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技術支援

施工技術の支援-技術開発の取り組み

 東北技術事務所では、直轄事業の現場における技術的課題の解決や技術の高度化に資する開発に取り組み、 各事務所にその成果を反映させることで、直轄事業における技術支援に貢献しています。
 近年の取り組み内容は以下のとおりです。

災害現場における情報化施工導入に向けた取組み


 無人化施工は災害復旧における安全性確保に有効ですが、作業効率が極端に落ちるという問題を抱えています。
 この欠点を補完するため、情報化施工技術の災害現場への適用を検討し、迅速性に重点を置いた手法を整理しました。
 災害時における復旧作業の効率化が期待されます。


雪上走行用小形除雪車の開発

 近年、異常集中的な豪雪が多発しており、大規模渋滞の発生や長時間の通行止めに至る事例が発生しています。このような状況下では、道路パトロールカも現場に進入できないため早期の状況把握が困難となります。そこで、渋滞車両間や路肩などの狭隘部及び深雪上を走 行可能な車両を開発し、初期対応の迅速化を図っています。

雪上走行用小形除雪車の主な特徴
①低接地圧化による雪上走行性の向上
 →三角型クローラの装着
②資材運搬能力の確保
 →狭小ボディであるが、荷枠を設けて資材積載スペースを確保
③安全性の向上
 →作業機前面に安全カバーを装着
④広報・通信機能の確保
 →スピーカー、無線装置を装備



ライン型ロードヒーティングの開発

 凍結抑制剤の効果の持続時間は長くて3時間程度であるため、スリップ事故多発 地点では、熱による融雪や自動薬剤散布装置による融雪が行われていますが、コストが高い、 工事規模が大きい、故障等による課題があったことから、ローコスト、即日施工が可能、メンテ ナンスが容易である「省エネ型融雪技術:ライン型ロードヒーティング」を開発し、融雪状況・効 果調査、評価・改善案の検討等の結果を反映した「省エネ型道路融雪技術指針(案)」及 び「設計施工標準図集」を作成しました。

■省エネ型融雪施設の概要
 ・タイヤ通過部分にのみ電熱線を敷設
 ・構造が単純であるため施工が容易
 ・融雪対象が小さいため低圧受電
 ・設置・維持費用が従来技術より大幅に削減
■設置箇所における融雪状況及び温度分布状況
 ・路面の状態について、0℃以上の温度と、シャーベット状態の融雪が確認できました。
  これにより、スタックやスリップ事故の発生の抑止効果が期待できます。


除雪作業の安全性向上を図る近接車両検知システムの開発

 1人乗り除雪グレーダにおいて、2人乗りに近い環境を提供し作業中の安全を確保することを目的として、 除雪グレーダ後部に設置した検知センサにより、自車線のほか左右1車線における後方接近車両を検知し、 「後方から接近する車両の監視と通知」を行う近接車両検知システムを開発しました。

             


新型雪庇処理車の開発

 雪庇処理車は、平成7年度の導入から20年を超え老朽化が進んでいたが、大型のホイール式 パワーショベルが国内で生産されておらず新しい機械に更新できない状態であった。このことから、国内だけ でなく海外の機械などから新たなベース車両を選定し、新たな雪庇処置車を開発した。

             


新型除雪グレーダ用バリアブルブレードの開発

 日本独自の除雪専用グレーダは、昨今の排ガス規制の強化により 生産中止となり、平成27年度から排ガス規制に対応した世界標準の機種が 導入され始め、道路幅の変化に対応した作業幅員を拡大できる可変幅型ブ レード(VB)が装備できなくなりました。このことから、従来型VBと同等程度の作 業能力を確保し、安全に作業を行うことができる新型除雪グレーダ用VBを開発しました。

             




遠隔操縦式大型土のう設置装置の開発

 大型土のう設置作業の安全性向上及び分解対応型バックホウの機能の高度化を図るため、玉掛 け作業を遠隔操作で行える遠隔操縦式大型土のう設置装置(バックホウ用アタッチメント)を開発しました。
             
■仕様
装 置 重 量 1,350kg
吊上最大重量 2,000kg
作 業 半 径 6.0m以下
※吊上最大重量と作業半径はバックホウの性能による
■特徴
 ①玉掛け、玉外しを遠隔で実施できるため、大型土のう周辺を無人にできます。
 ②開発ベースと同等機種であれば装着が可能です。
 ③吊ひもを磁力にて装置に引き寄せてから、フック操作を行なうことで、確実な玉掛けを実施でき
  ます。

 ④両フック仕様、先端を噛合わせ形状とすることで、確実な玉掛けと荷役時の落下防止を実現しま
  した。

 ⑤吊ひもは、複数回の吊上げ可能なため、現場内仮置き、撤去時にも作業可能です。
                
■大型土のうの吊り上げまでの工程
1.土のう事前準備
2.玉掛け準備~玉外し


1車線型応急組立橋の開発

 東日本大震災の経験から、大規模災害では、救援車両の通行確保のため迅速な応急組立橋架 設の必要性が明らかとなったことから、従来の2車線橋から1車線橋へと改良し、軽量化と一括架設を実現す ることにより、架設日数を短縮した応急組立橋を開発しました。
 
■応急組立橋(1車線用)仕様
 形  式:単純下路式組立ワーレントラス橋 ※幅員4.0m
 桁  長:最大40.0m(取付桁含まず) ※最小10mから2m毎に最大40mまで架設可能
 道路規格:第3種4級相当
 設計荷重:B活荷重


■既存の応急組立橋(2車線用)からの改良点
①応急組立橋2車線用から1車線用に仕様を変更し、覆工板の大型化や横桁の削減、低床化(横桁改
 良)による取付桁の削減などを実施し、大幅な軽量化と部材数を削減しました。(250t → 90t)
②軽量化により、迅速な架設が可能なトラッククレーン(200t)主構一括架設工法ができます。
③橋梁全体の軽量化の他、主構のパネル接合はピン接合とし、他のボルトも極力統一化を計り架設時
 間を短縮しました。


■出動実績
 令和3年8月の大雨による影響で、青森県むつ市、国道279号・小赤川橋が崩落し たため、国交省で応急組立橋を派遣(3日で架設)し、緊急車両の通行や孤立地区の解消を 行いました。

除雪グレーダの運転支援システムの開発

 除雪グレーダはブレードを用いて新雪除雪及び路面整正作業を行う除雪機械で、その操作は複雑で難易度が高くオペレータの熟練した技術が必要です。近年、建設業の担い手不足が懸念されているなか、除雪機械の熟練オペレータにおいても高齢化及び減少が進んでおり、将来的にオペレータの確保が困難な状況になることが予想されています。そこで、除雪の担い手確保及び除雪レベル(品質)確保の取り組みの一環として、経験の浅いオペレータでも現状の除雪レベルが維持可能な除雪グレーダの運転支援システムの開発を行っています。  

建設機械に係る開発の歴史

 当事務所では、前身である塩釜工作事務所の時代から、治水事業及び道路整備事業における 施工の効率化、省力化、安全性向上等を図るため、様々な建設機械の開発を行ってまいりました。
 その内容についてご紹介します。



 また、道路除雪に用いられる機械は過去より様々な改良等が重ねられ、現在の形となっております。
 東北においては、道路除雪が管理上とても重要であり、除雪機械の改良に率先的に取り組んでいます。