第三回 高瀬川水系河川懇談会


平成15年10月 3日
1.開    会
◎司会(小山調査設計課長)
 ちょっと中岫さんが遅れておりますが、きょうは4時までという予定になっておりますので始めたいと思います。
 自己紹介が遅れましたけれども、私、高瀬川河川事務所の調査設計課長の小山です。ことしの4月からこちらの方にお世話になっております。この懇談会、第3回ということなのですが、初めてでございますが、よろしくお願いしたいと思います。
 会に先立ちまして、私どもの予定でいきますと6月ごろに第3回の会議を開催するという予定でございましたが、御存じのとおり、5月末の東北6県の水防演習等が青森県で開催されるなどいろいろと業務が雑多でございまして、今回の会議が遅れましたことをまずお詫び申し上げたいと思います。
 それでは、これより第3回の「高瀬川水系河川懇談会」を開催いたしたいと思います。

2.あ い さ つ
◎司会
 開催に先立ちまして、高瀬川河川事務所長の大嶋より御挨拶を申し上げます。

◎大嶋所長
 この4月から事務所長をしております大嶋と申します。よろしくお願いしたいと思います。
 皆様方には、日ごろより国土交通行政の推進に当たりまして多大な御支援、御協力、御理解を得ていること、まことにありがとうございます。この場をおかりして御礼申し上げたいと思います。
 また、きょうは、本当にお忙しい中、我が高瀬川の水系懇談会にお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。重ねて御礼申し上げたいと思います。
 私もこの4月に高瀬川に参りましたが、高瀬川の勤務は2回目でございます。2回目というのは、一番最初に事務所ができるときに来ておりました。それで今回が2回目ということです。
 当高瀬川では、皆さん御存じのとおり、昨年、総合開発事業が中止になりまして、今後、河川事業で整備していこうということになっております。その前段であります河川整備基本方針と整備計画の策定が必要になってきているところでございます。その面でも、最初に私が来たときは総合開発事業の基本計画策定ということでやってきたわけですが、今度は節目の河川事業の最初のときに来たようで、その時点時点で私が高瀬川に来ているような感じがしております。よろしくお願いしたいと思います。
 この懇談会は、皆様は最初の設立趣旨で御存じかと思いますが、小川原湖を含めます高瀬川の今後の整備・保全等のあるべき方向を示す、河川法で河川整備基本方針と整備計画を定めなければなりませんので、地域を代表される皆様方並びに有識者の皆様方に御意見をいただくために設立したものでございます。
 河川整備基本方針につきましては、技術的な高瀬川の基本的な事項を定めるもので、現実には今、国土交通省にあります国土交通整備審議会の河川分科会の方でいろいろ審議して決定することになっておりますが、その前にいろいろ意見を伺いながら、それに反映させていくということでこの懇談会を設けております。基本方針については、その審議会に来年度早々に決定していただきたく、今、作業を進めているところでございます。
 この基本方針が定まりますと、次に高瀬川の今後をどう進めていくかという、具体的な計画であります河川整備計画を定める必要があります。その整備計画では、河川法上、地域の意見を十分反映させて決めなさいよということを言われておりますので、その整備計画策定に当たっては、また皆様方といろいろと意見を交換しながら、地域と一緒になって、よい高瀬川をつくっていくために計画を作成していきたいと思っております。
 本懇談会は昨年の8月に設立されて、現在までに2回開催されておるところでございます。2回目には現地も見ていただいたということで、大変貴重な御意見をいただいているとお聞ききしております。本日は第3回懇談会ということで、前2回の懇談会の御意見をいただきまして、今後、河川整備基本方針策定に向けての課題等について御説明いたしまして、皆様方の忌憚のない御意見をいただければと思っております。よろしくお願いたしたいと思います。
 簡単でございますが、開会の挨拶とさせていただきまして、本日はよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございます。

◎司会
 それでは、今年度4月の異動等で、委員の方々にも若干、異動された方もおります。それから、こちらの方で委員の方々の御都合を調べさせていただきまして日程を調整いたしましたが、なかなか全員の都合のつく日程が調整できませんでしたので、代理の方々等も本日は御出席いただいておりますので、委員の方、出席者の紹介ということで、自己紹介でこちらの方から時計回りでお願いしたいと思います。
 私、先ほども申し上げましたが、4月からこちらの調査設計課にお邪魔しております小山と申します。前任地は、北上川のダム統合管理事務所におりました。整備計画の担当課ということで、これから、先ほど所長が申し上げましたように、基本方針、それから整備計画の策定ということで、皆様のいろいろな意見を反映して、地域の皆さんに愛されるよう、高瀬川というものを創造するために努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

◎大嶋所長
 事務所長の大嶋と申します。
 先ほど申しましたように、総合開発事業を策定するときに来ていまして、ことし、その整理をしまして、新しい河川事業で進む道筋をつけていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。

◎中山副所長
 同じく副所長の中山と申します。
 昨年からこちらの懇談会、1回目、2回目ともやらさせていただいております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

◎工藤(県土整備部)
 県の県土整備部河川砂防課の企画調査を担当しております工藤といいます。きょうはよろしくお願いいたします。

◎円子委員
 社団法人三沢青年会議所の理事長、阿部の代理で参りました円子と申します。よろしくお願いします。

◎甲地委員
 一般の公募で委員に参加しております甲地と申します。職場の方が4月から替わりまして、現在、六ケ所の方に勤めております。毎日、高瀬川を通って、見ております。
 以上です。

◎工藤委員
 弘前大学農学生命科学部の工藤と申します。
 私は主に農業用水の水管理だとか、水の利用、それから地域の水環境問題を中心に教育・研究しております。よろしくお願いします。

◎澤田委員
 私は、「たかせがわ恵みの会」の会長を仰せつかっております澤田清蔵と申します。
 私どもは、高瀬川の大坪川源流を調査をしましょうということで、現在、一生懸命その計画中でございます。よろしくお願い申し上げます。

◎佐原委員
 弘前大学の佐原と申します。専門は、魚類の生態及びその魚類とかかわりのある一部の鳥の生態を研究しております。よろしくお願いします。

◎杉沢委員
 杉沢と申します。この会、1回、2回と出席させていただいておりますけれども、特に専門ということはありませんけれども、以前、農業高校に勤めておった頃に、農業土木の方で若干やってまいりました。これからもよろしくどうぞ。

◎津曲委員
 三沢高校に勤務しています津曲と申します。主に小川原湖周辺の鳥とか、いろいろな生物に興味があって調べております。何かお役に立てればと思っております。よろしくお願いいたします。

◎佐々木委員
 八戸工業大学の環境建設工学科の佐々木です。研究分野は、この地球の水の動きに関係した自然災害の発生機構とその軽減化ということでやっています。よろしくお願いします。

◎戸田委員
 六ケ所村ですが、村長が海外に出張中でございますので、代理で出席いたしました戸田と申します。よろしくお願い申し上げます。

◎冨田委員
 三沢市収入役の冨田でございます。委員は市長・鈴木でございますが、代理でございます。よろしくお願いいたします。

◎中岫委員
 遅れて申しわけありませんでした。六ケ所村漁業協同組合の中岫といいます。よろしくお願いします。

◎西田委員
 大阪大学から参りました西田でございます。小川原湖とは、おつき合いをさせていただいて10数年になります。研究テーマは、流れと水質、最近は生物による浄化機能も含めまして、小川原湖をフィールドに研究させていただいています。どうぞよろしくお願いいたします。

◎蛯名委員
 上北町の収入役の蛯名です。きょうは助役が出席ということですが、急遽、ピンチヒッターということで出席させていただきました。よろしくお願いします。

◎林委員
 一般から募集されました林正一と申します。生まれは六ケ所の中志です。現在、小川原湖でシジミ採取をしております。そういうことで、ひとつよろしくお願いします。

◎洞内委員
 東北町建設課長の洞内です。よろしくどうぞ。

◎山下委員
 弘前大学の山下です。専門は地域社会学、環境社会学というようなことになっています。最近では阪神・淡路大災震のボランティアとか、そういう災害のことについて研究してきました。よろしくお願いします。

◎山田委員
 沼崎土地改良区の山田です。よろしくお願いいたします。

◎司会
 ありがとうございました。
 それでは、議題に入ります前に資料の確認をしていただきたいと思います。
 まず、「第三回 高瀬川水系河川懇談会資料」という綴り物です。それから、座席表と、こういうグラフ。お手元には当事務所の2003年事業概要と、もう1つ、水源地調査の依頼文があると思いますが、以上でございます。足りない方、抜けておる方はおりませんか。

3.議    事
◎司会
 それでは、本日の議題に入ります。
 これからは、座長であります佐々木先生の方によろしくお願いいたしたいと思います。

◎座長(佐々木委員)
 それでは、早速、議事を進めたいと思います。
 議題は3つです。お手元の次第にあるとおりの順序で進めたいと思います。 

1) 第2回懇談会要旨

◎座長
 最初に、第2回懇談会の要旨について確認していきたいと思います。
 それでは、説明していただけますか。よろしくお願いします。

◎事務局
 事務局を担当いたします、高瀬川河川事務所の池田と申します。よろしくお願いします。ちょっと手をけがしてしまったので、申しわけないですけれども、座って御説明させていただきたいと思います。
 まず資料の方ですけども、4ページをごらんいただきたいと思います。1番としまして第2回懇談会の要旨です。(1)第1回懇談会要旨について。1.「議事録の公開は実名でよい。可能であれば要約版を作成のこと」ということで、ことしの2月19日に議事録と意見箱を各市町村に設置しております。要約版の方ですけれども、議事録を作成しましたら薄いということがありましたので、要約版の方は作成しておりません。今までに意見は2件ほど来ております。
 次に、2番としまして、「水質のデータを提示して欲しい」ということで、別紙の方にグラフを用意しておりますのでそちらをごらんいただきたいと思います。
 小川原湖のG地点という、ほぼ真ん中の部分ですけれども、そこの部分の水質の経年変化です。昭和56年から平成12年までの20年間の年平均値のデータを載せてあります。青い線がCOD、赤い線が総窒素、緑の線がクロロフィルa、紫の線が総燐というデータです。ざっと説明しますと、青のCODですが環境基準値3mg/l前後でずっと経緯しているのがわかっていただけるかと思います。それから、富栄養化の指標となります総窒素と総燐、赤い線と紫の線ですけれども、近年、徐々に増加傾向にあるということがわかっていただけるかと思います。
 次のページですけれども、今度は同じ地点の季節変化を表しております。データは同じく1991年から2000年の月別データの平均値です。小川原湖の場合、2回、山がありまして、3月と4月、それから9月と10月前後に水質の値が大きくなっているのがわかっていただけるかと思います。
 以上が水質のデータです。
 また資料の方に戻りますけれども、続いて、(2)の「治水計画について」です。1「放水路のゲート操作について」ということで、これは前回、次回は資料を揃えて議論したいということで、後ほど県さんから説明していただこうと思っております。
2 「直轄、県の治水の整合性は?」ということですが、現在、国及び県でこの部分は調整をとりながら治水計画を策定中です。3「環境に配慮した治水計画を作ることを考えたらどうか」、4「生態系と地元の利用形態及び今後の利用形態の接点を探り計画に反映させたい」、5「現地を見たところ守るべき資産が少なく感じられる。全て湖岸堤で囲むのではなく、遊水機能を利用すべきではないか」というような意見を頂戴しております。
 それでは、県さんの方から、放水路のゲート操作についてお願いします。

◎工藤(県土整備部)
 河川砂防課の工藤といいます。前回、私は直接、出席はしませんでしたけれども、出た意見についてここでちょっと御紹介したいと思います。
 資料的に提示しておりませんけれども、高瀬川の県が管理している放水路の水門操作ということでございます。
 前回の懇談会でお話がありました操作のことでございますけれども、尾ケ瀬委員からの御指摘の事項についてですが、平成元年のことかと思います。大分なりますけれども、私どもの連絡の不十分なことによって関係の方々に大変御迷惑をかけたと聞いております。その後、水門の開閉に際しては、関係者の方々に事前に連絡を差し上げて、漁業者の方々の状況に十分配慮するよう心がけているところでございます。今後もまたよろしく御指導をお願いしたいと思います。
 それで、連絡差し上げている関係者でございますけれども、六ケ所の役場さん、六ケ所村役場平沼支所、平沼部落会、六ケ所村漁協、上北町役場、小川原湖漁協、三沢市役所、三沢市漁協、天ケ森町内会、高瀬川河川事務所という関係機関の方に御連絡差し上げているところでございます。
 もう1つ、2点目でございますけれども、澤口委員と尾ケ瀬委員から、洪水時の水門操作で一気に水が出されることでシジミ貝に影響があるとの意見でございます。それを防ぐために、湖水が現在のTP+0.8以上を、TP+0.5m以上になったら門扉を徐々にあけたらよいのではと。また、5門のうち1門をあけておいたらどうかとの意見をもらっております。
 いずれの意見も、シジミまたは洪水対策という面では効果があるとは思いますが水質、水環境など小川原湖本来の生態系の保全等の面からは大きな変化を生ずる可能性があること。また、そのために潮汐を考慮した綿密な門扉の開閉作業が必要となります。これは人的な常駐という非常に操作も難しい状態になるかと思いまして、ちょっとこれは検討しても難しいと思っております。
 現在の門扉の操作の要領でございますけれども、1つ目は、台風情報などによって洪水のおそれがあると認められる場合、湖面水位がTP+0.8mになったとき操作を行う。もう1つでございますけれども、降雨などから判断して洪水のおそれが予想され、あらかじめ湖面水位を低下させる必要があると認められるとき。ただし、原則としてTP+0.61m以下に低下させないことと規定されております。これを踏まえて操作しておるわけですけれども、小川原湖は洪水に遭いますと非常に時間が長くかかるということになっております。洪水の状況によっては対応の遅れが大きな被害につながる可能性も十分考えられます。TP+0.8mになってからの開放にこだわらないで、高瀬川河川事務所で開発した水位予測システムの予測値をまた参考にしながら連携をとって、TP+0.7mを越えていてTP+0.8mを越えると予想されるときに、潮位の状況を勘案して開放することとしております。
 開放時間については、門扉の上下流に設置している水位計を参考に、潮位との関係を調査の上、逆流しないことを確認して開放しております。
 そして、もう1つ、門扉は5門あります。下流に向かって左から5、4、3、2、1と5門あります。開放の順番でございますけれども、まず一番最初、真ん中の3番目、右側の2番、4番、端の1番、5番の順で、時間的には30から40分程度で完了している状況にあります。
 以上のような状況でございまして、皆様からのもし御要望ありましたら、可能な範囲で対応したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

◎座長
 それでは、2つに分けて確認したいと思います。4ページの「第2回懇談会要旨」の項目、言っている内容、この文言ですね。これでいいかどうかの確認。あと、今、データあるいは水門の操作についての説明がありましたけれども、そのことについてと、2つに分けていきたいと思います。
 4ページに書いていることについては、追加とか、こうではないかとかというのは、ございますか。
 では、いいことにしまして、4ページ、要旨はこのとおりだと。
 続きまして、水質データと、今の水門の開放の2つについての説明がありました。最初に水質データの方について、何か質問ありますか。

◎西田委員
 この水質データなのですけれども、観測で、たしか表層、中層、低層で測っているところが多いと思うのですけれども、このデータは水深平均ですか。それとも表層データか何かですか。

◎事務局
 表層です。

◎座長
 表層といっても、少しは入るよね。本当の表層ですか。

◎事務局
 水面から50cmくらいです。

◎佐原委員
 ちなみに、これは場所はどこですか。

◎事務局
 小川原湖ほぼ中央の地点なのですけれども。

◎座長
 このパンフレットがありますね。「事業概要」です。

◎事務局
 5ページに湖心観測所があるのですけれども、そこのちょっと南の部分です。

◎座長
 三沢市の「三」の字の真っすぐ左側の、湖の真ん中付近かな。

◎事務局
 9ページの方にポイントをかいてあります。

◎西田委員
 多分、HかGです。

◎事務局
 Gです。

◎西田委員
 Gですから、東寄りの真ん中あたりです。bfと書いているところ。ちょうど小川原湖の真ん中あたりの、東寄りの湖岸に近いところです。一番深いところです。

◎座長
 皆さん、確認できたでしょうか。
 ここは、深さは22mぐらいですか。

◎事務局
 はい。

◎座長
 それの50cmあたりの採水。深さはその地点の50cmぐらいの深さということです。

◎小山課長
 (図を示して)ちょっと見づらいかもしれませんけれども、ここが湖水観測所なのですが、この若干下の方です。

◎座長
 ここはそんなに深くないよね。湖心はさっきの22mぐらいだけれども。
 では、ここまで船で行って取っているのですね。

◎事務局
 はい。

◎座長
 ということだそうです。よろしいでしょうか。

◎蛯名委員
 水質の季節変化で、特に山が高いのはいいのですが、この因果関係というのは特定できるのですかね。山が高くなったというのは。

◎事務局
 季節変化の部分でしょうか。

◎蛯名委員
 ええ、窒素の。

◎座長
 19881年から2000年まである図ですよね。

◎蛯名委員
 2枚目のやつ。季節の。

◎事務局
 3から4月とかというのは、融雪の月です。やはりこういう時期は、流入量が多いので値も大きいのだと思うのですけれども。

◎蛯名委員
 やはり、表層だから簡単に出るのだな。融水と、10月の水田の落水というのがやはり影響しているというふうに。

◎事務局
 はい。

◎西田委員
 そのほかにも、冬には鉛直循環が大きくて、下層の汚れた水が上がってくるということもあったり、7月ごろになるとプランクトンが発生して、それで取り込まれる部分があって減ってくるというのもあります。特に燐など10月、11月に出てくるのは、成層構造が崩れ、下層のものが上がってくるということだと思います。

◎座長
 問題は、1ページの、しり上がりになっているというところですね。

◎工藤委員
 平均値を出していただいたので大体の傾向はわかりますが、平均値でなくて年の変動と、それから今、上北町さんが御指摘いただいたように、月によって変動が出てくるのではないかというので、資料を提示してくださいと言ったのは僕なのですけれども、見させていただいて、1つは、年度で、主に窒素ですけれども、大分増えてきているということですね。
 あと、97年のクロロフィルaが急激に出ていますけれども、これも原因は何なのか、わかったら教えてほしいということですれども、窒素が増えている。どの調査地点かというので、一番大きくG点と書いているのが16ページですけれども、このパンフレットで、小川原湖に入る支川の水質データが出ていますね。これでも、特に窒素でかなり右上がりの河川が出てきているということなのですね。
 ですから、もちろん今は高瀬川の流域懇談会ですから高瀬川の本川中心に話はしているのですが、実は本川だけの水質改善というのはなかなか難しいということで、各支川ごとに、どういうふうな形で流出する負荷量を減少させるかということが、結果としてはやはり高瀬川の本川の水質浄化につながっていくというふうに僕は思っております。それでこのデータを提示させていただいたということです。
 ですから、これを見まして、各支川、土場川、砂土路川と出ていますね。大分右上がりになっていますね。ここら辺はこれからやはり考えていかなければならないところだというふうには思います。
 以上です。

◎座長
 97年は何だったのだろうね。

◎大嶋所長
 このデータの、例えば1997年はクロロフィルなどはぽんと出ていますけれども、もしそういう年のデータが必要であれば、我が方にもありますが、今、水文水質データベースということで、水地方国土ですべて過去のものまで公開しておりますので、そこに入っていただければすべてデータが出てくるようになっていますので、必要な方は、我が方にもありますので、我が方か、そういうところで見ていただければと思います。
 以上です。

◎座長
 17〜18あたりが平均値になって、それが19ぐらいに上がったということですね。
 ほかにございませんでしょうか。水質の方にはいっぱい質問が出ましたけれども、水門の方は先ほどの説明でよろしいでしょうか。

◎中岫委員
 前に4の被害というところがありましたけれども、我々が考えて、1m、2mという深さに杭などをやっておって、漁具、それから柱というふうなものが流れる。私は今年から組合長になって、余り詳しくはわからないのですけれども、門の構造というのですか、できれば我々としては、上なり中間のあたりから放水できれば、本当はシジミにしても、そこからいっているのか、その構造上ちょっとわかりませんけれども、あれだけのあれが流されたということは、普通、我々としては、かなりの水量なのかわかりませんけれども、上層部なり中層部から水を放出すれば、そんなに底の方の、シジミとかの被害というか、環境が変わるということはないのかなと思いますけれども、その点、構造上とか、さまざま教えてもらえればありがたいのですけれども。

◎座長
 水門は上に上げる形ですよね。5門全部を開放するまでの時間が30分から40分だから、1つの門が、それ割る5ぐらいで考えればいいですか。6分ぐらい。

◎工藤(県土整備部)
 そうですね。一気にあけるとまたそういう影響が考えられますので、少しずつ真ん中から、その端々、最後の端という、きめ細かい操作をやっております。

◎座長
 真ん中をやって、両隣をやって、さらに端っこをやって、あけるときは6分ぐらいの時間で上の方にあけるということです。

◎中岫委員
 結局は底の方をすべてが持っていかれるということですよね。できれば我々としては、上の方からなり真ん中あたりから放水した方が、我々の漁場を守るということでは……。
 今はもうできてしまっていることでしょうけれども、水門をそこまで上げるということは、シジミにしても、すべての魚、あるいは漁具などにしても、流されてしまうと。
 組合の方でもみんなそこを指摘し合っておったのですけれども、その点、中層部なり上層部の方から放水するということはできないものかなと思いまして。全部ではなくても、例えば5つ6つとかね。

◎座長
 できないことはないけれども、漁協さんが金を出せばやれると思いますよ(笑)。

◎中岫委員
 やはり我々は、漁場をあれされたりしていった場合には、それなりに。
 前のときも、木村さんのだったと思いますけれども、国土交通省の方としてはそれなりに損害賠償というような形で……。損害賠償というか、流されてしまったりということでなりましたけれども、そこから全部やられれば、シジミにしてもすべて……。

◎座長
 今まで、そういう被害は何回出たのですか。1回ですか。

◎中岫委員
 そんなに大量にあけたことというのは、そうないのかもしれませんけれども。

◎工藤(県土整備部)
 そうですね。最近は、せいぜい10年のときが一番多かったと思いますね。

◎座長
 水門から何mぐらい離れていますか。大分離れていますか。
 最初あけるときは、確かに下から水が出てきますから下の方が早いです。しかし、100mも離れていればその影響はないです。

◎中岫委員
 被害があったから……。

◎座長
 いや、ほかの原因かもしれない。例えば水位が上がっていて、干潮のときにやると勢いよく水が出ます。今度は、あけるときもそういうところを考えながらやった方がいいです。少し水位が上がっているときにあけるとかです。

◎林委員
 あれは、以前に1回、魚などが死んだときなどは、水門が作動するに差があったみたいで。ということが、下の方に流れた木がちょっと挟まっておったと。だから完全に閉まらなかったという状態があったということは、ちょっと……。あれは何年か記憶はありませんが、そういうあれは思っています。
 だから、あれを動かす人が気をつけてくれれば、そういうことはないだろうなと思っています。

◎座長
 そうですね。水門の下部に砂が入って、なかなか底の管理が大変なんだよね。閉めるときは。西田先生、何か。

◎西田委員
 被害が起きたのが、その漁具がどの辺に設置されていたのかでかなり違ってくると思うのですけれども、マテ小屋よりももっと湖内の方なのか、それとも河道に入ったところなのか。

◎中岫委員
 マテ小屋よりは下流です。

◎西田委員
 放水路のゲートのところは、たしか水深3m弱ぐらいでしょうか。ゲート付近ではかなり底層を流れていると思いますが、湖口の方に行くと、あの辺は水深がかなり浅くなるものですから、多分、全層でかなり速いスピードで流れるのだと思います。ですから、基本的にはやはり流速がかなり速い状態がつくられてしまって、ゲートを通って海に出ていく流量がべらぼうに大きい。
 つまり、さっき佐々木先生がおっしゃいましたけれども、湖水と海の水位差が非常に大きいときに長時間ゲートを開けたためにかなりの流量が流れてしまったことが、多分、大きな原因ではないかと思います。
 先ほど逆流しないようにゲートを開けますというお話をされていましたけれども、それと同じように、出過ぎない程度に、けれども洪水は抑えなくてはいけないという、その辺のゲート操作をもうちょっときちんとシミュレーションするなり何なりしながら計画を立てていった方がよろしいかなという気はしますけれども。

◎座長
 水位0.8を基準にして、70cmあたりまで水位が上がってきたら開放の準備をするという操作方針だということで、これはこれでいいのではないかと思います。0.5という話が出たのですけれども、余り低くすると湖に海水が入り過ぎるときもあるかもしれない。だから逆に、シジミというのは微妙なものですね。濃過ぎてもだめだし、薄過ぎてもだめです。
 もう1つは、漁協さんの方から、県とのパイプといいますか、連絡方法です。そういう体制はあるのですか。そこも重要になってくるかもしれないです。

◎工藤(県土整備部)
 特にないみたいです。

◎座長
 そういうときは、県の方だとどこに連絡すればいいのですか。

◎工藤(県土整備部)
 十和田の県土整備事務所の方の管轄になります。もちろん河川砂防課も中に入っています。連携してやっています。

◎座長
 起きそうだったら、今度、そういう連絡体制をきちっと敷いて下さい。

◎中岫委員
 災害を守るのが一番でしょうけれども、その場合には漁協の方に連絡してもらえれば、漁民の方にも連絡して、そういうふうなものをあけるとなれば、漁具などもあける前に片づけるとか、そういうふうなことも可能だと思いますし、そういう点では、できれば連絡していただければありがたいなと。

◎座長
 特に漁協さんに連絡を早くしてください。災害にすぐ結びついてしまうから、きちっとした判断をして早く対処しないといけないと思います。そのあたりをよろしくお願いします。

◎工藤(県土整備部)
 わかりました。

◎座長
 県の方の連絡は十和田の事務所の方ということだそうです。

◎西田委員
 意見ばかり言って申しわけありませんが、漁協さんの方から今、治水の話が出ましたけれども、逆に水門を開いて、シジミの産卵を促すためにもうちょっと塩水を入れてくださいとかいう要望は特にないのですか。今は治水の話でゲート操作の話をされていましたが、水質管理という意味での要望のようなものは特に漁業サイドからはないのでしょうか。

◎中岫委員
 その点、シジミの生態系などということでは我々もまだ未知数な分もありますし、かなりあれしているようですけれども、今回、17日から小川原湖の方で「全国シジミサミット」ということでシンポジウムがありますけれども、我々としても、また小川原湖さんの方としても、シジミのためにということで、放水路というのはあれだと思うけれども、逆な利用というのを今までは考えていなかったのですけれども、それがシジミの繁殖に有効であれば、災害に余り関係なくやれる時は、是非お願いしたりすることも……。
 さまざまな学者の人たちの意見もシンポジウムにありますし、我々もそういうふうな点でどうなのかということを聞いたりさまざまして、これからお願いすることもあろうかと思いますけれども、その時は、よろしくお願いします。

◎座長
 高瀬川の総合事務所が出来てから、小川原湖のシジミの量は事務所の事業に比例して増えているのです。事業費に比例しているのかもしれませんね。
 それでは、1番目の議題を終わりまして、2番目の議題に移りたいと思います。

2) 高瀬川河川整備基本方針策定に向けての課題

◎座長
 2番目は、「高瀬川河川整備基本方針策定に向けての課題」でございます。
 では、事務局の方から説明をお願いします。

◎事務局
 それでは、資料の5ページをごらんいただきたいと思います。「3」と書いていましたけれども、「2」です。訂正をお願いします。
 2「基本方針策定に向けての課題」です。(1)工事実施基本計画。これは昭和53年に策定しておりますけれども、その時からの情勢の変化です。@平成8年10月「小川原湖総合開発事業審議委員会」より淡水化の撤回、治水事業の推進、代替水源の検討という意見が出されました。これを受けまして、同年12月、東北地方整備局は、その意見を最大限尊重していくと表明しております。この時点で淡水化を撤回しております。A平成14年11月時点で各利水者が小川原湖総合開発事業より撤退し、平成15年3月、総合開発事業中止の決定をしております。Bこれは佐々木先生が先ほどおっしゃいましたように、昭和50年代以降、シジミ、シラウオを初めとしました内水面漁業の漁獲高が安定しているということです。これも情勢の変化かと思います。C先ほど説明しましたけれども、徐々にではありますけれども富栄養化が進行しつつあります。D水理水文データが蓄積されました。また、湖水位の解析手法も進歩し精度の高い治水計画の作成が可能となっております。
 続きまして、(2)の「課題」ですけれども、@洪水処理計画。計画規模100分の1、降雨継続時間2日、計画雨量231mm、湖内の計画高水位TP+1.7mということで、ここまでは今のところ現行実を踏襲した案になっております。それから、最後の計画高水流量ですけれども、これは洪水処理計画によって値が違ってきますので、現在検討中です。
 次のページのポンチ絵をごらんいただきたいのですけれども、計画降雨231mmが降りますと、小川原湖の水位は大体TP+2.0m前後まで上昇します。今、湖の水位はTP+1.7mという、今までの治水計画を踏襲した格好で抑えたいと考えております。
 そのために、まず高瀬川の本川ですけれども、高瀬川の本川は塩分濃度に密接に影響を与えますので、この部分は改修しない。その下の高瀬川放水路がありますけれども、工実ではこの放水路を80mから300mに拡幅する案でしたけれども、今の基本方針では、現在の放水路と、さらに越流堤を用いた新規の放水路で対応する案で検討中です。
 それから、Aの2つ目の課題としまして「環境の維持」ということで、塩分濃度の維持、それから水産資源の保全というのがあると思います。Bの「水質保全」ということで、下水道の整備、流域全体の対策、富栄養化対策。それからCの「経済性の確保」ということで、これはB/Cを確保する必要があるのだと思います。それから、Dの「施設の維持管理」ということで、河川管理施設、許可工作物の維持管理があるかと。
 以上のような事項が、基本方針策定に向けてのキーワードになるのではないかと考えております。
 以上です。

◎座長
 それでは、今の説明について、何か質問ございますか。

3) 意 見 交 換

◎座長
 では、議題の3番目になりますけれども、今、基本方針策定に向けての課題という説明を受けましたけれども、これを含めて意見交換をしていきたいと思います。
 この意味は、先ほど、この懇談会の審議が始まる前に高瀬川河川事務所の所長さんから説明があったように、1回目、2回目はまだ高瀬川総合開発事業がひっかかっていた。今度はそれがなくなって、本当の河川の整備計画をつくっていかないといけない、川づくりを進めていかなければならないということになりましたので、ちょっと言いにくかったところがあるかもしれないし、改めてこういうことを言いたいということもあるかもしれないということを含めて、この意見交換という議題を設定しています。
 これからの河川、高瀬川の水系について、どういうふうに進めていけばいいのかという点について、御意見ございましたらお願いします。

◎中岫委員
 高瀬川の放水路と別なルートをやると言ったのは、さっき私が発言しました、上層部なり、また中層部なりから放水するようなのも考慮して計画してもらえれば、漁協側としてはありがたいのですけれども。
 別ルートで考えるというような話がありましたよね。それについて、もし水門を作る場合にはそういうふうなものを……。技術的に可能かどうかわかりませんけれども。

◎事務局 
今考えている案は、越流堤方式です。高さをTP+1.1mで考えています。今の放水路はTP+0.8mで開ける計画ですが、今度はTP+1.1mの高さから流れます。
 ただ、現況の放水路はそのままですので、操作の方はまた検討する必要があるかと思います。

◎座長
 場所についてはいいですか。

◎中岫委員
 場所は大丈夫です。

◎座長
 今計画しようとしているのは、1.1mの高さの堤防を設置し、越えるようにして湖から水を抜く。1.1mより水位が高くなれば自然に越えていって、その越えた水が放水路を流れて海に出るという計画だということです。水門をあけるよりは影響はないです。

◎蛯名委員
 きょうは急遽、かわりに出てくれということで前2回の会合の経過を聞かせていただいて、小川原湖は私の庭の池みたいなものですから、意見を申し上げてこいというふうなことですので、治水、利水、環境問題について若干申し上げたいと思います。
 実は治水についてこの懇談会でいろいろ話し合ったと思うのですが、うちの方は流入河川が七戸川、砂土路川、ハナキリ川、それぞれを含めて6本あるわけですが、昭和33年の大洪水以来、幾度となく水害に遭って、住民の生活不安がそれぞれ心に残っているわけです。ですから、治水事業については再優先課題としてうちの方の町はお願いしなければならないなと、そんな意見が圧倒的でした。
 特に、きょうも沼崎土地改良区の理事長の山田さんが来ていますが、水害のたびに大変な苦労をして農地を守っているということで、何とか水害のない町づくりがしたいなという願いがありますので、いろいろ環境の問題もあるでしょうが、治水事業を何としてもさらに強化してほしいという意見が1つであります。
 それから、今、いろいろ市町村合併の中で、どうすればいいのかと悩んでいます。うちの方は、御承知のとおり、合併協から離脱をして、ひとりで生きていくのか、新しい枠組みを求めていくのか、今、模索中なのですが、いずれにしても、相手がないうちは当面はひとりで生きていくというふうなことになると、限られた農地の中で、勢い小川原湖の水産資源、漁業の振興というものが重要なこれからの町の課題になってきます。
 それから、観光事業ですね。今、「道の駅」を小川原湖に直通する道路のところにつくって、来年の5月のオープンです。何とかここを生産販売拠点にして、農産物、水産物をここから全国に発信しようというふうな構想で進めているわけで、小川原湖の漁獲高は年々伸びて、今では年間37億です。これが昨年度よりも、実はことしは5億ぐらい伸びているのですね。ですから、今後はそういう意味ではさらに伸びるだろうと。伸ばさなければならないということでいろいろ手を打っております。
 最初ですか、うちの助役が水質浄化について申し上げておったようですが、実はEM菌のことで今、町独自で全町的に取り組むということで、役場に協議会を設けて、すべての面でEM菌で町おこしをするというふうな方針を立てております。我が家も今、ホウレンソウを専属にやっているのですが、EM菌で有機農業をやって、県の認証を受けてスーパーへ出しているのですが、今漁協で小川原湖に毎週1ないし2tを注入しています。将来は農業の分野にと。技術的に確立していますので、小川原湖の流域の水田、畑作、それから畜産に全面的に導入をしていくことが、直接、小川原湖にEM菌を入れるよりも、周辺が浄化されれば自然と小川原湖の水が浄化するというふうな物の考え方で取り組むというふうな方針でおります。米も、完全に農薬なし、化学肥料なしでできますので。そういう意味で、これを主体にして、小川原湖の浄化を進めながら、漁業振興ですね。
 水がきれいになるといろいろな魚が増えてくる。私が子供のときの、ドジョウ、ウナギとかナマズ。うろこのないやつが農薬とか化学肥料にやられやすいものですから、これが絶えてしまったということで、何とか昔の小川原湖の魚類をたくさん増やしたいと。
 それから、小鳥が私が小さいときはたくさんいたようですが、それもいなくなったのが、やはり水田に化学肥料を使った被害だろうと思っているのですが、必ず小鳥も戻ってくるというふうな確信を持って今やっていますけれども、そういう意味で、小川原湖の水質浄化に国としても何とか取り組んでほしいなと、そんな願いを持っておるところです。
 先般、ヨーロッパへちょっと行ってきたのですが、すべての事業は環境からスタートということで、環境保全がすべてでした。そういう意味で、私も小川原湖の治水事業を進めるにおいても、環境保全型の治水事業というのは当然だろうなと。そんな考え方がここに出ていますので、町としてもそういうのは大賛成ということで、どうぞそういう方向で進めてほしいという意見がほとんどでございました。
 そういう意味では、欲張りだけれども、治水事業もちゃんとやってほしいし、小川原湖を活用する水産の振興、あるいは環境というものを大事にしながら、小川原湖を宝の湖として育てていってほしなという願いが上北町の意見でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

◎座長
 周辺の河川、地域といいますか、その背後地から浄化していく。

◎蛯名委員
 やはりそこからやらないと、なかなか小川原湖の浄化は進まないだろうと思うのです。

◎座長
 そうですね。

◎蛯名委員
 今、生活排水を実験的にやっています。各家庭の流しから小川原湖の水を浄化すると。今は下水道事業は、市街地だけでも、これ以上広げることは財政的な面で不可能だろうと。ですから農村部については、新たな環境保全といいますか、水質浄化に向けた農村部の改良が必要だと思うので、何とか整備する金を活用して、財政的にかかる下水道事業が終わるまで現状で凍結という考え方で進んでいます。
 やはり周辺がよくならないと小川原湖の水はよくならないと思っていますので、そういう基本的な考え方は大事だろうと思います。

◎座長
 今、山のてっぺんまで関係づけてやりましょうという、動きもあるのですね。そういう意味では、さらに上流の村、町なりと連携をとってやってもらえばと思います。
 ほかにございませんでしょうか。

◎戸田委員
 六ケ所村ですが、せっかくの機会でございますので、この高瀬川の水系の事業計画案の中で9ページの、これは水防関係ですが、この中で、これまでもいろいろ御努力、御尽力なされて、六ケ所村の平沼地区にございます、津波災害を防ぐ高潮堤の件なのですが、せっかくの機会でございますから、国の予算等々が大変厳しいというふうに伺っておりますが、ぜひとも早期の完成をお願いいたしまして、住民に安心感を与えてくださるようお願いしたいと思っております。
 それから、この懇談会の御意見等々で、私も懇談会の方に初めて出席いたしましたが、以前にお話が出されたかどうかは知りませんが、できることであれば、例えば小川原湖そのものを、環境、あるいはシジミという豊富な資源がございますので、自然環境と整合性をとりながら、何かできること。例えば観光開発でもリンクさせた方向ができないものかどうか。
 前の懇談会の治水計画の中で、すべて湖岸堤で囲むものではなくという考え方をとっておりますが、実はドイツのバーレン市というところがございまして、ここのバーレン市というところと六ケ所村は友好関係を10年前から進めておりますが、これは旧東ドイツの地区なのですが、なぜそこと友好関係を提携したかとなると、このミューリッツ湖という湖が小川原湖と同じ大きさ、同じ環境にあるという関係から、いろいろとそういう調査をしながら交流を深めておるのですが、このミューリッツ湖は漁業も盛んなところでございます。漁業経営もなさっている方々が多い。森と湖に囲まれた環境にすぐれたところなのですが、先般、10年たちまして行きましたら、もう観光開発が進んでおりまして、ヨットハーバー等々がこのミューリッツ湖にできて、旧西ドイツの方から盛んに観光客が、余暇を利用してミューリッツ湖でキャンプをしたりしているということを伺ってまいりました。
 市役所の方に参りまして市長さん方のお話を伺いましたら、漁業が盛んな地域でございますから、その組合の方々ともいろいろと話をしながら、環境問題をさまざまな形で解決しながら、水辺を利用した観光開発を進めていると。いろいろな考え方がございましたので、私も──これは計画とは違うのですが、いろいろ違った意見でしたらごめんなさい。例えばそういう手法も、この小川原湖、何かを活用した方向も考えられないのかなということもありますから、今ちょっと述べてみたところです。
 もちろん、環境、あるいはシジミという大きな財産がございますし、そういうものに影響されない、ひとつのリンクさせた考え方をとれないものかどうかというふうに考えております。
 私の方からは以上です。

◎座長
 ほかにございませんでしょうか。

◎山下委員
 弘前大学の山下です。
 お2人、行政の方々からのお話が続いたので、気楽に大学の立場から、今のお話を聞きながら思ったことをちょっとお話ししたいと思いますけれども、お聞きしていると無理難題を吹きかけているような気もするのですね。治水が大事だという話と、それとともに環境が大事だと。その環境も、1つは漁業をもっと伸ばしたいという話と、さらに観光を伸ばしたいという話と。どれもうまくいくならいいのですけれども、普通、ほかの河川であれば、治水を最優先課題として護岸を進めた結果、漁獲高がどんどん減って、環境も悪くなって、その環境をよくしようと思って親水空間をつくるけれども、昔のような河川ではなくてお子様広場みたいなものしかできないと。
 逆に、ここの小川原湖の場合は、本物の内水面の漁業がきちっと生業としてあって、観光開発は非常に後れているかもしれないけれども、明らかにほかにはない資源がきちっと残っていて。でも、もちろん治水も大事な課題だし、そのあたりのここ特有の矛盾といったものを今後の課題としてきちっと挙げていく必要があるのではないかなというふうに思いました。
 だから、今、多少悪く言いましたけれども、行政の方々が言われていることは矛盾しているのは当たり前のこととして考えながら、ではその矛盾の中でどういうふうに具体的に課題をもうちょっときちっと出していくのかということが必要なのではないかなというふうに思って聞いています。
 きょう挙げられた「基本方針策定に向けての課題」の中では、逆にいえば、そういう生活に密着したような表現が全くないので、門外漢からすると何を言っているのかよくわからなくて実は聞いていたのですけれども、例えば6ページの「環境の維持」という話も、塩分濃度の維持や水産資源の保全という言い方でいいのか。もう少し具体的に、ここの漁業の場合だと、さっきから聞いていて因果関係がどうなっているのかすごく気になるのですが、水質が悪くなっているということとシジミが非常にとれるようになっているということの因果関係があるのか、どういうメカニズムで今の漁業や水質といったものがかかわっているのかというのは多分わからないことが多いのだと思いますが、そこら辺も含めて、何かもう少し……。
 塩分濃度の維持と水産資源の保全と言ってしまうとそのとおりなのだと思うのですけれども、もう少し具体的にこれを詰めて、ここには全然挙がっていませんけれども、観光や、外から来て見てもらう、交流するというようなことも当然ここの場合は重要な課題になってくると思いますので、そういうものをもう少しきちっと挙げていく方がいいのではないかなと。
 逆にいうと、今お2人が言われたような、地域で生活していく、そして開発していくような立場からの課題というものも、もう少しうまくストレートにここに入れ込んでほしいなという気がしました。
 以上です。

◎座長
 結論から言うと、治水、環境、それから利水の3つを進めていくというのが大事だと思うし、また、進められることになるでしょう。今まで矛盾していたことがあったとしてもこの小川原湖で矛盾しないでやろうではないかという意気込みは、きちっと盛らなければいけないでしょうね。また、やれると思います。時間と空間を1点に絞らないでやれば可能です。
 ほかにございませんでしょうか。

◎津曲委員
 弘大の山下先生の御意見は非常に貴重な意見だと思います。私はどちらかというと、環境型というのですか、そちらの方に目が行っているのですけれども、やはり治水と環境というのは相反する面というのは必ず出てきますよね。ですから、そういう中で、最大限どれぐらい環境を守れるのか、これをやはりこれからは展開していく必要があると思うのですね。
 小川原湖の漁獲高とか水産資源といったものは、すべてその環境によって維持されているということですよね。ですから、そういう意味では環境の保全を最優先する。治水も大事なのですけれども、その辺をうまくバランスをとってもらえればと思います。
 それから、もう1つ、先ほどちょっと聞けなかったのですけれども、放水路を拡幅しないで新しい放水路をつくるということですけれども、それはどの辺につくるのか。正確な図面でなくて結構ですけれども、大体この辺にこれぐらいのものをつくるのだというのがもし今の時点でわかっているのであれば、ちょっと教えていただきたいなと思います。

◎小山課長
 現段階では、ちょうど現放水路のすぐ隣ですね。南側といいますか、下側に幅約100m前後ぐらいのものを考えています。
 先ほど、うちの方から越流堤型の1.1mぐらいという話がございましたけれども、今検討している段階での数値をできるだけ公開しながらということで1.1という話をしてありますが、それはやはりいろいろな環境も考慮してということで検討していまして、その高さが低くなれば結構流れる流量が多くなるものですから、放水路の幅が今度は狭くて済むとか。
 そうなりますと周辺の環境の改変が小さくて済むとかといったこともありますので、今、1.1という話をしていますが、それも総合的に検討しながら、若干の変化はあるかもしれません。ただ、現段階では現放水路の下側にその程度のものを考えているということでございます。

◎津曲委員
 南側になるのですね。
 そうすると、今、いろいろな生物が生息して、私たち、そこを何とか保全していただきたいということで、仏沼がその下にあるのですね。ですから、仏沼の生物とか環境にどれぐらい影響が出るのかというのが、私は一番関心があるのですね。
 それで、その辺のところが保全できればなと思うのですけれども、その辺はどうお考えになっているのでしょうか。

◎小山課長
 御存じのように、仏沼周辺にオオセッカとかいろいろ貴重な動植物がすんでいるというような情報も知っていますし、当然、その辺のさまざまな動植物体系を調査しながら、環境の影響がどういうものなのかということも検討しながら、その辺の詳細の整備計画に当たっては考えていかなければならないというふうに考えております。

◎座長
 今の南でも越流堤が仏沼の前面あたりに行く可能性はあるけれども、放水路そのものは全然関係がないですよね。遠いですね。

◎小山課長
 そうです。

◎座長
 そこを心配しているみたいです。新しい放水路を南側に拡幅してできたとしても、仏沼には大分遠いですよということです。
 ほかにございませんでしょうか。

◎佐原委員
 もう1つ治水と環境ということでお伺いしたいのですけれども、第2回の懇談会の一番最後のところですね。実は第2回、私は出ておりません。でも、第1回目のときからこれは話題になったことだと思いますけれども、湖岸堤の話ですね。湖岸堤をどうするかというのが前の第2回のときでも話に出たと思うのです。
 私もこの点に関しては、1回目のときに質問とかを言った記憶があります。2回目のときにはどういうふうな話が出て、その話に基づいて、きょうの「策定に向けての課題」というところで御説明をいただければというふうに思うのですけれども。

◎座長
 2回目のときの発言録一式を、佐原先生にやった方がいいかもしれないですね。終わるまでは時間があるから。

◎事務局
 そうですね。2回目のときというのは、現地を見ていただいてということでいろいろお話をしたと思うのですけれども、委員の皆さんには一応、現地は見ていただきました。
 先生の気になさっているのは、前面のヨシ原の話だったと思うのですけれども、実は湖岸堤は、今ほとんど完成しております。無堤の部分は少ないような状況です。ただ、今の湖岸堤もこれから利用して、ヨシ原の回復というのですか、その辺はまだ考えていけるのかなというところもありますし、以前うちの事務所の方でも試験的に施工した部分がありますので、後程そういう資料を提示していきながら御説明に上がりたいと思うのですけれども。

◎座長
 汽水湖ですから、普通の河川みたいな植物は出てこないと思いますね。だから、あの水質に合った植物があの岸の付近におがっていくと思います。
 だから、ここの植物と水質の自然浄化とは小川原湖でずっと続いているものですよというようなところを見つける。そういうことができれば、先生がおっしゃるような、試験的にやりながらいいものを探していけるのではないかなと思います。その点は、少し佐原先生に見てもらって、やってもらった方がいいですね。
 ほかにございませんでしょうか。

◎杉沢委員
 いろいろな河川、または湖などでは、そこにすんでいる魚にしろ、小動物にしてみても、いろいろ変化が見られると思うのですけれども、小川原湖周辺ではどういうふうになっているのか。例えばシジミならシジミにしても、10年前のものと現在ではどのようになっているのかなと。悪くなっているということはないかと思うのですけれども、鳥にしてみても、以前はもっとたくさんいたのに非常に少なくなったということは何らかのあれで知っているわけですけれども、その周辺での研究の施設とかといったものがあるのか。私はよくわかりませんけれども、もしあれば、その辺のデータがどうなっているのかなということを聞いてみたいなと思っております。
 今、いろいろな面で安全とか安心とかというものが叫ばれておりますけれども、学校などでも小学校あたりから安全教育というのが盛んに今は取り入れられ、ちょっとしたビオトープのようなものを学校でもつくったりして、いわゆる関心を呼ぼうというので大変結構な方向に進んでいるというふうに思いますけれども、一たん汚れた水を浄化するには、またそれなりの研究が進んで、いろいろなのがあるというふうなのが言われております。
 例えば、下北の方の山にたくさん埋蔵されているというクリストバライトとか、ああいったものが秋田大学の方で研究され、今にも商品化されようかというぐらいに進んでおりますけれども、小川原湖周辺での研究の機関がどういうものがあるのかすら私はわかりませんので、ちょっとその辺を聞いてみたいなと思った次第です。

◎座長
 きょう出たG地点というのは、水質を測るために採水する地点です。他には、真ん中に総合観測所があって、そこでの測定項目は……。
 では、ついでに、周りの河川で水質とか水位とかを測っているところはどこなのか、その項目くらい、もしわかったら教えてくれますか。
 それから、周辺には研究施設というのはないですね。

◎林委員
 小川原湖の漁業協同組合に内水試の方から県の職員が出張してきて、常に何かが1つ……。
 ことしの夏場あたり、最近までそうでしたが、シジミが口をあいてなかなかすめないような異変が2カ所ほど起きたのです。急遽その場所を設定して、ここはちょっと操業を休んで様子を見ましょうと、そういうようなこともやってきました。連絡をすると、試験場の方がすぐ来てやってくれます。
 先ほどからお話ししていると、確かに、環境、災害、いろんな問題は大事なことですが、私らがシジミ操業をしている範囲で見ていると、たしか第1回目の工事のとき、それから私が子供のときは、この小川原湖の水は飲めるほどだったよというのが、現在ではなかなかそういう勇気がないなというような状態であると。
 行政の方も相当の悩みを持ってやっているみたいですけれども、実際的にシジミに対してはどうかなと。あるいは産卵時期。今の放水路を上層の方から流すと。これもちょっと問題だなと思う。シジミも、産卵になると何mmだかになって初めて底へ沈むのだと。底で大きくなるのだということを、私ども、4〜5年前からですか、宍道湖の中村先生が17、18日に小川原湖のシンポジウムに来ますけれども。
 そういうあれで、結局、台風とか大雨のとき、うまくそういう産卵の時期にぶつかってしまうと、浮いているものは流されてしまう。今、中岫さんが言われましたように、下のをやれば、また下のあれも流されてしまうと。どうも悩みの種だなと、そういうふうに感じているわけです。
 昨年の10月からですか、シジミの量と先ほど言われましたけれども、今までは70kgだったのです。現在は50kg。ということは、要するに、今、東京の方へ働きに行っていた若い人たちは仕事場がないということ。そして、若い人たちが帰ってきている。そこでシジミを採取すると。
 5年か10年前には120〜130名だったのです。現在は240名。倍になっています。だから、苦労しているのは、量をちょっと抑えて、ちょっと先へ延ばそうよと。そういうふうなあれで50kgに抑えました。
 産卵が間に合わなくなるのではないかと。生育も。そういう心配をしているところです。
 以上です。

◎座長
 水質のデータと、それをどういうふうに各個人が手に入れることができるかという点で、わかる範囲でいいですから説明して下さい、できますか。
 このパンフレットの14ページに概略が書いています。このくらいですね。

◎事務局
 そうですね。観測所の数などはこれには載っておりませんので、それは後ほど提示したいと思います。
 それで、総合観測所なのですけれども、こちらについては10ページの方で観測項目が載ってありますので、これで見ていただければよろしいかと思うのですけれども。

◎座長
 このデータはいつでも見れますか。

◎事務局
 見れます。

◎座長
 ということだそうです。

◎山下委員
 質問なのですが、シジミのことはそれなりにだんだんわかってきたのですけれども、ほかの魚種とか、そもそもこの小川原湖にすんでいる生態系の変化はデータとしてきちっとあるのか。つまり、例えば魚種がどういうふうに変化しているのか。シジミも増えているということは、逆に減っているものもかなりあるのでしょうが、そういったあたりの事情についてきちっとデータがあるのか。データがないにしても、漁協なりどこかなりで大体のところをどういうふうに認識しているのか、それをちょっとお話しいただければなと思いますけれども。

◎林委員
 魚介類のあれは、漁業組合で、毎年度の揚がったものを全部、数量的、金額的にとってあります。このごろ、そういう研究というか、シラウオ、ワカサギ等でも試験的に引いてみて、ことしはちょっと早いよとか、もう少し成長させようとか、数量的に抑えようとか、そういう苦労をしているみたいです。
 データは、このごろは随分、青年部とか婦人部とかもありまして。きょう、たしか仙台の方のフォーラムに、シジミ宣伝のために、4日ですから、あしたやるために出張していると思います。800kgぐらいの用意をして行く予定になっています。

◎山下委員
 内部的な変化は。

◎林委員
 変化は、台風の多いときというのかな。それと、低温、高温。シジミでもそうです。
 10年ほど前でしたか、すごい暑いとき、シジミが相当死にまして、これは大変だなと思ったら、2〜3年後になったらばあっとまた多くなって。ことしも低温だから、暑いときも心配だけれども、寒いのも産卵のために大変だなと。
 だから、シジミは口あきが多かったということは、春の暑さというのが早かったのではないかと。シジミが産卵の体勢を整えておったところに低温が来たということで、恐らくひかいたのがそういう状態になったのではないかなというところです。
 数量的には抑えながらやっているので、金額の方が逆に上がっているような気がします。抑えた関係もあるのか、昨年度あたりは特に。よその方の漁獲高というもあると思いますので。

◎山下委員
 シジミ以外はどうです。

◎林委員
 シジミ以外は、大網という網引きの方では、ワカサギとシラウオが主として。ワカサギは佃煮にしながら。あとは、コイとかフナ、ウナギとか。
 先ほど上北の助役さんが言いましたように、ナマズなどはちょっと減ったのではないかなと。ナマズは何でも食べる方で、相当の生命力を持っていると聞いているのだけれども、何となく減っているような気がします。
 コイなどは、去年あたりまでかな。ことしもやっているかどうか。稚貝を輸入してきて。ウナギも放流してやっていました。そういうプロの技能を持っているのも一緒にやっているようです。

◎山下委員
 質問した趣旨は、多分、杉沢さんも同じような話ではないかと思うのですが、シジミはそんなにたくさんとれたわけではなくて、もうちょっといろいろな魚がいるような話も前からずっと出ていますので。
 それから、今言われたように、昔は湖の水を飲めたというような状況。そういったものについてのきちっとしたデータというのは恐らくきちっと残っていないのだと思うのですが、河川環境を治水とともにどういうふうに維持し、きれいにもとに戻していくかというふうなことを考えるときに、特にここは逆にいうとシジミという非常に特化したものもありますので、そこら辺の今までの魚種の変化や漁獲量の変化というものが具体的にどういうふうにデータとして蓄積されていて、そこら辺のどこらあたりを一番適正な状態として目標にするかということは非常に問題になると思うので、そこら辺はやはり考えていかなければならないだろうし、データとしてどこまで漁協を含めて事務所の方でも持っているのかと、そういう意味の質問でした。

◎佐原委員
 生息魚種ですけれども、湖の下の部分は水辺の国調の対象区間ですから、5年に1回、魚も含めて、植物などもそうでしょうけれども、ちゃんとした調査報告は出ています。
 それから、小川原湖そのものについていえば、特定の魚種、例えばワカサギとかイトヨとかに関しては、東北大の方たちを中心に幾つか論文が既に出ています。
 それから、それこそずっと昔になるのでしょうか、小川原湖にまだイトウが生息していて漁獲の対象になっていた時代もあったわけですけれども、その頃の記録なり何なりというのは、大分前にリタイアされたと思いますけれども、県の草壁さんが随分まとめられて、すごく貴重な書き物を残していられていると思います。
 さらに遡って江戸時代ぐらいになったら、定量的なものはもちろんないのですけれども、たまたま訪れた松浦武四郎とか、あるいは菅江真澄はどこら辺まで来たか。尾駁とか鷹架とか、あの辺までは行っていると思うのです。小川原まで行ったかどうかはちょっと記憶にないですけれども、幾つか断片的な書き物などを残していたりしています。だから、不十分かもしれないですけれども、遡って過去から現在までの変化というのは、ある程度考えることはできると思います。
 ちなみに、きょう、この会議があるからというので持ってきたのですけれども、以前に高瀬川のをつくられましたよね。これはすごく貴重な、ほかに余り例がないと思うのですね。植物プランクトンから始まって、鳥から何から、魚はもちろんですけれども、なかなかこういうのはほかにない本だと思うのですけれども、これが出たときから比べて、やはり現在まで変化はあると思います。何よりも外来種が入ってきています。オオクチバスはもちろんですけれども、これはどこでも手を焼いているものですけれども、それ以外にナイルテラピアが入ってきてますし、昔にはいなかったようなものが今は出てきていると。
 新しくこんなものが出てきたという方には人間はすぐ目が行くのですけれども、逆に今までいたものがどうなってしまっているのかということの方が、実は私は非常に気にはなるのですけれども、そこまでちゃんとした定量的なものというのは水辺の国調以外には余りないのではないかと思うのですけれどもね。

◎座長
 CD−ROMで手に入れることはできるようになっています。植物から、水生生物とか、全部。魚、生き物、動物、植物、それから鳥です。これらの調査はやっています。
 ただ、あれからは大きな変化というのは出ないですよね。

◎佐原委員
 1回目のとき、バスはまだ入ってなかった……。高瀬川は、最初は何年でしたっけ。

◎座長
 ブラックバス。10年ぐらい前かな。

◎小山課長
 湖からの海側ですね。高瀬川現川の分。

◎佐原委員
 ええ。

◎小山課長
 確証はできませんけれども、建設省で始まったのが平成2年から始まっていますので、魚類の調査は5年周期にしても、2年から平成6年の間に1回ぐらいやっているという。
 あと、先生が今ちょっとCD−ROMの話をしましたけれども、この「事業概要」の20ページの上に「高瀬川・小川原湖生物マップ」と。これは、これまでの水辺の国政調査のデータを見やすくわかりやすくということで、小学生の子供たちから一般の方までわかりやすいようなCDを昨年つくってあります。もし御用である方がいらっしゃれば御連絡いただければ。
 これは、水辺の国政調査の年鑑が出ておりますが、それとは別に小川原湖独自でつくったCDです。ちょっと紹介まで。

◎座長
 では、この次のとき、10分ぐらいで、休憩のときに画面で見せてもらいますか。こういうのが入っていますということで良いです。

◎大嶋所長
 ……の会長さんと六ケ所の町長さんには、これは提供していると思います。

◎座長
 私にも来ました。ありがとうございます。
 そうですね。流域というのは、山の高いところに住んでいる人、それから川のそば、あるいは湖のそばに住んでいる人は、雨が降ったときの感じ方、対応の仕方が違うし、環境に対してもまた違ってきます。いろいろな人がいろいろな意見を持って住んでいます。だから、総合的に、全体を考えながら意見を調整して、自分の主張は主張できちっとお互いに聞いてやる、あるいは言わせてやるというふうにしてつくっていくことが大事だと思います。
 シジミがいっぱいとれていますから、厳密にいえばやはり少し環境が変わっているのだと思いますけれども、このシジミのとれる小川原湖は守っていかなければいけないのだということは間違いないと思います。ただ、余り大きく自然が変わるようではシジミもとれなくなるのではないかなと思います。
 ほかにございませんでしょうか。

◎澤田委員
 私は小川原湖に注ぐ中小河川の地域に住んでおります。シジミが豊漁で大変結構なお話を伺いまして、これはやはりある程度、中小河川の整備が進んでいるために、洪水その他さまざまな集中豪雨が多少発生しても上流からの土砂等の流入埋没がないからこれがあるのではないかなと思っております。
 しかしながら、また反面、私どもの幼い頃は、先ほど申しましたように、田植え時期に代かきをしていると、ナマズを追いかけて田んぼを歩いた経験もあるし、また、フナ等の小魚がたくさん田んぼに入り、用水路、排水路には、子供の頃はたもを持って追いかけてとったものでした。そういうふうなことを思い出したときに、小川原湖については限られた魚介類しか生息できないような状態になるのではないかなと心配です。中小河川についても何かもっと手を打つ必要があるのではないかな、工法的な問題を考える必要があるのではないかなと思って伺っておりました。
 以上でございます。

◎座長
 そうですね。もっとこれから研究なり提案なりしてもらって、今までのコンクリートで治水だけやるというのではなく、同じコンクリートを使うにしても、魚もいっぱい寄ってくるようなコンクリートを使うとか、あるいは草もいっぱい生えるようなとか、いろいろ工夫してもらいたいですね。
 ほかにございませんでしょうか。

◎中岫委員
 自然が多いと言うけれども、さっき林さんからも出たけれども、金額的にも、また漁業者が多くなって、昔はとっていなかった場所のものを、都会の方からUターンしたりして漁業者が倍になっているというようなことがあります。では、本当に現実問題として増えているのか。漁獲高があるといっても、健康志向という意味で金額的にはかなり上がっているのですね。今年の場合もシジミは100円高ということで、昔に比べてそんなに増えているのかなというような気もします。
 漁業者が多くなって、みんながそれぞれ生活を持って、また、技術的にも道具にも、船などにしても、さまざまそういう関係もあって、では本当に現実に小川原湖のシジミが増えているかというと、これもちょっと疑問だなという気もします。
 それから、漁業者の方から、倉内地区なのですけれども、ヌマガレイが少なくなっていると。昔は飯鮨などをつくってみんなに差し上げたものが、ほとんど作れなくなっている。そういう性質などもあるでしょうけれども。
 やはり、昔は採っていなかったから、今はみんながとれたといってきたから、また価格的にも上がってきたから、漁獲高、また漁業者の数ということもあるけれども、表面的なばかりではなく考えなければと。昔は採っていなかった。100人足らずとかでやっておったものを、240人とかという倍以上のあれがある。いずれにしても、倉内地区の人たちにすれば、ヌマカレイはほとんどなくなってきた。
 それから、ナマズと言いましたけれども、本当に水質のきれいなところでなければ、フナとかコイは生息できても、ナマズとかエビは生息できないと聞いています。
 そういう関係で、そんなに安閑としていいのかなと。シジミがとれたというけれども、漁業者が多くなり、価格が上がっての点です。もう考えなければならないのではないのかと思います。
 林さん、どうなのですか。昔と比べて、量は減っているのでしょう。

◎林委員
 減っています。10年ほど前に調査した時点で100kgとったのです。5年ぐらいはこのままとって大丈夫ですよと。3年後に調査したらこれだけ変化している。最初は100kg。それが70kg、50kgと。

◎座長
 50kgというのは、1日1人50kgですか。

◎林委員
 はい。

◎座長
 さて、時間も迫ってきたのですけれども、阿部さんと工藤先生と西田先生にちょっとお聞きしたいのです。川というのはいろいろな人がいろいろなかかわりを持って住んでいます。環境だけではなく、あふれては困るという人がいることも事実です。水害も起きているし、もっと小川原湖を観光面で利用できたらという話も冒頭にありましたけれども、阿部さんの方、いかがでしょうか。この流域、あるいは高瀬川水系を、いい川、湖にしていくにはこういう点が必要なのではないだろうかということがございますか。工藤先生、西田先生、何か。
 きょうで大体、意見を出すのは終わることができると思います。そうすると、次回はまとめの委員会になります。1回目から3回目までの意見をまとめて、4回目に皆さんにまた検討してもらいますけれども、この点は重要ではないかとか、あるいは繰り返しでもいいですけれども、何かありましたらお願いします。

◎円子委員
 一番感じたのは、意見交換というのですか、小川原湖周辺に対しての根差した人たちの意見をこういうふうにいい形で組み立てて、本当に地域の環境に根差した部分で有効に、それぞれの分野で合理的にできる部分を見出していく場が非常に今は必要ではないかなと、改めて感じております。
 やり方、方法論という部分では、いろいろそれぞれの立場でまたあると思います。その中で、やはり我々、自分たちの立場からそういう認識を持って接していく、感じていくという部分を非常に本日は感じました。そういった形の会議にしていただければなと思います。
 その部分だけしかちょっと感じられなかったのですけれども、そういった感じで意見を言わせていただきたいと思います。ありがとうございます。

◎座長
 工藤先生、お願いします。

◎工藤委員
 委員長から、もうそろそろまとめの会議になるのだそうで。
 きょう皆さんの話をお聞きしていまして、懇談会ですから、思っていること、もしくは行政でおのおのの市町村の目指しているところ、それから対応しなければならないところをいろいろお話しいただきました。もちろん流域は河川のみで生きているわけではなくて、流域の人がいるから人と川とのつながりというのが1つの大きなテーマだということで、その川でなりわいをしている人、いわゆる生活している方もいらっしゃるということで、シジミというものを題材として今、いろいろ論議はされておりました。もちろん、それはわかります。それをどういうふうな形で今後継続していけるかどうかということも大きな課題だと思っていますが、それだけでなくて、河川環境というのは特定の資源だけではないのだということなのですね。
 それは山下先生もちょっとお話しになったのですけれども、河川環境というのはいろいろな生物の多様性というのが重要です。その中でシジミもシラウオも、実はあるのですね。ですから、河川環境がどんどん変わってくれば、ひょっとしたら結果としては、今とっておられるシジミその他にも影響してくるということなのですね。ですから、シジミを中心に見るか、川を中心にして見てシジミを考えるか、どっちがどっちかわからないですけれども。
 ですから、河川環境自体をもう少し広い意味で、生物、生態系を含めた形でもう一回考えてみなければならないというふうに、僕らは思っているのです。その中で、もちろん、再三言うようですけれども、シジミの問題というのは非常に重要だというのは理解します。
 それから、水質の問題についてのお話は先ほどしましたけれども、上北町さんもお話しだったのですけれども、流域の支川、もう少し遡れば各家庭の下水に、もしくは上流部の土地の利用状況につながるのだと思いますけれども、そこら辺は、実は各市町村さん、もしくは漁業組合さん初め土地改良区の代表の方が来られていますので、おのおのもう一度、水の使い方ということを考えてみることが大切だと思います。浄化の話はありましたけれども、現状で悪化しているものをどういうふうに改善するかという1つの手法として今お話しになったのだと思うのですけれども、僕はその前があると思うのです。どのぐらい河川に対して負荷を軽減するかと。ゼロには絶対なり得ない。ですけれども、やはり軽減するための水の使い方というのはあるのだと。これからは、やはりそれは考えていかなければならないと思うのですね。
 少なくなったと言っても、ゼロにはなりませんから、そのときに浄化というのはどういうふうな形で考えていくのかということだと思うのです。もちろんコストの問題がありますので、いろいろなやり方はあるのだと思います。
 そういうふうな形で、個々の支川、もしくはもう少し上の、委員長は一番上流側からなどという話もありましたけれども、つながりがもちろん河川というのはありますので、そういうふうなことを1つ1つ考えていかなければ、大きな河川の水質の維持なり浄化なりは結果としてはなかなか難しい問題だというふうに思います。
 以上です。

◎座長
 西田先生、お願いします。

◎西田委員
 いろいろなお話が出ましたけれども、今お話があったような生態系の多様性というものが最近話題になって、それを保つようにしましょうという話が出ています。相反することとしては、資源数と多様性というのがあります。資源数の面ではシジミが非常によく採れるという意味で確保されています。では多様性はどうかという見方も、今後は多分必要になってくると思います。
 それから、小川原湖の特徴でが、常にこれは意識しながら現場に携わらないといけないと思うのですけれども、汽水性の湖であるということが一番大事なことです。もう1つは、優占種として二枚貝のシジミがいるということです。この2つの特徴が小川原湖にはあり、高瀬川河口域に存在するということです。汽水湖であるということと、優先種が存在する。そこで、生物の多様性もそうですけれども、生態系が非常に微妙なバランスの基に成り立っているのだということです。
 シジミと川の水質の話が別々に議論されていますけれども、今、シジミがどのぐらい湖をきれいにしているのかという研究をしていまして、大雑把に言うと20%ぐらいは湖の水質を浄化しているようです。プランクトンが汚れを食べて、そのプランクトンをシジミが食べているために、川の水をきれいにしてしまうと、今度は資源数が減る可能性がある。両方が関わり合っているのだということを意識して河川、湖の環境管理をしていかなくていけないということです。
 それから、環境なのか治水なのかという話がいつも問題になります。私個人の考えとしましては、人命にかかわる部分については環境よりも優先してほしいなと。治水にもいろいろありますけれども、人命被害が出るようならば、そこを最優先にやはり治水事業を進めてほしいと思います。
 以上です。

◎座長
 それでは、時間も、もう5分経過しましたので。

◎山下委員
 私は、とにかく人文学部で社会学を教えているという人間なので余計そう感じるのだと思うのですが、きょうのプリントを見ていて、非常に技術的な用語が多くて、技術的な要素から書かれているのですが、それはもちろん必要なのですけれども、これの結果は当然オープンにされていくわけですし、一般の人が見てもわかるような形になっていく必要があって、そのときに今回のこの表現の仕方では、私自身もこれを理解するのに、ようやく2時間ぐらいたって、ああ、こう書いてあるのだなというふうに理解したのですけれども、もう少し、特に生活している人の立場に立って言葉を使って表現していただきたいなということ。
 それから、生活の視点からの要素をもう少し入れていかないと、技術的にこの川をコントロールするような言葉のイメージになってしまうのではないかなと思いますので、そこいら辺、もう少し、次回よろしくお願いいたしますということです。

◎小山課長
 今回のプリントは非常に表現が技術的ということがございましたが、我々、この懇談会でさまざまな御意見を伺うという基本的な立場がありましたので、余り細い表現云々というのは一応控えるということで、大雑把な表現だけで来ました。
 今、山下先生の方からも非常に貴重な御意見をいただいていますので、これを一通りまとめて、方針の方に反映していきたいなというふうに考えております。
 以上でございます。

◎座長
 次回は、これまでに3回行われた懇談会の意見の内容が一覧表になって出てきます。この河川整備計画というのは総合的なものです。いろいろな形でいろいろなところに意見が出されています。この一覧表により全体のつながりがわかると思います。
 きょうは、ありがとうございました。もう時間も来ましたので、これで終わりたいと思います。

◎司会
 ありがとうございました。
 今、座長さんの方からお話がありましたとおり、当初の予定どおり、第4回の会議でまとめというストーリーで考えております。次回は12月か、1月とか、そのぐらいを考えております。
 それで、これまでの第1回から第3回、今回までのさまざま出していただいた意見を集約したやつを提示して、それをもとに我々は来年度の基本方針の審議会策定に向けて行動していきたいと思います。次回は、これまで出てきた意見を項目ぐらいにまとめたやつで提示したいなと思います。ありがとうございました。

4.閉    会
◎司会
 それでは、最後に閉会の挨拶を、私どもの副所長の方からお願いいたします。

◎中山副所長
 今、司会の方から挨拶というような形で言われましたけれども、挨拶は特段ございません。
 本当に本日は長時間にわたりまして、また、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。次回につきましては、とりあえずまとめていただくというような形で、またお願いしたいと思っております。
 以上をもちまして、第3回高瀬川水系河川懇談会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。


戻る