清掃開始前、校庭であいさつと共に注意事項が説明された。当日は好天に恵まれ、少し暑いと思えるほどであった。校長先生からは「将来この活動をしてもゴミが一つも見つからないようにがんばってください」と言われ、公共施設などにゴミをポイ捨てするような大人にならないようにと、児童たちに心の教育を施していた。
ここは一般国道47号にある川渡地下道・別名「湯の町ロード」である。春に川渡中学校による清掃が行われたこともあり、人工的なゴミである空き缶などはほとんど見られなかった。しかし夏場過ぎたということもあり、また鳴子という地域特性もあってか、地下道内はクモの巣や虫の残骸が多く見られ、ゴミ拾いというよりは害虫駆除作業といった感じであった。
作業終了間際、他の地区の清掃に出かけていた児童達が地下道を通って帰ってきた。すると児童の一人がビニール袋いっぱいに空き缶を拾ってきたと言ってきた。筆者には複雑な気持ちになったが、この事によりこの児童がいろんな事を感じ取ってもらえれば良いなあと思った。
路上でのゴミ拾いは。ただ拾うだけではなく、そのゴミを資源ゴミとして分別しなければならず、そのことでもかなり大変な作業であった。なぜなら、ポイ捨てのゴミは当然のことながら分別などされてはいない。コンビ二袋の中はあらゆるゴミが詰まっていたりもする。なかにはペットボトルの中に人間の尿と思われる液体も入っているものもある。汚れているのは人間の心である。
児童達は路上で拾ってきたゴミを学校に持ち帰り、分別用のかごに仕分けしながら入れていくとこまで作業をしている。着色瓶などは分類上わかりにくい物もあり、児童達は多少困惑していた。また瓶やペットボトルは中を洗わないといけないため、水道で洗ってからかごに入れている。他人の捨てたゴミを児童が洗っている姿に筆者は複雑な気持ちにさいなまれた。
作業終了後、各班毎に校庭で担当の先生と意見交換会を実施して幕を閉じた。作業後で疲れているなか、児童達は純粋な心で感じ取った感想を述べていた。
昨今増加しつつある廃棄物の不法投棄は成熟した今の日本社会にとって恥ずべき行為である。社会においては様々な立場から不法投棄の対策が取られているが、今回の活動はそうした恥ずべき行為をする大人にならないよう、児童達を教育していく最も効果的な方法ではないかと思った。道のりはまだ長いのかもしれない、しかし、今回の活動を通して、汚れ無き純粋な心を持った児童がきれいな大人へと成長していってくれればと願う。