東北地方の地方都市における「コンパクトシティ」とは何か/「コンパクトシティ」実現に向けた方策は、どんなものか
石巻市

石巻市の実態ですが、現在中心市街地が地盤沈下しているものの、郊外部で5つの区画整理事業を行なっております。それはなぜかというと、昭和 58 年に三陸道とインターが設けられるということで、無秩序な開発を防止するために、市街化区域に編入しました。要するに、 20 年前にそのような動きが出ていて、まだそこを整備しているという状態です。しかし、 20 年前に現在の状況を想定出来たかというと、無理だったと思います。都市計画で、 20 年後どういう状況になっているかを見据えるのは、なかなか難しいと思います。その中で、現在石巻市の周辺の地域 6 町と合併を進めておりますが、引き続き三陸道が延伸されているということもあり、そういった合併の時に市街地をどうするかということで、コンパクトシティといった考え方が、必要になってくるのではないかと思います。

北原先生

はい、ありがとうございました。

東北の都市の場合、人口を増やすなど、さまざまなことを何年も前に行ったあとで、いま急にコンパクトという言い方をしたときに、 20 年前 30 年前のツケを否定するのは無理な話です。その状態の中でコンパクトと言うためには、新しい都市をつくることとは違うため、 20 年前に行なったことを当時の体制で評価しながら、それをもう一回コンパクトということに活かしていくことが、そう簡単なことではないということが、いまのお話の中にあると思います。もうひとつは、合併の時代だからこそ、コンパクトなまちづくりということを、どういうところに入れていくかということが、ひとつ論点だという気が致しました。

では、続きまして塩釜市さんお願いいたします。

塩釜市

コンパクトシティそのものの概念は、我々自身どういうものかイメージが掴めていないというのが、正直なところです。

塩竈市は、面積が 18 平方キロで、人口は 6 万で、人口密度は東北一だと思いますし、そういう意味ではコンパクトなところです。離島を抱えていますが、本土部分では約 98 %が市街化区域です。そういう意味では、一定程度開発され尽くしたまちという前提があります。

まちづくりを考える場合、市街区が全て連担している中で、それぞれの自治体があります。それぞれのまちがコンパクトといっても、広域的なことも含めて、なかなか難しい側面があり、人口密度がこれだけ高いにも関わらず、結果的には減少しています。これは産業構造とかいろいろありますが、仙台も含めた周辺の市町村やそれぞれ線引きも含めて、団地開発もどんどん行なわれています。特に一実施帯の中で移動ではなく、隣の町に移っても通勤距離は 10 分〜 15 分というのも、原因のひとつです。

手法は古いのですが、中心部にある 700ha の土地の区画整理事業をやることになりました。行政も市民も、ショッピングセンターを持ってきたらいいんじゃないかという議論しております。テーマは食住商、そこに住んで、そこで商いをしてもらって、そこでおいしいものを食べてもらう、複合的なそういう居住空間をつくっていきたいと考えています。しかしこれは抵抗され、今時そんなマンション建ててどうするのか、もっと手っ取り早いスーパーを持ってきたらいいのではないか、というような蛮声が出ています。居住も含めた空間を中心部に立ち上げるには、いろいろ制度的な問題もありますが、そういうものを目指していきたいと考えています。

仙台都市圏東部地区は人口が 16 〜 7 万ほどなのですが、それぞれのまちで、交通体系等も含めて一緒にやっています。まちづくりのそれぞれの課題についても、ある程度近隣のところと調整、相談しながらやっていかないと、非常に難しいのかなと感じています。

北原先生

はい、ありがとうございました。
コンパクトなまちという形のひとつのネットワークに、近隣の動きと繋げていく、例えばAというまちが厳しい施策をしても、Bが逆に緩い施策をしてしまったら、結局郊外部にできてしまうという話があります。そのような話が、合併に至らなくてもあるということ、これがいま連携する区域マスタープランをつくっていくためには、重要なことだと思います。

それでは、古川市さん、お願い致します。
古川市

平成3年頃から 13 年頃まで、都市計画の中で都市の拡大をして参りました。 11 年頃から中心市街地の話をし始め、いまは外部という所で、あまり計画論とは関係ないところにいたのですが、このような研究会があると聞き、今日参加させてもらってます。

古川市は、合併により、宮城県で一番大きな面積の都市になります。長さも鳴子から鹿島台と、かなり長い地域になります。さきほど鈴木先生の講演で、都市と農村という話がありましたが、我々もそういうところを考えなくてはならないと思っておりますので、ぜひ、都市と農村の関わり方や農村施策等をもう少し議論して頂けるようお願い致します。

北原先生

分かりました。東北の都市を考える場合に、非常に重要な話ですので、進められたらと思います。

では、宮城県の方で一言、県としての考えをお聞かせ願えないでしょうか。


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