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成層構造
水の流動 内部静振

夏季(8月)の水温は、表層では22℃以上に達していますが、底層は10℃程度と低い状況がうかがえます。
T.P.10m以深で水温が急激に低下している状況がみられます。


8月の水温分布の一例(平成6年)

夏季(8月)の塩化物イオンは、表層は500mg/L以下ですが、底層では濃度が高く5000mg/Lを超える状況がうかがえます。
T.P.20m以深で濃度が急激に上昇する状況がみられます。


8月の塩化物イオン分布の一例(平成6年)

夏季(8月)の水中の酸素(DO)は、表層は8mg/L以上ですが、底層では濃度が低く1mg/Lを下回る状況がうかがえます。
水温と同様にT.P.10m以深で濃度が急激に低下する状況がみられます。
魚が生きていくためには6mg/L以上のDOが必要と言われています。


8月のDO分布の一例(平成6年)

このように水温や濃度が急激に変化する層を躍層と呼び、水温に対しては水温躍層塩化物イオン濃度に対しては塩分密度躍層と言います。
躍層の上下間は密度差が大きいため水の交流が生じず、物質がほとんど移動しないため、水質に大きな差ができます。
水温躍層より上層には風等の影響により鉛直方向に混合されている鉛直混合層があり、夏季の小川原湖は、水温・塩分の2種類の躍層と混合層の3層構造になっています。


夏季の成層安定期における成層構造(平成6年8月24日の例)

冬季(1月)の水温は、表層では2℃以下になりますが、底層は10℃程度と夏季と同程度であることがうかがえます。
T.P.20m以浅の水温は、ほぼ均一な分布になる状況がみられます。


1月の水温分布の一例(平成6年)

冬季(1月)の塩化物イオンは、表層では750〜1000mg/Lと夏季より少し高めになりますが、底層は夏季と同様に5000mg/Lを超える状況がうかがえます。
T.P.20m以浅の塩化物イオンは、ほぼ均一な分布になる状況がみられます。


1月の塩化物イオン分布の一例(平成6年)

冬季(1月)のDOは、表層では14mg/L以上になりますが、底層は夏季と同程度に1mg/L以下の状況がうかがえます。
T.P.20m以浅の水温は、少し差はありますが、ほとんど差はみられません。


1月のDO分布の一例(平成6年)

このように、冬季は水温躍層はなくなり、夏季より少し深い場所に存在する塩分密度躍層の上部は、すべて鉛直混合層となります。
この層中と上層部(鉛直混合層)では密度差が大きいため水の交流が生じず、物質がほとんど移動しないため、水質に大きな差ができます。
冬季の小川原湖は、年中通して存在する塩分密度躍層と上部の混合層の2層構造になっています。


冬季の完全循環期における成層構造(平成7年1月12日の例)

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高瀬川河川事務所