意見交換会:「都市交通・公共交通について」
テーマ4 自転車交通
仙台河川
国道事務所

「安心歩行空間が生まれました〜東二番丁通り自転車歩行者分離〜」

資料5−1で説明したいと思います。一枚目に、歩行者、自転車分離の位置の地図が載っています。仙台駅西側の国道4号線、東二番丁通りです。本来はこの東二番丁通りにおけるバリアフリー歩道整備のあり方について懇談会を平成12年度に開催しまして、3年ほど続いています。その中で、自転車と歩行者の通行を分離したらどうかという提案がありました。これは委員の方から、バリアフリーで歩道が歩きやすくなっても歩行者、自転車が非常に多いため、歩いていてもすぐ脇をものすごいスピードで自転車が通り抜けていくということです。非常に怖いということでバリアフリー歩道整備をしても安心して歩けないじゃないかということで提案がされました。そのことから平成15年度に社会実験を行って昨年の2月15日に本格実施したものです。

2ページになりますが、社会実験の概要を書いています。社会実験は平成15年6月16日から約2ヶ月間おこなっています。場所は分離をした西側の歩道、片側歩道で社会実験をしています。ここは非常に歩行者、自転車が多く、歩行者は1万人、自転車は約4000台です。分離方法はこれを考慮して、歩行者通行帯は4m、自転車通行帯は3m、ということで幅を決めています。

3ページの方にその横断図を載せています。従来は、植樹帯で歩行者通行帯、自転車通行帯を分けていたのですが、今回の実験は人工物、構造物による柵によって分ける方法をとっています。なぜ従来の植樹帯ではだめかというと、委員の方から、植樹帯で仕切ると非常に見通しが悪くなるので違法駐輪の温床になるという意見があったので、分離柵を用意しています。もちろんこれは通行帯の幅を広くするという目的もあります。コの字型のステンレス製の柵を4〜5mの間隔で設置しています。この他に路面表示として白線と自転車マークを設置しています。4ページが標識と白線、分離柵の写真になっています。

効果ですが、分離柵による遵守率を載せています。遵守率というのは自転車、歩行者がそれぞれ通行区分を守っているという割合、これを遵守率と定めています。下にグラフがありますが、分離柵設置前、実験前は、平均遵守率65%になっていましたが、分離柵設置後、実験中は約90%に上がっています。

5ページになりますが、錯綜回数これは自転車、歩行者との衝突を回避する現象を数えています。これは自転車と歩行者のみならず歩行者どうし、また自転車どうしがぶつかりそうになって脇によける回避する行動も数えています。これが実験前と実験後を比べると約3分の1に減少しました。よく言われる質問なのですが、自転車と歩行者の事故が減ったかをよく聞かれるのですが、自転車、歩行者の事故は把握しておりません。これは一般に自転車歩行者事故の件数を確認するのには警察に問い合わせするのですが、自転車と歩行者の接触事故を警察に届ける件数というものがすごく少ない。一応確認はしましたが、年に1、2件警察に届けられています。潜在的に自転車と歩行者の接触というのはかなりの数というのがあると思うのですが、それが警察に届けられていないために、件数が把握できていません。

同じ5ページの方にアンケート結果を載せています。約8割の人が、分離柵が必要であるという回答をしています。交通困難者、視覚障害者、車椅子利用者ですけれども、約90%が必要であると回答をしています。

最後のページになりますが、社会実験の結果、アンケート結果等が非常に良好だった為に反対側の歩道も整備し、平成17年2月15日に柵による自転車、歩行者の分離を本格実施しました。本格実施後も、遵守率を調べています。下のグラフになります。2月15日です。あと、2月18日、3月2日、遵守率を調べています。遵守率はそれで90%および100%となっており、実験した期間と同じように高い割合となっています。最後にマナー向上に向けてということです、本来は柵などの人工物で分離するものではなく、各自のマナーの向上により通行帯を守ることが本来の姿です。もちろんここの柵は着脱式となっていますので広報やマナーアップ運動によって、将来外せるようにしていきたいと思っています。あと最後に本格実施後もアンケートをとっているのですが、その中の意見として、こういう幼稚な規制をしているようでは大人の街にはなりませんという意見が非常に印象に残っています。以上で紹介を終わらせていただきます。
北原先生

はい、ありがとうございました。このテーマ続けてもう一つテーマをお聞きした上で意見交換会をしたいと思います。続きまして仙台市からよろしくお願いいたします。

仙台市

「杜の都のまちなか自転車プラン(案)の概要」

仙台市では現在、杜の都のまちなか自転車プランという自転車に関する計画を年度内の策定を目指して現在作業をしているところです。計画策定の趣旨ですけれども自転車はご存知のとおり都市内交通手段として非常に優れています。しかし、実際には、交通機関としての位置づけが他の交通機関に比べて明確にされていないということ、それから様々な課題があるということから、これについては相互的な計画を立てて施策を一貫的にやっていく必要があるのではないかということでこの計画を策定するとなっています。課題については、主に2つの課題があると考えています。

一つは走行に関する安全性の問題です。これは自転車が関連する交通事故で統計から取ったものですけれども、右肩上がりで非常に増えています。

二つ目は、路上放置の問題です。これについては、仙台市の全体での路上放置は非常に年々減っています。比較的駐輪場の整備が進んできたので減ってきていますが、都心部では市全体の路上放置が5400台、その中で都心部に5000台が集中している状況です。

このような課題がありますので、我々としては自転車利用の基本計画を立てるにあたって、どういった方向でいこうかと考えた時に、自転車利用環境整備に関する基本方針を立てて、自転車をいつでも誰でも安全に快適に楽しく利用できる環境づくりを目標にしていきたいと、「安全で快適な道路空間の形成」、それから「路上放置の削減と利便性の高い駐輪空間の創出」、それから「協働によるルール・マナーの意識づくり」、それから「楽しく自転車が利用できる環境づくり」、この4つを、施策として進めていきたいと考えています。最終的な目標は、この基本方針に沿って目指していくわけですが、まだ大きな課題があり解決しなくてはならないことから、まず当面10年間の期限を設定して、走行、それから路上放置に対して、集中的に取り組んで解決を目指すということです。具体的な取り組みについては走行環境と路上放置に関して取り組んでいこうと考えています。

今回は歩道の安全性を中心に話をします。走行環境の取り組みは、ハードとソフトがそれぞれあります。

まずハード面についてです。今、仙台河川国道事務所からの話もあったとおり、やはり歩道での安全性確保の為に、自転車と歩行者の空間の明確化が必要です。これはアンケート結果からも実態調査からも出ています。またソフト面では利用者の意識の向上、これは重要になるのですけれども、そのハード面の取り組みとして、まずその重点路線の設定を行いたいと考えました。仙台市の今回の計画ですが、都心部をターゲットとして、この都心部の主要な道路において自転車が安全、安心に通れる道路にします。その結果、歩行者も安全になります。下の図4のように赤で書かれたところが重点路線で、自転車と歩行者の空間を明確化して安全を図り、青で書かれている路線は、ゆっくり走行路線ということで自転車と歩行者の空間を明確化するのが非常に難しい、つまり歩行者の交通が非常に多いとか、歩行空間が狭いということで難しいのですけれども、自転車と歩行者の安全性を図るために何らかの施策をしていくことを考えています。そして重点路線の考え方ですけれども、まずはネットワーク上必要な路線、例えば都心部の公共駐輪場に行くまでのルートや、都心部の回遊性を考えて、まずネットワーク上必要であると。それからもう一つは、実質上、10年間でやらなくてはいけないということで新たに用地を買収して自転車専用レーンをつくるというのは、現実問題として難しいことから既存空間ということで、おおむね歩行空間が4m程度以上あるような道路について重点路線として設定しています。4mをどうしても取れないところで、ネットワーク上どうしても必要な路線についてはゆっくり走行路線というように設定しています。そしてこの重点路線をどのように整備をするのかというと、主要な例としては視覚的な明確化、つまり、色分けや区画線によって歩行者空間と自転車空間を分け、標識をつけることによって自転車走行区間と歩行者との分け方をしたいと考えています。今、河川国道でやっているような物理的な分断ができる区間がない、つまり、東二番丁の歩道は9mくらいですが、他にそれほどの歩道があるような区間が仙台市にはありませんので、実質的には視覚的な明確化をしていきたいと考えています。

もう一つ、ソフト面の取り組みとして、今後も走行ルールとかマナーの啓発化、教育を効果的に実施していきたいと考えています。場合によっては罰則をも視野に入れたことを考えなくてはならないと。実効性のあることを考えていきたいと思いますが、特に実効性のある駐輪については簡単に公共駐輪場の整備という考え方から、今後民間の駐輪スペースの確保を中心に考えていきたいということで、その取り組みを今後制度化または指導によって行っていきたいと考えています。最後に6ページになりますけれども現在、まだ案の段階で、市民からの意見募集で昨年の12月1日から平成18年1月10日まで、意見募集をしていました。これには、ホームページの掲載や市役所や区役所での配布をおこなっていたけれども、募集期間が終わって意見件数が27件ありました。

さまざまな意見がありまして自転車に対して熱意のある方、お考え方を持っている方が非常に多かったです。現在意見について整理をしているところです。現在、案の段階ですが、まちなか自転車プランの概要版ということでホームページに掲載していまして、現在の意見募集は終わりましたが、まだ掲載していますのでご覧いただきたい方は仙台市のホームページで見ることができます。今後のスケジュールについては、これから市民意見の反映などをしまして年度内にこの計画を策定、市民の皆さんに公表したいと考えています。以上でございます。

北原先生

ありがとうございました。

仙台市から、ホームページの意見募集に熱意があるご意見がありましたけれども、どのようなご意見があったかお話いただけますか。
仙台市

やはり、大きく2つに分かれます。自転車を使いやすくして欲しいという、これは自転車利用者の方の意見だと思います。もう一つはおそらく歩行者の方、特に高齢者の方の意見で、もっと厳しく取り締まってくれということです。非常にこれがはっきりと分かれて面白いです。便利にしてくれという意見、これはわかりやすくて自動車専用の道路を作って欲しいとか、駐輪場を整備して欲しいというような意見が多いです。一方で、厳しい意見の中では罰則の強化、それから自転車を免許制度にしてきちんとルールを知らないと乗れないようにしてくれと。それから自転車そのものを登録制にして放置の時に、今も防犯登録があるのですけれども、自動車のようなナンバー制度にして放置ができないようにするべきなど、色々な意見がありました。全体としてプランに対しての評価は高く、こういうプランは仙台市として初めて作ったことには比較的高かったと思います。内容についてはもちろん色々な意見がございました。

北原先生 駐輪場の付置義務で屋上に駐輪場をつくるといった事態はあるのですか。
仙台市

特に都心部のお店では1階のいいところに駐輪場をつくろうと思っている店はほとんどありません。それからもう一つ管理上の問題から、一般の方から見えにくいところに駐輪場をつくる傾向がありまして、屋上だけではなく、例えば何階の奥まった所など、分かり難い所、案内もない状況が非常に多いようです。

北原先生 はい、わかりました。ありがとうございました。

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