今日は空地や空き店舗をどうするかということに絞って考えて参りました。まず、県内あちこち中心市街地の問題を抱えていますが、山形市についてお話しします。
山形市の状況を申し上げますと、市の市街地の南と北にショッピングセンターがありまして、中心市街地を挟むようにして立地しています。その影響もあり、中心商店街が元気のない状況が続いていました。店舗が撤退して空地になっているところ、空きビルになってしまったところがいくつか出ています。
この写真は、空地になったのはずいぶん前なのですが、その周辺が老朽化した店舗があったところで、ここの地権者の方が、再開発とそのビルの周辺の区域を含めた区画整理を行ったところです。ここの建物はカタカナのコの字になっていて、ちょうどその開いたところが道路に面していて、小さな広場になっています。
次のページです。このように建物が3方を囲んでいて、通り抜けできるようなかたちで計画されているところです。広場自体は空地になってから市で買い取って広場として使っていたのですが、広場をそのまま活かすかたちで建物の配置が考えられています。休日はイベントやフリーマーケットなどで活用されています。行政の立場から話しますと、以前からあった広場をそのまま活かすようなかたちで建物も新しく建替えて、まちの中の貴重な空間として確保できたという評価はできるかなと思っていますが、逆にユーザー側の立場に立ってこの建物や空間を見てみると、どうも居づらい空間になっているような気がします。先程岡部先生の話で、人間的な公共空間が存在したことがかつてヨーロッパの中世都市でまちの発展を支えたというお話があったのですが、広場の使われ方、また市民にとってここがどういう広場なのかということを考えると、わたしも休日家族と出かけましたが、ベンチがあっても休んでいる人がなかなかいないという、ちょっと残念なところがあります。そうは言っても、空地をうまく利用できたということでは、それなりに上手くいった事例として考えられるかなと思います。
もうひとつ、最後のページですが、かつて山形松坂屋というデパートが入っていたビルです。最初に申し上げましたとおり、ショッピングセンターが両端にできたということもあり、平成 12年8月に閉店しましたが、そのあと公共施設とテナントが入るかたちで平成14年6月に再オープンしました。空き店舗がそのままになっているよりは、こういったかたちで改めて活用されるというのもひとつの方法かなと思いますが、あくまで個人的な意見を言わせて頂ければ、果たして県や市の施設がどこまで入居するのがいいのかなと思います。これは8階建てのビルですが、5階から8階までが県と市の施設が入っています。公共施設がまちなかにあるのは結構なことですが、民間のビルだったところに県や市の施設がどれだけ入ればいいのかという問題はあるかと思います。
それから写真はございませんが、駅ビルを出た正面が空地のまま3〜4年放置された状況になっています。最初にお見せしたスライドと何が違うかというと、地権者が店舗を撤退させたあとの活用方法についてまとまっていないために、アドバルーン的に色々な構想が打ち上がるのですが、現実のものになっていないということです。
民間ベースでがんばろうという動きとして、山形県出身の作家井上ひさしさんが、中心市街地を元気にするために、小さな劇場をつくりたいという考えを公表されました。地権者もその考えに賛同し、その方達を核として今話し合いをして、実現に向けた取り組みが進められています。以上です。 |