東北地方の地方都市における「コンパクトシティ」とは何か/「コンパクトシティ」実現に向けた方策は、どんなものか
北原先生

弘前大学の北原です。
このコンパクトシティ研究会は、東北の様々な都市、あるいは県で、都市政策を進めていらっしゃる皆様方と、意見交換をしながら勉強していくというものです。

まずは山形県さんの方から、コンパクト都市構想、交流文化都市構想についてのご説明をお願い致します。

山形県

山形県でコンパクト交流文化都市構想というものを出しました。これは、特にコンパクト交流文化都市に向かって、何か新たな事業をやるということではなく、今まで各部、各課で行ってきた事業を、まちの中に目を向けてそこに重点的に投資したりし、それを総合計画の中ではっきりと打ち出そうというものです。この中で、コンパクト、交流、文化など様々なキーワードがありますが、本日の検討会に関係するところで言うと、コンパクトな都市が該当するのではないかと思います。それから、これは個人的な考えですが、コンパクト交流文化都市を目指す上で少し気がかりなのは、地方都市において、どういったコンパクトシティを目指していくのかが、県の中では不十分であったり、あるいはその担当が変わることによって、その人の捉えているイメージが変わってしまうということです。さきほどのまちなか居住の話で例えると、人が住んでいないから、まちの中に人が住めばいいのかという議論に換わっている、そういったところが気になっているところです。具体的な事例ですが、山形市内でもまちの中心部でマンション建設が目立つようになってきました。昔からの空き家や、使われていない土地にマンションが建つことにより、そこに人が生活するというプラスの面もありますが、生活する入れ物はあっても、本当にそこで豊かな生活、充実した生活が営めるのか、住宅という器以外の部分で、果たして充分なサービスが供給されているのかという点が不十分ではないかと思っています。

まだこのコンパクトという言葉を聞いたときに、住民側の捉え方も千差万別です。取り組み自体も 3 年目ではありますが、まだまだスタートを切ったばかりというのが実際の所です。

北原先生

ありがとうございます。

ひとつお聞きしたいのですが、コンパクト交流文化都市構想という県のプロジェクトの担当は、都市計画ではなく企画サイドになるのでしょうか。

山形県 そうですね。構想自体まとめたのはいわゆる企画局の方です。
北原先生

ありがとうございました。

山形県さんが県として大きなコンパクト交流文化都市構想を持っていく中で、山形市さんと致しましては、現在都市計画の中で、コンパクトな都市ということを理解、あるいは意識しながら施策を持っているのかについて、話題提供をお願いします。

山形市

正直に言いますと、県の構想として、コンパクト交流文化都市構想というフレーズを聞いておりますが、まだまだ理解が不十分なところがあります。山形市のいまの現状を申しますと、中心市街地活性化並びに中心街である七日町のガイドプラン、これらに続いて中心市街地の活性化に取り組んでいるところです。ただ、先ほど鈴木先生からお話があったとおり、まちなか自体が空洞化しています。それから郊外部において、上山さんとの境界でニュータウンの開発、また、市の北部でも区画整理事業と、両方で人口 12,000 人程度見込んだ開発が進んでいるところです。そういう状況なので、わたし自身も、なかなかコンパクトシティ自体がつかめない状況です。

北原先生

ありがとうございました。

いまの山形市さんのように、各都市で長期計画や人口を増やす形で郊外の開発をしつつ中心部へ、という言い方をせざるを得ない状況が、どこの都市でもあると思います。そこで少しお聞きしたいのですが、東北の各都市の中心部で、マンション立地がこの 2 〜 3 年増えてきている状況にあるのですが、山形市さんの場合、中心市街地内の集合住宅の建設動向というのは、どんな感じなのでしょうか。秋田や青森や弘前やいわきも、かなり大きく動いておられるとお聞きしましたが、あまり大きな変化はございませんか。

山形市 特段増えているということはありませんが、毎年中心市街地の活性化エリアの中で、 3 〜 4 本くらい建っていると思います。

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