東北地方の地方都市における「コンパクトシティ」とは何か/「コンパクトシティ」実現に向けた方策は、どんなものか
八戸市

八戸市と致しましても、他都市に漏れず、中心市街地の衰退が見られます。一例と致しましては、高度利用地区に指定していました中心市街地のビルに、テナントとして入っていたイトーヨーカドーが、撤退したことです。しかし、同じビルに、小規模ではありますが、市民が立ち上げた組織のシネコンやチャレンジショップが入ったり、付近に屋台村ができたりという動きがあり、中心街としても活気が出てきた感じもあります。

平成 14 年 12 月の新幹線開業に伴い、ホテルやマンションの立地もここ数年目立つようになってきました。そして、 3 カ年かけて策定した、来月完成予定の八戸市都市計画マスタープランの中では、新幹線八戸駅周辺、中心市街地、港周辺の3つに拠点を絞り、まちづくりを進めていくことを考えています。

それから、いわき市さんの合併の話は大変参考になりました。来年1月に向けて、8市町村で合併を進めていますが、線引きされていない町村との合併による都市計画的弊害を、どう解決するかが非常に難しい問題です。時間をかけて検討しなければならないと思っています。
北原先生

はい、ありがとうございました。
ひとつひとつ聞いていったため時間がかかりましたが、各まちが持っている問題などを聞けたので、非常に良かったと思います。

それでは最後に、鈴木先生から一言頂きたいと思います。

鈴木先生 基本的にいま、人口フレームの問題、宅地開発面積の算定方法の問題など、もうそれぞれの都市で取り組んでいると思いますが、実は人口フレームの問題は予測が出ており、人口が増えることはほとんど期待できないと認識されています。しかし、本当にコンパクトなまちづくりは必要なのか、都市計画の基礎調査の段階、将来を予測するときの計画技術を一度洗い直す必要があると思いました。それは宅地開発も同じで、福島の例ですが、コンサルタントの方がフレームを出すとき、市街化区域や住居地域の中の人口は、混在を前提にしているので、都市計画の理念からすると循環をしなければならないので、そのためには市街地の拡大が必要だと言います。そうすると、混在地域にも循環できる手法ないため、ある限り拡大は必要だという理屈に使われています。このような根の部分の都市計画技術の話も、これからしたいと思っています。
北原先生

はい、ありがとうございました。

青森市の幸畑地区に住んでいる方から、市長がコンパクトシティと言っているが、それは幸畑地区に除雪が来ないということですかと聞かれたことがあります。市民の方は、よくそう勘違いされていますが、そういうことではなく、郊外に広がった薄いライフスタイルを、まちなかのような密度の濃いライフスタイルを味わえる都市生活に設定できるか、ということだとわたしは思います。

これからの研究会でみなさんに提示したいのは、まちなか居住の地産地消ということです。つまり、地域の空間を再編集していくときに、地域の方々がいろいろ苦労して借り上げにする、あるいは再開発の時に入れて居住を持っていくという、その出来た空間に住んだ人たちが、まちなかの生活を楽しめるようなものにすぐしていけるのでしょうか。とにかく街なかに 20 階建てのマンションが建っている。それは本当にコンパクトシティ と言っていいのか、まちなか居住として奨励していっていいのか、ということが問われるのではないかと思います。単にまちなか居住という言葉で、業者が来てマンションを建てている、そうなると、そのまちの特性はどうなっていくのでしょうか。例えば、弘前では他県の業者がマンションを建て、即日完売したのですが、岩木山が見えなくなると意見が市民から出てきました。地元の人なら建てないような建て方をしてしまう、その辺りのことなども議論していきたいと思っています。

今日は、皆さんからいくつかキーワードを頂きましたので、事務局や鈴木先生、わたしの方で整理し、2回目以降、今日のような活発な意見を期待しております。そして外部から講師を呼んだり、一緒に議論したいというグループを呼んだり、そういう方々と有機的な連携を取りながらやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。


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