コウモリボックスとは?

ユビナガコウモリは青森県が生息の北限で、県内における主要な生息地は3カ所しか確認されていません。その1つは、 昭和32年に閉塞され、洞窟状となった目屋ダム仮排水トンネルです。

しかし、津軽ダムの基礎掘削工事により、目屋ダム仮排水トンネルが消滅するため、 青森県内のユビナガコウモリの貴重な生息地の1つが失われることになります。 そこで、津軽ダムとコウモリの共生への取り組みとしてユビナガコウモリが生息できる 人工洞窟「コウモリボックス」をつくり、移転させることになりました。
 ■目屋ダム 仮排水トンネルの仕様
完成年 昭和32年
断 面 直径4.4m 標準馬蹄形
延 長 205m
(内、ダム軸前後30mを封鎖)
坑内の状況 常時湛水(推進1m)
1)次の条件をもとに、津軽ダム周辺でコウモリボックスを設置できる場所をさがしました。
  1. ダム貯水位の影響を受けないこと
  2. 沢水の取水が容易なこと
  3. 目立たない位置であること
  4. 経済的に優位であること
  5. ダム本体基礎掘削工事前に移転先が完成可能なこと
  コウモリボックスの条件
  1. 函渠延長: 100 m 程度の延長
  2. 内空断面:ユビナガコウモリが生息するためには幅 4 m 必要。
  3. 材質:現況の仮排水トンネルと同様のコンクリートだが、表面をザラザラに。
  4. 気温湿度:現況を再現(気温 10 ℃、湿度 100 %)
  5. 進入禁止:コウモリの外敵侵入防止、関係者以外の立ち入り禁止。(全面水面張り、出入口に獣返し付き門扉)
2)平成19年12月にコウモリボックスが完成。
 
コウモリボックスの構造や移転計画を指導いただいた
コウモリの専門家

故 向山 満 先生
 (1942年新潟県生まれ)
NPO法人コウモリの保護を考える会理事長
兵庫教育大学大学院修士課程修了。
青森県立三戸高等学校教諭を平成15年定年退職後NPO法人を設立、コウモリ類の保護と生態研究をされていました。

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