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関連用語集

アオコ
アオコとは、富栄養化した湖沼などで大量発生した特定の植物プランクトンが水面付近に集まることにより、水面が緑色に着色される現象のことです。
アオコによる問題としては、発生時には景観の悪化や藻臭の発生があり、死滅時には腐敗臭の発生、アオコ分解時の水中の酸素消費による魚介類の酸欠などがあげられます。
小川原湖では内沼周辺でアオコの発生が確認されています。

塩化物イオン(Cl-)
塩化物イオン(塩素イオン)とは、主に水中の塩分(塩化ナトリウム)の量を表す指標です。
海水中には約19,000mg/L、し尿中には約5,000mg/L、下水中には50〜200mg/L含まれており、自然水中で分解・沈澱されず存在し続けることから、海水や排水等の混入・希釈度の指標として用いられます。
汚染されていない河川や湖沼でも数mg/L程度は含まれています。
人体には特に有害ではありませんが、味覚の面から上水道の水質基準は200mg/L以下と定められています。高濃度になると稲作に被害が生じます(塩害)。
小川原湖には高瀬川を遡上した海水(塩水)が流入するため塩化物イオンの濃度は高く、表面付近で500〜600mg/L程度、最深部で6,000〜7,000mg/L程度です。

塩水遡上
塩水遡上とは、潮位(河口水位)が湖水位より高くなることなどの理由により、海の水が川を遡る現象のことです。
小川原湖では、高瀬川を遡上した塩水の一部が湖内に流入しており、これと河川流入水(淡水)とのバランスにより、湖内の塩分環境が保たれています。

塩分密度躍層
塩分密度躍層とは、湖底付近の高塩分層と上層部の淡水層との間に存在する、塩分が急激に変化する層のことです。
塩分密度躍層を境にして上層(淡水層)と下層(高塩分層)では密度が大きく異なるため、ほとんど水が交流することはなく、水質的に異なる環境が作り出されます。
小川原湖では、高瀬川を遡上した塩水が湖内に流入することにより高塩分層が作られ、躍層面の深さは多少上下するものの1年を通じて存在しています。
なお、躍層とは密度が急激に変化する層のことであり、水温以外にも、塩分や濁度の密度差により生じるものもあります。

コリオリ力
コリオリ力とは、動いている物体が地球の自転の影響により、動く方向に対して直角の方向に受ける見かけの力のことです。
北半球では右方向に曲げるように、南半球では左方向に曲げるように力は働きます。
北半球で台風が左向きの渦になるのはコリオリ力による影響です(南半球では右向き)。

COD(化学的酸素要求量)
CODとは、水中の有機物の量を表しており、湖沼の水質汚濁を示す代表的な指標として用いられています(河川の代表的な指標はBOD)。
水中の有機物等を酸化剤(日本では過マンガン酸カリウム)で化学的に酸化するときに消費される酸素量をmg/Lで表し、汚濁が進んでいるほどCOD値は高くなります。
小川原湖のCODは、表面付近で約3.0mg/L、最深部で約26.6mg/Lであり、表面付近の約9倍の高濃度水が最深部に存在していることがわかります。
なお、小川原湖に定められている環境基準は3.0mg/L以上です。

水温躍層
水温躍層とは、太陽により温められた表層水と冷たい深層水の間に存在する、水温が急激に変化する層のことです。
水温躍層を境にして上層(表層)と下層(深層)では密度が大きく異なるため、ほとんど水が交流することはなく、水質的に異なる環境が作り出されます。
小川原湖では、夏季(6〜9月頃)を中心に安定した水温躍層が形成されますが、10月頃より表層が冷やされるにつれ水温躍層は崩壊してゆき、12月頃には全層で循環が生じ、水温躍層は消滅します。
なお、躍層とは密度が急激に変化する層のことであり、水温以外にも、塩分や濁度の密度差により生じるものもあります。

窒素(N)
窒素とは、動植物の成長に欠かせない物質であるため、リンとともに栄養塩と呼ばれており、その存在量は富栄養化の目安となっています。
窒素には無機態窒素(I-N)と有機態窒素(O-N)があり、これらの総量を総窒素(T-N)と呼びます。
水中におけるI-Nはアンモニア性窒素(NH4-N)、亜硝酸性窒素(NO2-N)、硝酸性窒素(NO3-N)といった形で存在しており、水生植物や植物プランクトンなどの成長に使われます。
小川原湖のT-Nは、表面付近で約0.88mg/L、最深部で約6.53mg/Lであり、表面付近の約7倍の高濃度水が最深部に存在していることがわかります。

底層密度流
底層密度流とは、冷水と温水、塩水と淡水のように密度が異なることにより生じる流れ(密度流)の一つであり、水底(底層)を這うように進む流れのことを言います。
小川原湖では、高瀬川を遡上した塩水が小川原湖の斜面に沿って流下するときの流れがこれに相当し、湖底の高塩分層の形成要因となっています。
なお、このような傾斜面を流下する連続的な密度流を流体力学の世界では「傾斜プルーム」と呼びます。

T.P.
T.P.とは、東京湾平均海面の略記号であり、T.P.○○mと書かれていれば、その高さは東京湾平均海面を基準(0m)とした時の高さであることを表します。
以前は東京湾中等潮位と呼ばれており、明治6年6月10日から明治12年11月21日までの隅田川河口で観測した結果から求めた平均潮位をT.P.0mとして定めていました。
小川原湖(総合観測所)の平均湖水位はT.P.0.4mですので、東京湾の平均海面より0.4m高いことがわかります。

DO(溶存酸素量)
DOとは水中に溶けている酸素の量であり、河川等の自浄作用や水生生物にとっては不可欠なものです。
大気中の酸素が溶け込んだり、植物プランクトンの光合成活動にともない酸素が作られることでDOは上昇し、生物が呼吸したり、水中の有機物分解に使われたりすることでDOは低下します。
DOは水温・気圧・塩分などにも影響され、例えば水温が高いとDOは低く、水温が低いとDOは高くなります。また、海水のように塩分が高い水では、河川や湖沼に比べてDOはいくぶん低くなります。
小川原湖のDOは、表面付近で約10.7mg/L、最深部で約0.2mg/Lであり、最深部にはほとんど酸素が存在していないことがわかります。なお、高瀬川及び小川原湖に定められている環境基準は7.5mg/L以上です。

内部静振
内部静振(セイシュ)とは、水温躍層や塩分密度躍層のような内部境界面が周期的に振動する現象のことです。
内部静振は内部波と呼ばれる波の一種であり、湖面を風が吹くことにより発生・発達をします。
小川原湖では、日単位に数m上下する長周期のものと数時間単位で1m程度上下する短周期のものが確認されています。
また、湖表面も同じような振動をしており、これは内部静振に対して表面静振と呼びます。

負荷量収支
負荷量収支とは、ある範囲に出入りする物質量の関係を表したものです。
負荷量は水量×水質によって求められ、負荷量収支を計算することにより、どのような経路でどの程度の汚濁物質量が流入または流出し、湖内にどの程度残るか、といったことがわかります。
湖沼の水質汚濁対策を検討するためには欠かせない指標となります。
小川原湖に流入する河川の中では、流域面積のもっとも大きい七戸川が最大の負荷供給源となっています。

プランジングポイント
プランジングポイントとは、高瀬川を遡上した塩水のうち、湖内に流入するものと再び海に戻るものとを分ける境界点のことです。
小川原湖の北部、高瀬川への出口付近に位置しており、これを越えて遡上した塩水は、底層密度流となって湖底へと侵入します。

水収支
水収支とは、ある範囲に出入りする水量の関係を表したものです。
湖の水収支を考える場合の流入項目には、河川などによる表面流入量、降水量、地下水流入量などがあり、流出項目には、河川などによる流出量、蒸発量、水利用による取水量などがあります。
小川原湖の場合には、さらに高瀬川からの逆流量を流入項目として考慮する必要があります。

ヤマセ
ヤマセとは、オホーツク海高気圧より北日本〜東日本の太平洋沿岸に吹き付ける、水蒸気を多量に含んだ低温の北東風のことです。
ヤマセは低温であるため、気温を急激に低下させるとともに、ヤマセに含まれる水蒸気は昼夜を通じて霧雨混じりの日照不足状態をもたらし、農作物の生育などに障害を与えます(冷害)。
小川原湖周辺では、5〜8月頃に2〜3週間に渡って広範囲に吹くことが知られています。

有機物
有機物とは、無機物に相対する言葉であり、本来、炭素や酸素などから生物の体内で生成される物質のことを指していましたが、近頃では人工的に合成された有機化合物も含まれます。
通常は、生物によって分解されやすい性質をもっていますが、近年では生物に分解されにくい有機物の増加が各地の湖沼で問題化しています。

溶出
溶出とは、湖底付近の水中の酸素がほとんどなくなることによって、底泥の中に存在する固形性のリンなどが水中に溶け出してくることを言います。
小川原湖では、湖底付近に年中存在する高塩分層中のリン濃度が非常に高くなっていますが、この原因の一つとして、同層中に酸素がほとんどないことによりリンが湖底より溶出・蓄積されていることが推測されています。

流域
流域とは、雨や雪として降った水が湖沼・河川に流入する範囲のことです。
水が集まる範囲であることから、集水区域と呼ばれることもあります。
小川原湖の属する高瀬川流域は2市5町2村にまたがっており、小川原湖面積63.2km2に対して流域面積(湖面積含む)は866.9km2と約14倍になります。

リン(P)
リンとは、動植物の成長に欠かせない物質であるため、水中では窒素とともに栄養塩と呼ばれており、その存在量は富栄養化の目安となっています。
リンには無機態リン(I-P)と有機態リン(O-P)があり、これらの総量を総リン(T-P)と呼びます。
水中におけるI-Pはリン酸性リン(PO4-P)の形で存在しており、水生植物や植物プランクトンなどの成長に使われます。
小川原湖のT-Pは、表面付近で約0.021mg/L、最深部で約1.065mg/Lであり、表面付近の約50倍の高濃度水が最深部に存在していることがわかります。

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高瀬川河川事務所