東北地方の地方都市における「コンパクトシティ」とは何か/「コンパクトシティ」実現に向けた方策は、どんなものか
北原先生

分かりました。

それでは次に、鶴岡市さんとしては、このコンパクトなまちづくり等につきましてどんなふうな考えか、少しご説明頂けますでしょうか。
鶴岡市

コンパクトなまちづくりということで、平成 13 年 6 月に都市計画マスタープランを策定致しました。その中で、まず 30 回ほど市民の方々とワークショップを開き、その後、市民の代表者からなる市民懇話会に諮り、それから策定委員会等に諮って策定しました。鶴岡は、昭和 40 年代から人口が 9 万人から 10 万人になりましたが、この 10 年間はほぼ 10 万人のまま市街地の面積が 1.9 倍になったため、中心部は非常に落ち込んでおります。どこの都市も同じかと思いますが、若い方の核家族化、農村の農業環境の悪化、それから住民が郊外に出るということで、土地を開発したいという圧力も非常に高まっております。ワークショップ等でも、土地の利用に関しましては、市街地の無秩序な拡大の防止ということで、線引きを実施することになっております。全国的にも線引きは鶴岡だけということで、いろいろ問い合わせもございますが、実状を申し上げますと、いまの無秩序な拡大ということもあり、鶴岡の場合、市街地ギリギリまで、農振農用地が軒先まで入っています。いまの農業情勢から考えて、農地を手放して農業を立て直したいというような圧力、そしてほ場整備が終了して今年で 8 年になりますが、開発の歯止めがきかなくなっています。さらに 7 号バイパスの沿道に、農村活性化構想で抜いたところがあり、そこにショッピングモールが張り付きました。そういうところを見ていると、線引きをやらなければコンパクトなまちはできないと考えております。

それから、先ほど述べた市民とのワークショップで、市民の方々から頂いた意見、考え方等をまとめたものをマスタープランの中に取り入れ、現在もつくり続けておりますし、調整区域の問題につきましても、来年度ワークショップを開催し、またマスタープランに位置付けていこうと考えています。マスタープランの中に、土地利用の方針、景観、交通等が入った全体の計画、それから地域別構想がありますが、地域別構想は小学校区で策定するということで、市では策定しておりません。それは、市が全部やるというのではなく、まちづくりの気運が高まったところから、策定していこうという考えなので、つくり続けております。

人口規模に見合ったコンパクトなまちにしていこうということで、中心部に公共施設を集積、再配置しようという考えに基づき、中心部にある荘内病院の移転先も中心部となりました。整備計画の中で(国の)合同庁舎も中心部に持って来るという考え方でやっています。鶴岡は、城下町の交通基盤等を残したままですので、そういうものを活かした、壊さないような道路づくりを方針として打ち出しております。

市民の方々にも全部が全部というわけではありませんが、コンパクトなまちという考え方はある程度は知られていると思いますし、現在もマスタープランをつくり続けているということから、常に働きかけをしています。

北原先生

はい、ありがとうございました。

最初の方の内容で、農振がすぐそばまで来ている中で、今回あえて線引きをするといった話があり、これは思い切った話だと思いましたが、鈴木先生としてはいかがでしょうか。

鈴木先生

びっくりしました。いまは、線引きはしないという方向に進んでいるので、かなり思い切った施策だと思います。それから、公共施設を再配置することにも驚いています。

北原先生

ありがとうございました。

線引きを入れようという話の時、クレームが出たりせずに、皆さん理解し、わりとスムーズに動ける感じなのでしょうか。
鶴岡市 マスタープラン策定のワークショップ等におきましては、特段大きな反対等はなかったと聞いております。ただ、内容が分かってくるにつれ、都市近郊の農村部の方々、宅地開発できるような所を持っているような方々の開発圧力は、非常に強いものでした。しかし、きちんと市街化区域を設定するに当たって、説明のつく場所、既成市街地、それから市の施策等と合致した開発の確実な部分しか取り込まず、また、飛び地でも温泉街の部分、説明のつくような部分しか取り込まなかったということもありますので、結果的には反対は今のところ落ち着いているというような状況です。

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