東北地方の地方都市における「コンパクトシティ」とは何か/「コンパクトシティ」実現に向けた方策は、どんなものか
いわき市

東北の都市の現状という資料を見ると、いわき市は市街地が分散していることが分かります。JRいわき駅をはじめ、市内に 13 の駅があり、JR常磐線に沿って市街地が広がっていますが、これは合併前の旧5市にあたる所で、合併したことによって、各々で市街地が広がっていきました。

合併したことで、いろいろな問題があります。例えば、総合体育館をつくろうとしても、地元意識というものがあるため、結局地区ごとに欲しいということになります。先ほど鈴木先生の方から、宮城県沖地震のガスの話がありましたが、いわき市はガス会社が数社あり、市内でガスの圧力が違うので、例えば平から小名浜に引っ越した際、ガス器具が使えないため買い換えないといけません。それから、平と小名浜では見られる放送局の数が違います。海側にある小名浜は東京の方の放送が入りますが、平は県内の放送だけです。

この地図を見て、合併前の方が、コンパクトシティのイメージに近いように思いました。合併前は駅ごとに中心市街地が形成されており、周辺の農村などから買い物に来ていたのが、現在は合併したことにより道路がつくられたため、車で遠くまで買いに行きます。ちょうど、平と小名浜の中間地点に、いわきニュータウンというのがあるのですが、この周囲に大型ショッピングセンターができ、大勢の人が車で買い物に来ます。そういうことから、現在のいわき駅周辺の商店街は日常生活用のお店よりも、夜開けるお店の方が多く出ている状況のため、昼間行くと少々淋しいまちとなっています。

もうひとつ、しないの公共交通を担っているバス会社があるのですがバス路線の維持が大きな課題となっています。例えば、山間部では、バス路線を支えるために、年間 4 〜 5000 千円お金を払って、路線存続のための運動をしているという状況です。そこで今回、新たな総合都市交通計画というものをつくりました。 10 年前のバブル期につくった総合都市交通計画では、市街地拡大という視点において道路整備を中心にした計画でしたが、今回は少子高齢化や環境、財政問題が視点です。人口について、現在約 36 万人が概ね 20 年後の平成 37 年で約 33 万人に減少すると見直し、市街地の拡大も抑制する方向で、土地利用の考えと道路整備、公共交通、TDMの 4 つの施策をミックスした都市交通マスタープランを策定し、計画の実現に向けて取り組んでいくことになりました。個人的には、合併は合併でいいところがあると思いますが、逆に他の市町村のDID地区を見ると、いわき市はもとの市街地の規模に戻すと、コンパクトシティに近くなるのかなという印象を受けました。

北原先生

ありがとうございました。

いわき市のように大きく合併したところだからこそ、コンパクトシティの話をしていくときに、公共交通の話がいままでの中で大きく出てきたことが特徴だと思いますし、その辺りを合併の話をこれから広くしていくときに、公共交通機関とか、道路をどう整備していくかということが、大きな話題であるという気が致します。

実は、この3年間で、まちなかのマンションの立地が最も増えている都市はどこかということをある工務店に聞いたら、いわきと福島だという答えが返ってきました。いわき市さんの場合、まちなかのマンション居住が増えつつ、ライフスタイルが郊外型というのがかなり多いような気がするのですが、その辺りはどうなのでしょうか。
いわき市

いわきの場合、いわき駅周辺にここ数年マンションがかなり建っており、すぐ満室になっている状況です。それから、いわきニュータウンについては、昭和 50 年くらいから、計画人口 2 万 5 千人を目標にしていたのですが、いまは半分くらいなっています。ニュータウン開発当初は、人口増加傾向にあったのが、いまは減少になったということがあり、団地開発についても、バブル期には十数箇所の団地の開発許可の届出がディベロッパーからあったらしいのですが、いまは取り下げや、市の方から開発をやめて欲しいということで、半分くらいに減っているそうです。残りの半分は開発許可が出たままなので、 4 千宅地くらいは残っているそうですが、それもなくなる方向にあると思います。

北原先生

はい、ありがとうございました。
公団がやっているニュータウンは、全国でも同じような状況にあります。

では次に、ニュータウンがある秋田市さん、お願いいたします。

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