三陸沿岸道路の新たな考え方
概要
三陸沿岸道路は今回の震災において、「命の道」として機能を発揮しました。
本道路は、地域の暮らしを支え、命を守るためには、早期の全線整備が必要であり、平時には暮らしを支え(医療サービス、産業、観光)、災害時には命を守る(避難、救命救急、復旧)という機能を持った道路整備が必要です。また、厳しい財政状況から、より一層の効率性が問われており、基本設計を見直し、低コストの実現も必要です。
そのため、6つの設計見直しにより、低コストを実現しつつ、暮らしを支え命を守る機能を強化した、被災地復興のリーディングプロジェクトとしての整備が必要です。
〔 6つの設計コンセプト〕
①強靱性の確保(ルートは津波浸水区域を回避)
大震災における津波に対しても、道路が寸断されることなく交通機能を確保することが大きな命題であり、強靱性を確保していく必要があります。
三陸縦貫自動車道は、95%が津波浸水区域を回避しており、今回の震災においても、被害は確認されていません。
▲ルートは津波浸水区域を回避、または、高さのある橋梁で通過
②低コストの実現
従来の4車線、トランペット型ICを見直し、地域の交通状況や土地利用状況を踏まえ、2車線整備で、かつコンパクト型のICに見直していく必要があります。
▲4車線、トランペット型IC → 2車線、コンパクト型ICへ
③復興まちづくりの支援
復興まちづくりと一体となって、アクセス性の確保、利便性を考慮し、出入り口を配置していく必要があります。
▲関連する土地利用との調整(宮城県南三陸町の例)
④拠点と連絡するIC等の弾力的配置
平時、災害時の利便性に配慮し、水産業や商工業施設、防災拠点施設等へのアクセスや病院への緊急車両出入り口の設置等、ICを弾力的に配置していく必要があります。
▲防災拠点施設や病院へのアクセス性を考慮し、出入り口を設置
⑤避難機能の強化
今回の震災で、三陸沿岸道路が避難場所となったり、緊急避難路で直結する等の事例や地域からの要望も多く寄せられたことから、災害時の避難機能(避難階段の設置等)について具備していく必要があります。
▲災害時の避難機能の具備(緊急避難路や避難階段の設置など)
⑥ICT(情報通信技術)による通行可能性把握
ITSスポットや民間プローブ情報等を活用し、災害時に通行可能なルートをドライバーに提供していく必要があります。
▲ITSスポットを活用したリアルタイムな道路情報の把握