真夏のかっ水期に、水深五〜六pの浅くて流れの速い瀬で、二人一組になって行うのが「カジカの板落とし」という漁です。一人が板に棒をうちつけた道具で、川底を石ごと掘り返すようにしながら下流に向かって押していき、石の下にかくれているカジカを追い出します。逃げ下ったカジカを「チョン網」〈三日月網〉ですくうのがもう一人の役目です。ときに十二、三pもの大きなカジカが入ることがあり、この大きなカジカを「ババカジカ」とよんでいました。カジカは昭和三十年代ごろまでは、どこの川でも見られたもっとも親しみやすい魚でした。しかし河川のよごれにともなって、水温の低い清流でしか住めないカジカは、今の最上川ではほとんど見ることのできないまぼろしの魚になってしまいました。
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資料提供:本合海エコロジー
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