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有識者からのヒアリング状況 > 大友 義助
十 季節の行事・季節の移ろい

“カド焼きは、最上地方の早春の楽しい行事である。『日本国語大辞典』によると、カドはニシンの異名で、東北地方(但し、全域ではない)で使われている、いわばニシンの方言であるという。ただし、江戸時代前期頃は、関東・一部関西までも使われていたようである。

 最上地方では、昔から早春の一日、隣・近所、あるいは職場の仲間・若者組一同打ち揃って、一重一瓢を携え、村の近くの丘に登り、獲れたてのカドを焼いて酒宴を張る習いがある。

 そこは日当たりのよい、雪の消えた場所である。カドは日本海で獲れた、油ののった旬のもので、これを強い炭火でジュウジュウ焼いて食べる。特有の強い匂いが当たり一面に広まる。カド焼きは、まことに野趣に富む行事である。

 カド焼きが終われば、田畑の仕事が始まる。まず、畦塗り、次いで田起こし。長い冬でなまってしまった体には、きつい力仕事である。一匹ままの脂ののったカドは、この体を目ざめさせ、力を回復させるにはもってこいである。カド焼きは、このための行事とも言える。…”

(「12カド焼き」 p.285 より抜粋)

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