東北地方の地方都市における「コンパクトシティ」とは何か/「コンパクトシティ」実現に向けた方策は、どんなものか
北原先生

瀬戸口先生、どうでしょうか。

瀬戸口先生

函館市が、合併とコンパクトシティということで議論になりました。函館市はスプロールしている同じ都市計画区域の上磯や大野町と合併しないで、隣の戸井町等の漁村集落と合併するのですね。そうすると母都市とスプロールした周辺市町村という関係が切れて、そのまま残るという問題がひとつあります。

もうひとつは、コンパクトシティの要素となる公営住宅です。函館市と漁村集落の公営住宅を合わせますと、漁村集落の人が旧函館市の公営住宅に入る権利ができてしまいます。そうなると函館市の公営住宅にすぐに集まり、母都市への人口移動がある程度加速されるのではないかという議論が行われています。そこから公営住宅の配置をどうするかとかいう課題が出てきていて、都市計画とは少し違うのですが、住宅政策のところでもコンパクトシティが少しずつ意識されています。

中出先生

函館市等、北海道の公営住宅の実数が高いのではないでしょうか。

瀬戸口先生

9%です。

中出先生

新潟県では 1 %台です。

鈴木先生

全国で 5 %無いくらいですね。

中出先生

長岡市は 1 〜 2 %だと思います。

県営住宅その他の公営住宅を考えた場合少ないため、公営住宅の議論は出てこないですね。

瀬戸口先生

北海道の場合は公営住宅で相当市街地を作ってきましたので、合併によって大きな人口移動が見込まれます。

鈴木先生 先程の大型店舗の立地についてですが、合併するとどうなるのかと考えたことがあります。中心市街地になるような市と周辺部の農村部が合併した場合、同じ土俵で議論ができるようになるのかなと思ったことありますが、私も中出先生と一緒で、合併議論と都市計画要素はあまり関連づけるべきではないと思っています。ただ、福島県は広大な土地をもっていますので、7つの圏域に分けて、それぞれ地方生活圏での基本的方針を立てることになっています。したがって、それに対応した広域的都市計画マスタープランを順次策定しているところでありまして、合併との関わりとは別に、広域都市計画マスタープランで、インフラ等を順次整備していくというのが福島県の考え方です。私はこのような大きなくくりで考えることが必要だろうと思っています。それはあまり合併とは関わりなしでやっても良いのではと思っています。

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