美しい国土づくり
事例報告「東北地方整備局における美しい国土づくり」
美しい国づくり政策大綱と今度の方向
景観法(仮称)案の概要
アクションプログラム
美しい国づくり政策大綱について  「美しい国づくり政策大綱」の背景としては、社会資本整備における量的充足から質へ。 国民のニーズや地方公共団体の取り組みがあげられます。
また、観光立国の点では、日本から外国へ行く方と、外国から日本へ来る方の差が非常に格差があることから、景観は非常に重要な要素です。
 本大網は、「地域の個性重視」「美しさの内部目的化」「持続的な取り組み」「住民、NPO、地方公共団体、企業との連携」などを基本姿勢としています。
 悪い景観への対応として、「電線類により損なわれる街並み」「周囲の景観と調和しないガードレール」「海岸を埋め尽くす消波ブロック」「河川敷に放置された自動車」などの改善を目指します。
 関連する法制の整備として、「都市公園の整備・緑化や緑地保全を−体的に推進するための、都市公園法と都市緑地保全法の統合」や、 「違反屋外広告物を都道府県が簡易に除去できる制度」、「景観基本法制の制定」といった景観緑三法の整備を進めます。
 具体的な施策としては、電線の地中化、景観に配慮した道路防護柵の設置、違反屋外広告物や不法占拠物の撤去などを重点的に行い、 また、地方公共団体、NPO、市民グループなどの方々に、地域景観を点検していただき、指摘のあった景観阻害要因について、 施設の関係者や地域住民の合意のもとで改善を行う取り組みを今年度に試行開始し、来年度は支援の拡充を進めたいと考えています。
角館バイパス(今後工事に着工の予定)
角館バイパス
『景観を重視した公募型プロポーザル方式』を採用した。
平成9年度事業化し、平成10年度に地域高規格道路に指定された。
「周辺の景観と調和のとれた道路付属施設の施設検討」と「景観を加味したコスト縮減の検討」の観点で選定した。
地元関係者、学識経験者等を交えた、景観検討委員会(3回)で検討した。
景観検討されたものを今後の工事でいかに高めるかが課題。
「既存の風景を生かし、道路の存在感をできるだけ抑える」、「投資のメリハリ(既製品の活用)」、「コミュニケーション型行政」を重視した。
緑に関しては、切土法面をラウンデイングし、自生種を主体に、四季折々の風景と一体となって、将来はもともとの環境の−部となるような緑化を進める予定。
旧北上川分流施設(工事施工中)
旧北上川分流施設
歴史的土木施設を中心とした現在の河川環境を的確に捉え、総合的かつ効果的な事業計画を立案するため、美しい国土づくりアドバイザーを中心とした『分流施設計画検討委員会』で検討した。(部会を含め計15回)
「現在の分流施設は、貴重な土木遺産であり、極力保存することが望ましい」との検討結果を受け、洪水時に旧北上川への分流を締め切る施設を現在の水路上に2箇所設置し、治水上の安全性を高めることとした。
施設デザインとして、旧施設と調和し、旧施設を圧倒しないものとした。
土木遺産を核とした・・・という観点で、ここに河川歴史公園構想があり、一般市民のワークショップなどに支援しているところ。
仙台東部道路(平成14年度完成)
仙台東部道路
『美しい図土づくりアドバイサー制度』を採用した。
東北の道路橋としては最も長い高架橋部4.4kmの景観検討。
沿道は平坦なため、高架橋により非常に道路空間が大きく占用され、高架橋の側面・橋面下に多くの視点が生じるため、「上部工の圧迫感の低減」、「高架橋の連続感・統一感」、「桁裏の煩雑さの軽減」、「下部エの圧迫感軽減」の4つが課題だった。
鈑桁と箱桁の主桁位置を揃える(桁端部ブラケットの採用)、壁高欄形状の工夫(壁外面に傾斜を付け、圧迫感の軽減)、主桁架け違い部の不連続さ解消(テーパー処理)、橋脚形式の統−(2基以上連続設置し、単独の橋脚としない)、橋脚柱部の中央にスリットを設け、面的圧迫感を軽減した。
パース、簡易模型、CG等の多様な手段による確認と、現地での実物での試験施工等の「デザイン監理」がとても重要である。施工過程でデザインのポリシーが守れるかどうかが非常に難しく、重要である。
美しい国土づくりの実践にあたっての課題
「美しい国土の創造」に係る研究課題 システム(制度)に係る指摘・提言
 国土技術政策総合研究所発足とともに、政策課題の一つとして「美しい国土の創造」プロジェクトチームが組織を横断し設置され、これまで、過去2回のシンポジウムを開催してきた。
 「美しい国土の創造」に係わる研究課題として、美しい国土づくりにおける「目標像」「進め方」「仕組み・制度」を掲げ、「目標像」においては、地域との関係として行政からの押しつけでなく、 地域と行政が話し合うことにより、その地域の発想が自立・成長するというような、ご指摘がありました。「手法」については、「能力」「やる気」のある人間に責任を持たせる。 行政サイドにはデザインを判断する能力が必要であり、そのための努力・教育も必要。また、計画から施行まで一貫した考えのもとに行われることが必要。 それから、デザインを的確に評価できるような発注・契約システムが必要とのご指摘がありました。
 「仕組み・制度」ということで、今回のシンポジウムに至っているのですが、住民・専門家・行政のそれぞれがどんな責務と意識を持ち、どういう役割分担が必要なのか、議論が大切だと思っております。