(6)歩いて暮らせるまちづくり 次に、ここ数年の金沢市の大きな課題である、街なかの駐車場についてです。こちらの図面は、平成9年と15年に行った実態調査をベースとした図面です。青いプロットした部分は平成9年時の駐車場、赤い部分がこの6年間で駐車場化した部分です。全般的に赤い部分がポツポツと分布していることが分かると思います。箇所数で15%、台数で8.5%と増加傾向が止まりません。さらにこれまで駐車場に不向き、不適地だと思われてきた場所にまで駐車場化が進んでいることが確認されています。シャッター通りはそれほど目立ちませんが、建物の除却を伴って駐車場化がかなり進んでいる都市と思っています。この傾向として分野別の形態をみていきますと、特に「時間貸し」、「月極」の増加が非常に著しい状況です。また、街なかとして非常に土地利用の効率の低い平面の駐車場が箇所数で93%を占めています。また、この平面利用駐車場は、街なかの公園や道路を引いた実利用面積の14%を占めています。ゾーン別にこの課題を整理すると、居住系ゾーンでは、建物除却に伴い、地域のコミュニティ崩壊が進んでいます。用事のない業務用や来外用の駐車場が居住系ゾーンに混入することによって、人と車が錯綜し、安全性が低下している問題があります。その次に、商業系ゾーンついては、人と車がバッティングするので買い物客の安全性が低下し、商店が減少。そして、店舗としての連続性が失われるので、この商業空間全体として魅力の喪失につながっていると思います。竪町と香林坊周辺の土地利用現況図をベースに。時間貸し駐車場、専用駐車場、月極駐車場を入れてみます。これだけ見ましても、かなり虫に食われたように駐車場化が、ルールもなしに進んでいることが見てとれると思います。 次に、業務関係の方ですが、金沢市の場合、中心業務地のビルがかなり老朽化しており、駐車場の不足が長い間指摘されていました。この赤い外枠の部分が行政側としても業務地区と考えている範囲です。この中をいくつかのゾーンに分けて調査を行っています。まず、この赤いゾーンの中にある事業所が、このゾーンの中で駐車場を確保できている台数が1,860台、離れた他のゾーンに駐車場を構えているのが615台、そしてこの業務地区内で駐車場を確保できずに背後の住宅等ゾーンの中に混入してしまっている駐車場が512台と推計しています。金沢市では、住宅地に混入している黄色い部分が問題であると考えて施策展開を考えています。その他、幹線道路上での荷捌き駐車による公共交通の走行阻害といった問題も発生しています。このような、街なかにおける駐車場の問題を金沢市は、「金沢市駐車場整備連絡協議会」に諮りました。結果として、一つ間違うと中心市街地の空洞化に拍車をかける恐れがあるとしています。それは、この駐車場のほとんどが民間施設で、個人土地利用に深い関係があるからです。また、人々の生活にも密接な関係があるので、市民と開かれた議論をし、改めて、基本方針をきちんと策定した上で、必要な施策を進めるよう回答を受けました。そこで金沢市は、平成16年度に公募による市民委員を追加し、「まちなか駐車場のありかた市民検討会」という組織をつくりました。さらに、ホームページ上で情報公開や電子会議室の運営、メルマガの発行等や他に市民フォーラムの開催を併せて行い、基本方針を策定しました。この問題の根本にあるのは、行政が扱えるのは公共が運営する駐車場、その他はパークアンドライドといったもので、その他民間関係のものについては、基本的には付置義務制度で量的な確保を全体の仕組みとして進めることしかできなかったということです。まず今年度として、金沢市はこの駐車場の適正な配置に関する条例の制定を進めています。今年度の3月の議会でこの条例の制定をする予定です。この条例の中には、街なかの駐車場だけでなく、パークアンドライド駐車場、その他駐車場も含めて、適正な配置を行うといった考え方で条例を制定したいと思っています。具体的には、駐車場の届出制度を実施したいと思っています。駐車場法では、料金の高い時間貸しだけが届出対象となっていますが、全ての駐車場の設置改修に伴う届出の義務を課する予定をしています。なお、届出に併せ相談窓口を創設する予定をしています。その中で、指導助言を進め、少しでも駐車場化の抑制を図りたいと思っています。また、今後、施策展開するためのデータとして活用したいと思っています。全部抑制できると思っておりませんが、少しでも減らしていきたいと思っています。 もう一つ、業務系ゾーンで、住宅系に駐車場が滲み出しているものの対応策として、業務用駐車場の高度利用化の支援制度を独自に創設するつもりです。業務地区内のエリアの中で平面になっている部分を立体化してもらえるように、事業に対して支援を補助制度として用意をするつもりです。これは事業主体が普通民間の一地権者でも認めるかたちで考えています。その他商業系ゾーンについては、安心して歩いて買い物ができるエリアをどこにするか、どれだけの範囲を買い物客優先にするかといった話を進めていかなくてはならないので、現在、商店街をモデル地区として、地元の代表の方々と意見交換を進めているところです。 最後に、次年度以降の考えている主要な取り組みを紹介します。まず、来年度は「新金沢市交通戦略」ということで、10年後を想定した交通体系を再構築するビジョンを具体的にどう進めていくかを、市民の方に分かり易いプログラム形式でつくっていきたいと思っています。また、公共交通の利便性の向上、歩けるまちの関係、駐車場の条例に基づく施行、ふらっとバスの国産化へのスタートを含めた見直し等、そういったことを進めていきたいと思っています。 最後に、公共交通の利便性の向上について、「勝手にバストリガー方式」を紹介します。北陸鉄道や民間の事業者からしますと、運賃体系を変えることを非常に嫌います。少なくても採算の見込みがある区間については、特別扱いしてもいいはずではないかという考え方です。具体的に、金沢大学が郊外の方に移転した関係で、金沢大学周辺の地区に関して、片道を210円から100円とすることです。さらに便数、運行時間の改善を計画しています。このような内容を金沢大学と北陸鉄道が協定を結び、協定の中では一定量の目標の乗客が達成できなければ2年後には元に戻すこととしています。北陸鉄道がこれに取り組むリスクの負担として、金沢市がこの一定量を下回った赤字及び目標値に対して下回った分の2分の1については、当面、市が補填します。現在話を進めており、具体的に平成18年4月からスタートする予定です。金沢大学の学生たちの交通手段を確保したい思いと合致しまして、4月から導入に結び付けられたと思っています。一方的にサービスを提供し、乗って下さいという広報活動をするのではなく、利用する側の方にも、「ある程度責任感を持てば便利になる」という図式をつくりたいと考えています。悪循環を断つための一つのきっかけになればと期待している仕組みづくりです。その他は、ICカードを導入したこともありますので、乗れば乗るほど得になるマイレージシステムを入れたいということで進めています。システムの改善等については、国と金沢市で整備費の支援を予定しています。このマイレージシステムについては、将来的には商店街からのバス利用客に対するサービスとも、連携させていきたいと思っています。 以上となりますが、金沢市が悪戦苦闘しているといった雰囲気はお伝えできたのではないかと思います。本日は紹介しませんでしたが、LRT新交通について、金沢市は昭和49年から新交通の検討が進められてきています。LRTやガイドウェイバス、AGT、ミニ地下鉄等が出てきましたけれども、採算性の関係で、実現には至っていません。以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。 質問1(郡山市) 回答1(金沢市) 質問2-1(仙台市) 回答2-1(金沢市) 質問2-2(仙台市) 回答2-2(金沢市) |
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