北上川の流域は南北に細長い長方形に近く、その東西に2つの山地が連なっています。東の北上山地は、中央部から周辺部へ向けてなだらかな勾配を示し、西の奥羽山脈は概ね急峻で、標高1,500m〜2,000mの高峰には岩手山、八幡平、駒ケ岳、焼石山、栗駒山などの火山があるのが特徴です。
これらの山地から多くの支川が北上川本川に流れ込んでおり、特に奥羽山脈から流れでる支川の平野部では、扇状地が作られています。これにより、北上川が東側に押された形になっています。また、岩手県南部の一関市狐禅寺から下流28kmの区間は、両岸に150〜200m程度の低山が迫り、川幅は狭いところで100m程度の狭窄部となっています。この狭窄部が一関市に水害をもたらす最大の要因になっています。
流域の下流部には、広大な沖積平野が発達しています。ここは高低差がほとんどない平坦な土地で、かつては低湿地帯でした。平野の西方には旧北上川の支川迫川、江合川による扇状地が発達しています。
このような地形条件の下で、北上川の周りの土地利用は山地や田畑、牧場の面積が75%を占めており、市街地はわずか3%弱と少なく肥沃な土地と緑に恵まれた自然と人々の生活が共に歩んできた北上川らしい姿が広がっています。
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