用語集
リン(Phosphorus:P)
水中のリン化合物もまた、無機態と有機態、溶解性と粒子性に区別され、 無機態リンはさらに、オルトリン酸塩(Orthophosphate)と重合リン酸塩(Polyphosphate)に分けられます。
富栄養化の目安として、総リン(T‐P)で、0.02mg/リットル程度とされています。
オルトリン酸態リン(PO4‐P)は、〔オルト〕リン酸イオン(Orthophosphoric ion:PO43-)として存在するリンで、pHによって、 HP042-、H2PO4-、H3PO4などの形にもなります。
水中の無機態リンの大部分は、この形で存在しており、溶解性のものは、栄養塩として藻類に吸収利用されるため、富栄養化現象の直接的な原因物質となります。
pH(ピーエッチ、またはペーハー)
水の水素イオン濃度のことで、水中でおきる水質変化のもととなっているものです。
通常の川では、値がpH6.0〜8.5の間で中性(pH=7)の状態が正常です。なお、値がpH7以上であればアルカリ性、7以下であれば酸性となり、水質に何か変化があったことがわかります。
窒素(Nitrogen:N)
水中に含まれるすべての窒素化合物(総窒素:T‐N)は、無機態窒素(IN)と有機態窒素(ON)に大別され、さらに無機態窒素はアンモニウム態窒素(NH4- N)、亜硝酸態窒素(NO2-N)、硝酸態窒素(NO3‐N)に、有機態窒素はタンパク質に起因するもの(アルブミノイド窒素など)と非タンパク性のものに分けられます。
有機態窒素では、藻類などの体内に取り込まれたものとそれ以外のものという意味で、粒子性有機態窒素(PON)と溶解性有機態窒素(DON)に区別する場合があります。
無機態窒素にも粒子性のものがないわけではありません(懸濁粒子に吸着されているものなど)が、ほとんどの部分は溶解性です。
有機態窒素は、微生物の働きによってアンモニウム態窒素に分解されます。
好気的環境では、アンモニウム態窒素はさらに、硝化菌の働きによって亜硝酸態窒素から硝酸態窒素へと変化します。 (この変化を硝化といいます。)
富栄養化の指標としては、総窒素(T‐N)が最もよく使われ、 富栄養と貧栄養の限界値はT‐Nで0.15~0.2mg/リットル程度とされています。
DO(Dissolved Oxygen:溶存酸素)
水中に溶解している酸素ガスのことで、河川や海域での自浄作用や、魚類をはじめとする水生生物の生活には不可欠なものです。
水中における酸素の飽和量は気圧、水温、塩分などに影響されますが、DOと水質の関係は、水が清澄なほど、その温度における飽和量に近い量が含まれるといえます。(20℃の純水の飽和溶存酸素量8.84mg/リットル)
DOは、一般に魚介類が生存するためには3mg/リットル以上が必要であり、良好な状態を保つためには、5mg/リットル以上であることが望ましいとされています。
富栄養化
湖沼などの停滞性水域中のリン、窒素などの栄養塩濃度が高まり、その結果生物生産が増大する現象をいいます。
富栄養化は、自然作用と人間活動に起因するものがありますが、現在では人間活動による多量の栄養塩類の排出により、植物プランクトンの異常増殖を表す人為的富栄養化が問題となっています。
赤潮やアオコの発生は、富栄養化進行の例です。
導電率
電気をどれだけよく伝えるかを示す指標で電気伝導度(でんきでんどうど)とも言います。水中に溶けている物質のおおよその量を知ることができます。単位はmS/m(ミリジーメンス・パー・メートル)。
濁度(だくど)
水に浮遊する微小粒子を濁りの程度で表したもので、水の清濁、汚染状態、水処理効果を判定する数値です。
濁度1度は水1リットルに対し不純物が1ミリグラム混じった状態を表し(日本工業規格)、濁るほど数値が高くなります。
水温
水温の違いによって植物プランクトンの増殖速度が大きく変化します。
植物プランクトンの増殖は、さくら湖の水質に大きな影響を与えます。
植物プランクトン
遊泳能カがほとんどないために、水中に浮遊した状態で生活している単細胞藻類を、総称して植物プランクトンといいます。
細胞内にクロロフィルaなどの光合成色素を有し、太陽の光エネルギーを利用し、水中の無機栄養塩類から有機物を合成して生活しています。
大きいものでも200μm(郵便ハガキの厚み0.2mm=200μm)以下と非常に小型で、富栄養化が進んだ停滞性水域(湖、ダムなど)で単一種が優先増殖し、問題となることあります。
カビ臭
水道水にカビの臭いがつくことがあり、不快感を与えることから問題になっています。
力ビ臭の原因物質としては、水源水質の悪化により異常増殖した放線菌や藍藻類が代謝産物として放出する臭気物質のジェオスミンや2-メチルイソボルネオール(2-MIB)が明らかにされています。
これらの物質は、普通の浄化処理方法では除去が難しいことから、活性炭吸着やオゾン処理などの高度処理が必要となります。
栄養塩類
生物が生きていくためには、多くの元素が必要です。
たとえば植物は、C(炭素)、0(酸素)、H(水素)以外の元素を水に溶けている塩類として摂取しますが、この際、必要な元素の一つが不足すると、他の元素が豊富にあっても、生物の成長や増殖は制約されます。
自然界では必須元素のうち、N(窒素)、P(リン)、K(力リウム)が不足しがちで、水域では特にN(窒素)とP(リン)プランクトン増殖の制限栄養因子となっている場合が多くあります。
異臭味
水道水の臭味(臭気及び味)が異常な場合をいいます。
異臭味の原因となる物質は、複雑多枝にわたり、特定することが難しいケースが多いです。
特に、富栄養化した水源によるカビ臭の問題が注目されており、ジェオスミン、2-メチルイソボルネオールが臭気原因物質として確認されています。
アオコ
ある種のプランクトンは、湖や淡水の養魚地の水面に青い粉をまいたように増殖して、一面の水の華を形成するため、古くから「アオコ(青粉)」として知られています。
主に、植物プランクトン(藍藻類)のMicrocystis、Oscilllatoria、Anavaenaが原因となっています。
しばしば広範囲に表面を覆い、水面が縞模様になったり、厚いマット状に集積する場合もあります。
著しく増殖すると、独特の臭気が感じられ、外観的にも悪い印象を与えます。