東北地方の地方都市における「コンパクトシティ」とは何か/「コンパクトシティ」実現に向けた方策は、どんなものか
中出先生

まさにその通りだと思うのですが、先程瀬戸口先生が言われましたが、地方都市は(札幌や仙台などの政令指定市は別ですが)、本来、既成市街地と集落があれば良かっただけで、郊外住宅地が無くても済んだかもしれません。ただ戦後の人口が増えた時期に、郊外住宅地が緊急避難的には必要だっただけで、もしかしたらその人たちが元に戻れば必要なくなるかもしれません。極端に言うと、この先郊外住宅地がなくなってもしかるべきかもしれないと私は思っていまして、その時大事なのはコアになる中心市街地と集落だと思います。

長岡市では集落を維持しようと、今まで集落が活性化しないから市街化区域に入れてくれという要望に対応しようとして、毎回線引きを見直していました。集落毎に市街化区域の編入要望を聞いて、入れられるところを入れていたのですが、もはや入れたら40人/haの密度より低くなり、国交省の基準を全く満たさないような状況で、もはや広げられない。これからますます人口が減るわけだから、市街化区域が広げようも無くなるということを平成12年の時に分かって、平成12年では20集落の編入要望を、現実には3つのみとしたのですが、その3つが今までと比べると巨大な面積でした。それを反省しまして、今後は、市街化区域地区計画か調整区域地区計画かどちらかをやった場合には、開発していいということにし、市街化区域編入のために、農地を宅地化していく仕組みはやめようということで対応しています。平成12年の線引き見直しの後、市の職員が各集落に張り付いて全部に説明して、10くらいの集落が勉強会を始め、その内、昨年2つの調整区域地区計画が動き出しました。それは明らかに集落の活性化を目指したもので、計画的な開発なら認めようとなりました。こういうことが広まっていけば、ある程度の規模の集落は救えると思います。ただ集落は3つくらいあって、平場の集落と、中山間地だけどコアな集落と、降りてきてもらわなくてはならない集落があります。そのうち前者2つには成立することだと思います。

北原先生

集落地域の活性化の話が出てきました。

今二つの話が出てきましたが、一つ目は農村地域の集落、調整地区域の地区計画とかけるような集落の話ともうひとつは、もうひとつは昭和40〜50年代に地方都市が農地を壊してつくってきたニュータウンというところに住んでいる人たち今後の問題の話です。その地域がオールドタウンになってきたとき、都市計画だけでは無理で、都市計画以外の部分でコミュニティ等といったものを考えていかないと、コンパクトシティ論の中で私たちは取り残されるのかという話をされる場合があります。その辺りで先程瀬戸口先生からもありましたように、都心に戻っていくためのプログラムが必要であると思います。東北の場合、農村部の集落地域の問題と市街地の郊外部分の問題があるような気がしました。この辺りの議論で鈴木先生いかがでしょうか。


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