北上川の水質現況
用語解説
- 大腸菌群数【ダイチョウキングンスウ】
- 大腸菌群とは、大腸菌及び大腸菌と極めてよく似た性質をもつ菌の総称で、細菌分類学上の大腸菌よりも広義の意味で、便宜上、グラム染色陰性、無芽胞性の桿菌で乳糖を分解して酸とガスを形成する好気性又は通性嫌気性菌をいう。また、大腸菌群数とは、大腸菌群を定量的に表したもので、検水1L中の大腸菌群の集落数又は検水100mL中の大腸菌群の最確数(most probability number)[MPN]で表される。大腸菌群数は、し尿汚染の指標として用いられる。大腸菌は人体排泄物中に大量に存在する。大腸菌の検出によってすぐにその水が危険であるとはいえない。大腸菌自体は無害であるが、消化器系伝染病は常に大腸菌と一緒に存在するため、大腸菌の検出は消化器系伝染病の存在を疑うことができる。大腸菌が病原菌の指標として都合が良いのは、大腸菌が消化器系伝染病より抵抗力が強く、検出が容易なためである。つまり、大腸菌の検出されない水には病原菌も存在しないと考えて良い。対象は、河川、湖沼、海域。基準は、類型により異なり、50~100MPN/100mL以下と定められている。
- BOD(生物化学的酸素要求量)【ビー・オー・ディー(セイブツカガクテキサンソヨウキュウリョウ)】
- BODとは、水質汚濁を示す代表的な指標で、溶存酸素(DO)の存在する状態で、水中の微生物が増殖呼吸作用によって消費する酸素をいい、通常20℃、5日間で消費されたDOで表す。有機物量のおおよその目安として使われ、水の有機物汚染が進むほどその値は大きくなる。自然現象を利用した測定であり、自然浄化能力の推定や生物処理の可能性等に役立つ。しかし、化学工場排水や一部の合成有機化合物は測定対象に含まれない。魚類に対しては、渓流等の清水域に生息するイワナやヤマメなどは2mg/L以下、サケ、アユなどは3mg/L以下、比較的汚濁に強いコイ、フナなどでは5mg/L以下が必要とされている。対象は、河川。基準値は、類型により異なり、1~10mg/L以下と定められている。
- COD(化学的酸素要求量)【シー・オー・ディー(カガクテキサンソヨウキュウリョウ)】
- CODとは、水中の有機物などを酸化剤(過マンガン酸カリウム)で酸化するときに消費される酸化剤の量を酸素の量に換算したもの。CODは、水質汚濁を示す代表的な指標でBODとともに広く一般に用いられている。また、水質関係の各種法令で規制項目として採用されており、水質総量規制では指定項目とされている。CODは、有機物量のおおよその目安として使われ、水の有機物汚染が進むほどその値は大きくなる。BODに比べ短時間で結果がでるが、有機物のみでなく、第一鉄や亜硝酸塩などの無機物も酸化してしまう。BODとは一致した傾向を示さないこともある。対象は、湖沼、海域。基準値は、類型により異なり、湖沼では1~8mg/L以下、海域では2~8mg/Lと定められている。
- DO(溶存酸素量)【ディー・オー(ヨウゾンサンソリョウ)】
- DOとは、水中にとけ込んでいる酸素の量で、河川や海域での自浄作用や魚類等の水棲生物には不可欠なものである。水中における酸素の飽和量は気圧、水温、塩分等に影響されるが、水が清澄であればあるほどその温度における飽和量に近い量が含まれる。逆に汚水や塩化物イオンを含む水や水温の高い水ほどDOの値は小さい。通常河川のDOの値は、冬は高く、夏は低い。夏期においては、水中の植物プランクトンの光合成が活発になりDOが高くなることがある。なお、地下水中のDOは、酸素の供給状態が悪く、検出されないのが普通である。対象は、河川、湖沼、海域。基準値は、類型により異なり、2~7.5mg/L以上と定められている。
- pH(水素イオン濃度)【ピー・エイチ(スイソイオンノウド)】
- pHとは、水溶液中の水素イオン濃度[H+]の逆数の対数をとったものをいう。水の水素イオン濃度は、水中で生ずるあらゆる化学及び生化学的変化の制約要因となっており、また、分析におけるいろいろな化学反応の重要な制約因子でもある。通常河川では、6.0~8.5の間である。
- SS(浮遊物質量)【エスエス(フユウブッシツリョウ)】
- 浮遊物質とは、水中に懸濁している直径2mm以下の不溶解性の粒子状物質のことで、粘土鉱物に由来する微粒子や動植物プランクトン及びその死ガイ、下水・工場排水などに由来する有機物や金属の沈殿などが含まれる。浮遊物質は、一般的に清浄な河川水では粘土成分を主体に若干の有機物を含むものにより構成されることが多いが、汚染の進んだ河川水は、有機物の比率が高まる。SSの量は、水の濁り、透明度などの外観に大きな影響を与える。また、SSが生態系に与える影響には、魚類のえらを塞ぎ呼吸を妨げて窒息させる危険性や、太陽光線の透過を妨げ、藻類の同化作用を阻害させる等がある。対象は、河川と湖沼。基準値は、類型により異なり、河川では25~100mg/L及びごみ等の浮遊が認められないこと。湖沼では1~15mg/L及びごみ等の浮遊が認められないことと定められている。
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