東北地方の地方都市における「コンパクトシティ」とは何か/「コンパクトシティ」実現に向けた方策は、どんなものか
中出先生

新潟ですでに合併したのは、佐渡市が10市町村でひとつになったのですが、都市計画区域を持っているのに用途地域を持っていない市と、町で用途地域を持っている2町と、それ以外は全くやってないというようなのが合併したのですが、そこは非線引きですので、4つの都市計画区域をひとつにしようと県は考えています。それは新しい市役所が白地地域に決まり、そこに用途地域をかけざるを得ないのですね。
4町村で合併したところがあるのですが、これは4つとも非線引き区域なので、これも今後都市計画区域をどうするのかということになると思います。 では線引きしているところはどこかというと、新潟市で政令指定都市になろうとみんなが集まって13の市町村で合併するのですが、内4つは都市計画区域を持っていませんし、単独で都市計画区域を持って用途地域をかけているのが数市、それから新潟の広域都市計画区域というのは合併しないところも入っています。で、どうするのかというと、当面は全部並列でいくこととしています。つまり、都市計画区域を持っていないところと、非線引きの都市計画区域と、線引きの都市計画区域と構わず合併します。新潟は今度の新法ではひとつの自治体の中に都市計画区域がいくつあってもいいとなったので、それを応用に使うことにしたのです。

長岡市は中核市を目指して合併しようとしていたのですが、合併しても今の19万人から23万人くらいしかならなくて、特例市しかなれません。その中での線引きしている今の1市3町は一緒になるのですが、それ以外にも都市計画区域を持っていないところが、2つ3つ一緒になります。それは農村地域なので、都市計画区域の話は任意協でも法廷協でも出ないと思います。出ても議論にならずに済むと思います。
今、その辺のところを議論しているのが、たぶん岐阜県です。岐阜県は、岐阜市とか大垣市とか、すごく大きな市になろうとしていますし、すでに飛騨市というのができています。それから線引きやっとした多治見市と2市1町が合併するのですが、多治見そのものが平成10年にやっと線引きして、今度合併する2市1町が非線引きの都市計画区域しか持っていなくて、一緒になったときにどうするのかと悩んでいます。

東北地方では何で問題になるのかわからないのですが、中国と同じでひとつの国に3つの仕掛けがあっても構わないと思っていまして、合併したらそのうち具合の悪いところが分かってきて、何とかしなければならないと思うくらいだと思います。私は合併推進論者ではないので、都市計画と合併を結びつけること自体がナンセンスだと思っています。

北原先生

他に何かございますか。

では、お願いします。

石巻市

石巻市も4,5町との合併を考えておりまして、その4、5町には、都市計画区域を持つ町と都市計画区域を持たない町があります。石巻市は人口10万人、合併する区域は4000人、5000人規模でして、線引き区域とそうではない区域のなどの問題があります。

また、都市施設整備等の配分、つまりどのように道路整備を各地域で進めていくかという課題があります。石巻市としては、中心部のインフラ整備を進めようと考えていましたが、合併の話が出てきたことで、交通体系等のインフラの配分が課題として上がりました。インフラ整備の要求は合併する各町からございますし、もちろん石巻市も考えております。その中で、コンパクトシティを考える際、他の都市でインフラの配分等の事例がございましたら教えて頂きたいのですが。

中出先生

新潟県の場合は、有名な総理大臣が出たところなので、もともとインフラは整備されていました。合併特例債の配分で議論になることは、箱ものをどこにつくるかということに終始していまして、インフラについてはあまり議論になっていないような気がします。魚沼市が今度6町村と合併することになっていて、山地に位置している地域ですが、インフラの整備という話はほとんど課題になっていませんので、(東北とは)事情が違うのだと思います。

コンパクトシティを考えるときには、中心部に重要な施設が立地していると思うのですね。例えば三次医療の医療施設が中心部にあるならば、そこに救急車が30分以内で行ける道路整備を進める、といったシビルニマムとしてインフラ整備を考える際は議論になり得るではと思います。新潟県は広域市町村圏毎に地方整備局があるのですが、その単位で計画を立てるとき、救急車が30分以内で運搬できる地域を拡大するためにインフラ整備を考えています。

新潟県では周辺市町村間でインフラ整備の議論はあまりありません。

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