東北地方の地方都市における「コンパクトシティ」とは何か/「コンパクトシティ」実現に向けた方策は、どんなものか
宮城県

わたしの個人的な感想ですが、役所サイドだけではなく、一般の県民市民もだと思いますが、いままでやってきたまちづくりはその延長で、これからはコンパクトシティだと捉えていて、手段や方策に取られがちという印象があります。ひとりひとりが、いままでの日本の国造りの流れを切り替えていこうという思いがない限り、コンパクトシティというのは上手く進められないのかなと思います。仙台市さんは、市長自ら言っており、わたしも仙台市民ですので、仙台市長の言っていることは、充分分かります。

今回の広域都市計画マスタープランですが、仙塩広域の見直しを2週間前に県でつくり、都計審にかけましたが、コンパクトという言葉は入っていませんでした。なぜ入っていないのかという問い合わせも来たようですが、やはりまだ理解やイメージがいろいろな問題を引き起こす可能性もありますし、広域的なコンパクトとは何かという県の関わりで、コンパクトをどう持っていくかというところが、まだ県では分かりません。しかし、そういうことからコンパクトという言葉は使わないと宣言したわけではなく、使わなかった、使えなかったというのが実状です。そして、土地利用に関しては、全県各都市計画市町村と毎日打合せをしているところですが、区画整理にしても開発にしても、先ほど石巻市さんからもお話があったように、 20 年前くらいから計画してやっと事業入り、やっと売り出そうという時にこういう状況になってきました。住居系から用途を変えて、商業系やギャンブル系にならないのか、というのがここ1、2年前まで多くありました。土地利用が当初計画とは大分変わって、どうしようか悩んでいるというのが、全県通しての実状だと思います。そして都市づくりやまちづくりの理念、方針ということで、都市やまちの歴史、都市機能、文化など、その流れも踏まえて、そのまちのエリアの特性に応じた目標、方針をしっかりと立てられたら、コンパクトではなくてもいいのではないかと、個人的には思っています。

最後に、仙台や仙台都市圏は例外だという話はありましたが、そのエリアの中でさえも、どうしたらいいのか分からないというところが出てきています。我々こういった業務に携わる者としては、先輩たちが一生懸命やってきたということを分かっていますし、悪いとは思っていませんが、これからは我々でひとつひとつ考えていかないといけないのかなと思っています。

北原先生

はい、ありがとうございます。
最後の辺りの話は重要だと思いますし、途中としては特性に応じた『そのまちのまちづくり』というのを考えたらいいのではないかという話ですが、そのこと自体がある意味でコンパクトシティだと、わたしは思います。

それでは、岩手県さんの方からご意見頂きたいと思います。よろしくお願いします。

岩手県

コンパクトシティという言葉は、去年、都市計画課に来た時に知りました。まちづくりというのは住民の皆さんとつくるもので、マスタープランの中でもそう目標を掲げていますが、コンパクトシティという言葉を、例えばまちの高齢者の方にお話をしたとしても分かりづらいので、日本語として、何かいい表現はないものかと考えたことがあります。

コンパクトシティの理念については、県の都市計画区域マスタープランの中で、都市づくりに対しては、県の総合計画で示されている環境、ひと、情報というキーワードを、コンパクトシティでスクリーニングするような形でもってきています。県全体の大枠の理念としては、環境共生の都市づくり、住民みんなでつくる都市づくり、それからコンパクトシティの流れでいきますと、コンパクトな都市づくりということで、3つの理念を掲げております。

最近の動向につきましては、線引きの見直しをしております。その中でも、将来的に人口がどのくらい増えるのか、マンションについても過去からのトレンドという形で、数字的なものを参考にして、見させて頂きました。やはり去年の秋頃から現在にかけて、一挙に建設計画が持ち上がり、着工が始まっています。駅周辺部にはマンションが増え、中心市街地の小さな商店街では、店を閉めたその後にマンションが建っております。昔は賑わいがあったところにマンションが建ち、大規模小売業者が郊外に開発を始めるという状況です。やはり、まちなかには人が集まりますが、生活する上では大型店に頼ってしまうという、逆転するような現象が出ております。

それから、自転車から発想するまちづくりということで、フォーラムを開催致しました。これは、中心市街地の自転車利用を促進しようということで、環境問題や放置自転車の問題なども含めて、自転車からまず発想してみようということものです。県のこれからの取り組みは、今年の5月に策定されるマスタープランを生きたものにするために、いまはまだ準備中ですが、都市政策研究会ということで、県内の市町村が抱える都市計画の施策についての課題を抽出し、都市基盤、土地利用など4つのグループを作りまして、ワーキングなどを予定しています。
北原先生

はい、ありがとうございました。

では、盛岡市さん、お願いします。

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