意見交換会:「まちなか居住ついて」
北原先生

はい、ありがとうございました。
それでは、事前の参加者からの質問を含め、これまでのところについて、先生に意見を頂きたいと思います。

(1)特に東北の場合は雪国であるということがあって、高齢者の人たちが楽なようにという話で出てくるのですが、どうしたら高齢者と若い世代が一緒の地域に住めるのか、どういう魅力がないといけないのかという質問があったかと思います。また住んだとしてそこに享受できるものが保たれているのか、そういう施策がないとただ住むだけになってしまうので、都市計画をどのように考えていかなければならないのかということがあるかと思います。それと、鶴岡市のようにシニアと一緒に文化を楽しんでいく、あるいは変化していくことを考えながら、新しいまちの文化を考えていくようなまちなかの魅力について、考えていく必要があるかと思います。

(2)盛岡の問題提起として、マンション建設による景観の問題、近所づきあいの問題を東北の地方都市は捉えていくかを考えていくのか。

(3)それから、建ってきているマンションが地元の業者なのか、外から来ている開発業者なのかを気にしていくのかという話がありました。地域で住み続けられるまちづくりなどについて、地元で考えていく問題と、どうやって外の開発業者と向き合っていくかが重要だと思います。

(4)まちなかの空き家についてお話頂きましたが、東北のコンパクトシティまちなか居住の問題に対して、郊外部の空き家化をどう住宅市場に乗っけていくのかを考えていかなければならない状況になっています。

では、野嶋先生からお願いします。

野嶋先生

全部福井市で直面している事と同じです。

(1)福井市も雪が多く、高齢者がまちなかに戻ってくる理由として、雪処理をしなくていいという人もいます。若年層と高齢者をミックスさせるというのは非常に難しい問題で、高齢者を支援していくのは若年層ですので、多世代混住というのをやっていかなくてはいけないと思います。子育て世代がワーカーズとして高齢者の支援をしているというところもあります。コミュニティビジネスみたいなものを積極的に位置づけていくのがひとつ重要だと思います。
文化を楽しむということですが、生活文化を発信していくことが重要だと思いますので、難しい芸術じゃなくていいと思います。主婦がつくったものを発進していく場と仕掛けをいかにつくっていけるかということだと思います。場と仕掛けは、コーディネートできる魅力ある人をつれてくるのが重要だと思います。

(2)マンションの景観ですが、マンションができて空地になって駐車場になって、一戸建がパラパラとあるという都市像で良いわけがなく、持続性がないからそうなるのだと思います。上尾のようにダウンゾーニングを真似するわけではないですが、ある種のプロトタイプみたいなものをまちなかで決めて、ボトムアップ的にモデルをつくっていくことが必要なのかなと思います。そういうものが連単していったときに、どういう景観像や近所づきあいのかたちができるのかというところを、まずモデルをつくっていくのが必要なのかなと思います。

(3)それから、地元の業者と外の業者ですが、最近、地元の業者がコミュニティスペースみたいなものをつくって、コミュニティカフェみたいなものをつくろうとしているところもありますので、そういうことを積極的にしていくことが重要だと思います。

(4)最後にまちなかの空き家と郊外の住宅地の今後ですが、これは難しい問題で、私はまちなか居住も郊外居住も、居住の継承性が危ぶまれていると思います。まちなか居住は最初に起こった代表的な事例で、要するにそこが使い捨てされ、次に郊外居住が危ないという状況が出来たということで、状況としては全く同じなのかなという気がします。答えにはなりませんが、コンパクトシティを、トップダウンで考えることもいいのですが、もうひとつはボトムアップ的に、詳細な住宅まちづくり計画を、郊外部も都心部もそれぞれつくって、その中で答えを出していけばいいのかなと思います。


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