有識者からのヒアリング状況
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有識者からのヒアリング状況 > 大友 義助
五 雪の道具・寒さへの備え

“マタギのカエスキといっても、ちょっと解らないかも知れないが、何のことはない、マタギは狩人のこと、カエスキは雪をかいたり、屋根の雪降ろしなどに用いる雪べらのことである。

…以前、真室川町の鷹匠沓沢朝治さん(故人)の鷹を使った兎狩りを見せて貰ったことがある。朝治さんは蓑・笠に身を固め、右手にカエスキを握り、左手の拳に鷹を据えて、一歩一歩雪の山を登って行く。あたりはなだらかな雪の斜面。このような場所でなければ、鷹は使えないそうである。頂上に近い所で、鷹は急にきっと身構えて、金色の目を鋭く光らせた。兎を見つけたのである。すかさず朝治さんは「それっ」と叫んで鷹を放つ。鷹はすさまじい勢いで真一文字に獲物に襲いかかり、鋭い爪で一気に獲物を抑え込む。ほんの一瞬のことである。

 鷹は兎を抑えたまま「ピーピー」と鳴いて、主人を呼ぶ。朝治さんは一目散に斜面を駆け下り、カエスキで兎の頭を強く叩く。次に鷹の両脚をつかみ、おもむろに獲物から離す。

 朝治さんは一冬に四百羽も兎を獲るということであった。「鷹を飼うことは誰でも出来るが、これを使える人はほとんどいない。」というのが氏の口癖であった。”

(「3マタギのカエスキ」 p145-148 より抜粋)

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