂や石、原石山を火薬で崩した岩などをダンプカーに積む時に活躍します。
◆ローディングショベルは、アームの先にバケット(ショベル)が前向きに取り付けられたものです。
バックホウと比べて、地面を掘るよりも、地面よりも高い部分の土などをすくい上げることが得意な機械です。
バケットの大きさが大きいものが多く、鉱山などで活躍しています。
バックホウ=掘る、ショベル=すくい上げる というような分け方です。

バックホウ ローディングショベル
◆ブルドーザは、排土板と呼ばれるブレード(板)で、土や石を押し移動させたり、山を切り開いたり、でこぼこの地面を均したりします。車体の後にはリッパとよばれる爪を取り付け、固い地面を堀りおこすこともできます。
土を押す力と、ふんばる力ははたらく車の中でもナンバーワン!

ついでに・・・
◆トラクタは、何かの作業をするときに、引っぱったり、さまざまなアタッチメントを取り付けられる機能を持った車体のことを言います。ブルドーザのように、土を押したりするブレードを取り付けたりする土木工事用のトラクタ、荷物を積むトレーラを引っぱるトラクタや、農作業のアタッチメントを取り付けられる農業用のトラクタなどです。

◆”はたらく車”の多くは、タイヤでは走れないデコボコ道やぬかるんだ場所、急なしゃ面が多いので、クローラと呼ばれる走行装置で走ります。クローラも機械を作っている会社によって呼び名が変わることがあるよ。

クローラ(図の動いている部分)
◆ダンプトラックは、トラックの車体に傾けられる荷台があり、たくさんの荷物を一度に下ろすことができる車です。

ダンプトラック
道路を走っているダンプトラックは、車体と、乗ることができる人の数、積む事ができる荷物(約10t)の合計(総重量)が20tまでと決められています。これは、道路や橋などが壊れないように決められているためです。


しかし、成瀬ダムの工事現場のように、"舗装されていない(工事のための)道路”(オフロードというよ☆)しか走らないような場所では、一度に大量の土や石を運んだ方が工事を早くすすめることができます。
このようなオフロードしか走らず、一般道を走る普通ダンプトラックに比べて、一度に重い荷物(土や石など)を積むことができるダンプトラックを”重ダンプトラック"と呼んでいます。
世界最大のものは、一度に496tもの土や石を運ぶことができるそうです。
この重ダンプですが、その車体の構造の違いからリジットフレーム型とアーティキュレート型の二つに分けられます。
◆リジットフレーム型:Rigid frameを直訳すると[剛結骨格]で、左右に曲がるときは、普通の自動車と同じように前輪でかじをとり曲がります。

◆アーティキュレート型:articulatedには関節や連結という意味があり、左右に曲がるときは、車体を折り曲げることにより、かじをとり曲がります。

では、成瀬ダムでは、どんな”はたらく車”が動いているか見てみましょう。
成瀬ダムで見ることができる”はたらく車”
成瀬ダムは、平成29(2017)年度から成瀬ダムの工事が本番を迎えています。
今は、ダムの堤体を作る工事と、ダムの材料を採取(採る)工事をしていて、27台のリジットフレーム型重ダンプと、14台のアーティキュレート型重ダンプが活躍しています。
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バックホウ
写真をクリックすると、大きく表示されます
名 前 |
バックホウ6.7m3 |
すくう量 |
山積み6.7m3、平積み5.1m3
山積みは、バケット山もり、平積みは、バケットすり切り1杯の量 |
大きさ |
長さ16.27m/高さ4.35m/幅5.43m |
重 さ |
112.0t |
エンジン |
ターボ(インタークーラ)付きディーゼルエンジン |
排気量 |
23.15リットル(23,150cc) |
出 力 |
552kW/(750PS) |
特 徴 |
成瀬ダムではたらくバックホウの中で、一度に土をすくう量が、もっとも大きな種類のバックホウです。
(平成30年10月時点)
道路を走っている10t積みのダンプトラック(大型ダンプトラックと呼ばれているもの)なら、1回にすくう量で満杯にできるだけではなく、約2tも多く積んでしまうことになります。
成瀬ダムではたらく55t積みの重ダンプトラックだと、だいたい5杯で満杯にすることができます。
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山積みと平積みの違い


山積み6.7m3の量は、500mlペットボトル13,400本分!にもなります。
土を山積みにした時の重さは、およそ12.86t(6.7m3×1.2[バケット満杯率]×1.6[土の1m3あたりの重さ])になります。
これは、小学4年生の男子376人を持ち上げることができる力です。
(平成29年度学校保健統計での小学4年生男子の全国平均体重から34.2kgとして計算)

成瀬ダムで働くバックホウですが、小さなものから大きなものまで働いています。
バケット(土などを堀り、 すくい上げる部分)の大きさが、最も小さいものでは0.022m3で、最も大きな6.7m3と比べると304倍も違います。
ダンプトラック
写真をクリックすると、大きく表示されます
名 前 |
ダンプトラック55t積み(リジットフレーム型) |
積める重さ |
55t |
積める量 |
34.2m3(山積み)、25m3(平積み) |
大きさ |
長さ9.355m/高さ4.4m/幅4.595m |
重 さ |
44.6t |
エンジン |
ターボ付きディーゼルエンジン |
排気量 |
23.15リットル(23,150cc) |
出 力 |
552kW/(725PS) |
特 徴 |
ふだん道路で目にするダンプトラックは約10t積みです。
成瀬ダムの建設現場では、その5倍以上の55tもの土や石を積むことができる重ダンプトラックが活躍しています。(平成30年10月時点)
舗装されていないオフロードを走り、たくさんの土や石を運ぶことができますが、あまり急な坂やぬかるんだ道は得意ではありません。
55tの重さは、男鹿水族館のホッキョクグマ(豪太君)が157頭分と同じです。
34.2m3の量は、灯油を入れるポリタンク(18リットル)を1900個積むことができる量です。
500mlペットボトルでは、68,400本分です。 |

55tは
男鹿水族館の
豪太君157
頭分

ポリタンク(18リットル)を1,900個分
68,400本のペットボトルを縦に繋げると、なんと14kmもの長さになります。
これは、横手市十文字の国道13号と国道342号の交差点(佐賀会沖田交差点)から東成瀬村に向かい、
成瀬ダム工事事務所への交差点を過ぎ、東成瀬村ふる里館までの距離とほぼ同じです。
写真をクリックすると、大きく表示されます
名 前 |
ダンプトラック40t積み(アーティキュレート型) |
積める重さ |
41t |
積める量 |
25m3(山積み)、18.5m3(平積み) |
大きさ |
長さ11.430m/高さ4.045m/幅3.530m |
重 さ |
33.4t |
エンジン |
ターボ付きディーゼルエンジン |
排気量 |
18.1リットル(18,100cc) |
出 力 |
376kW/(511PS) |
特 徴 |
6輪すべてがエンジンとつながっていて、ぬかるんだ場所や急な坂で、場所を選ばず走ることができます。
成瀬ダムの建設現場の中では、原石山から石や岩を運んだり、雨の日のぬかるんだ時に活躍しています。 |