<吾妻山の火山活動について>


Q6: 今回の検討成果をもとに「火山防災マップ」を更新されますか。

A6:

 火山噴火緊急減災対策砂防計画では、既往の火山防災マップの中では示されなかった過去約7,000年間を対象とした規模の噴火や現象などについても、噴火シナリオを設定しながらハード・ソフト対策を検討しています。

 火山防災マップの更新については、関係県・市町村の防災部局等と連携を図りながら検討を行なっていきます。

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Q7: 吾妻山は噴火が近いのですか。

A7:

 吾妻山は、今のところ火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候は認められません。

 吾妻山では2008(平成20)年 11月以降、大穴火口やその周辺での噴気活動はやや活発な状態が続いており、火山性地震もやや多い状態になっていますが、地殻変動の状況等に特段の変化は認められず、ただちに火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候は認められません。また、気象庁より発表される噴火警戒レベルは、2007年に吾妻山で導入後、現在までレベル1<平常>が継続しています。

 (火山活動状況は、平成 24年 10月 24日,第124回火山噴火予知連絡会資料による。なお、安達太良山および磐梯山でも吾妻山と同様に噴火の兆候は認められません。)

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Q8: 東北地方太平洋沖地震を受けて火山噴火は起きやすくなっているのですか。

A8:

 国内・海外の事例を見ると、特にマグニチュード8から9の巨大地震の後に、震源域の周辺にある火山で噴火が起きている事例がみられます。

 例えば、今から約 1100年前の 869年に起きた、三陸沖が震源と推定される貞観(じょうがん)地震という巨大地震では、今回の東北地方太平洋沖地震(3.11地震)と同じように東北地方の太平洋側に大きな津波被害を出していますが、その地震の2年後(871年)に、秋田県と山形県の県境にある鳥海山が噴火して大量の溶岩流が流れました。

 海外では、2004年のスマトラ沖地震(M9.0)の4ヶ月から3年後にかけて近隣の3火山が噴火しています。2010年に南米チリで起きたチリ地震(M8.8)では、地震の後に近隣のプジェウエ火山が50年ぶりに噴火しています。この火山は、 1960年のチリ地震(M9.5)の2日後にも噴火しました。また、1991年に20世紀最大の噴火が起きたフィリピンのピナトゥボ火山でもその前年のフィリピン地震(M7.7)が引き金だったと考えられています。

 このようなことから、今回の巨大地震を受けて東北地方で火山噴火が起きる可能性があるため、少なくとも数年以内は火山噴火に対して警戒しておく必要があると考えられます。

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Q9: 安達太良山、磐梯山と同時期に噴火する可能性はありますか。

A9:

 明確に連動しているという根拠はありません。ただし、約120年前に磐梯山(1888年)が噴火し、その5年後に吾妻山(1893年)が噴火、更にその7年後に安達太良山(1900年)が噴火するなど、近接した時期に3火山の活動が重なった事例はあります。

 また、特に吾妻山と安達太良山では、1995(平成7)から2004(平成16)年にかけて火山性微動や噴気の増大などがともに見られるなど、活動時期が連動しているようにもみえます。

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Q10: 吾妻山の火山噴火によって、生活にどのような影響がでますか。

A10:

 吾妻山の火山噴火では、火口から上空に巻き上がった火山灰の堆積(降灰)や火口から放出される火山ガス、川沿いに流れ下り平野部で氾濫する融雪型火山泥流や降灰後の土石流などが生活に大きな影響を及ぼすと考えられます。

 [降灰・火山ガス] 火山灰は、主に火口の風下側に対して広範囲に影響を及ぼします。特に、火山灰を吸い込むことによる呼吸器への影響、農作物や取水(水質汚濁)、交通網への影響、微細な灰粒子によるOA機器への影響などが考えられます。また、火山ガスが大量に放出された場合には、火山灰と同様に、主に火口の風下側で広範囲に影響が出ることがあります。

 [融雪型火山泥流・降灰後の土石流] 山に雪が多い時期には、噴火の熱で火口周辺の雪が一気に融解し、川や斜面の土砂や樹木を巻き込みながら大量の泥水が高速で流れ下る融雪型火山泥流が発生しやすくなります。

 また、火山灰が山体斜面を広く覆って堆積した場合には、雨水が火山灰によって地面に染み込みにくくなるため一気に渓流沿いに集まり、火山灰や岩塊、樹木などを巻き込んで土石流となって流れ下ります。

 融雪型火山泥流や降灰後の土石流が平野部で氾濫した場合、大量の泥水、岩塊や土砂、流木などによって、建物や道路、農作地が破壊されるなど大きな被害が発生すると考えられます。

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Q11: 火山災害予想区域図集のような泥流は本当に起こるのですか。

A11:

 福島市街地のある福島盆地は、歴史時代に長い時間をかけて、吾妻火山由来の土砂が荒川や須川、松川などから流れてきて堆積した火山山麓の扇状地になっています。

 吾妻山で火山泥流など「過去約 7,000年間で発生したと推定される最大規模の噴火による土砂移動現象」が発生した場合には、地形特性から、この扇状地の地形に沿って福島市街地まで流れたり、氾濫しやすいと考えられます。実際に、ハザードマップに示した災害予想区域図は、現在の地形を基に氾濫の様子を計算した結果を示しています。

 北海道の十勝岳では、大正 15年(1926年)5月に起きた噴火で火口周辺の雪が溶けて融雪型火山泥流が発生し、火口から20kmくらい離れた山麓の集落を襲い144名の犠牲を出す災害が起きています。このように火口から遠く離れた場所でも、火山泥流のような大規模な現象では被害が起きることがあると考えられます。

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Q12: 「噴火警戒レベル」とは何ですか。

A12:

 「噴火警戒レベル」は、火山活動の状況に応じた「警戒が必要な範囲」(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)を踏まえて、防災機関や住民等のとるべき行動について、気象庁が5段階(「レベル5:避難」、「レベル4:避難準備」、「レベル3:入山規制」、「レベル2:火口周辺規制」、「レベル1:平常」)に区分して発表する指標です。

 2007年 12月から順次導入され、2013年 1月現在、29火山で導入されています。

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