<火山噴火緊急減災対策砂防計画について>


Q1: 火山噴火緊急減災対策砂防計画は何に基づいて作成するのですか。

A1:

 国土交通省砂防部が平成19年4月に作成した「火山噴火緊急減災対策砂防計画策定ガイドライン」に基づいて作成します。

 このガイドラインは、砂防部局で行う対策として「緊急時に実施する対策」と「平常時からの準備事項」について、関係機関や自治体などで構成される委員会等において策定することとしています。

元のページへ戻る




Q2: なぜ今、この計画を作成する必要があるのですか。

A2:

 現在日本には110の活火山が分布しており、1990年の雲仙普賢岳、2000年の有珠山や三宅島、2011年の霧島山(新燃岳)など、火山噴火による災害が頻発しています。

 いつどこで起こるか予測が難しい火山噴火に伴う土砂災害に対して、緊急対策を迅速かつ効果的に実施し、被害をできる限り軽減(減災)するために、火山噴火緊急減災対策砂防計画を早急に作成する必要があると判断しています。

 平成19年に「火山噴火緊急減災砂防計画策定ガイドライン」が作成され、これに基づいて十勝岳、浅間山、富士山、霧島山(新燃岳)等、日本国内で緊急性の高い火山から順次検討が進められています。

 吾妻山の噴火警戒レベルは、現状で「1<平常>」であり、特に噴火が迫っている訳ではありません。しかしながら、噴火に備えて、緊急的なハード・ソフト対策や自治体や関係機関等で対策を準備していくために計画が必要です。

元のページへ戻る




Q3: 現行の火山防災マップと今回作成した火山災害予想区域図集の違いは何ですか。

A3:

 吾妻山では1893年(明治26年)の噴火規模を想定した火山防災マップが、福島市、猪苗代町、北塩原村により平成14年に公表されています。

 この火山防災マップは、過去200年程度の期間で発生した噴火を参考として作成されました。

 今回の「火山災害予想区域図集」は、既往の火山防災マップに記載されている噴火条件や被害範囲の想定も含めるとともに、現在明らかになっている吾妻山の火山活動の履歴より、過去約7,000年間に発生した噴火を参考に作成しています。したがって、今回の緊急減災対策砂防計画の噴火シナリオの一部として、現行の火山防災マップの想定条件が含まれることになります。

 さらに「想定外」をできるだけなくすため、既往の火山防災マップの中では示されなかった過去約7,000年間の噴火規模や現象などについても考慮しています。

 また、火口の位置も、過去約7,000年間の噴火を参考にして、既往の火山防災マップでは想定していない場所で噴火した場合も考慮するなど、複数の噴火シナリオを設定し、火山災害予想区域図集を作成しています。

元のページへ戻る




Q4: なぜ吾妻山では過去約7,000年間に発生した噴火を対象にしているのですか。

A4:

 吾妻山の火山噴火緊急減災対策砂防計画では、気象庁による活火山の定義(※1)や検討委員会における学識経験者の意見などを参考として、過去約1万年間程度の吾妻山の噴火履歴を対象としています。

 吾妻山で過去約7,000年間に発生した噴火を対象にした理由は、近年の研究論文(※2)で過去約7,000年間の噴火履歴が詳細に把握されたことや、この研究において、地表にできる火口位置は変わることがあるものの、地下からのマグマ供給系は過去約7,000年間で基本的に不変であると考えられていることなどから、過去約1万年間の活動傾向もほぼ同様であると想定しているためです。

 なお、今後、過去約1万年間における噴火活動について新しい知見が得られた場合には、必要に応じて噴火シナリオの追加や見直しなども検討していきます。


(※1)気象庁の活火山の定義「概ね 1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」(平成15年,火山噴火予知連絡会による)。

(※2)参考文献:山元 孝広,「福島県,吾妻火山の最近7千年間の噴火史:吾妻−浄土平火山噴出物の層序とマグマ供給系」地質学雑誌,第111巻,第2号,p94−110,2005.

(参考)現在検討を進めている近隣の安達太良山、磐梯山の火山噴火緊急減災対策砂防計画においても吾妻山と同様に、過去約1万年間程度を対象として噴火シナリオを検討することとしています。

元のページへ戻る




Q5: 今回の資料を受けて住民は何に注意したらよいですか。また、噴火シナリオを受けて行政などで何か対応をとるのですか。

A5:

 住民の方々については、火山災害は種類が多いことや、雪の多い時期に噴火が発生した場合には市街地に影響が出やすい融雪型火山泥流が発生する可能性があることなどを知っておいて頂きたいと考えています。また、吾妻山の火山活動状況について気象庁から毎月「火山活動解説資料」が気象庁ホームページで公表されているので、関心がある方は参考として頂きたく考えています。

 噴火シナリオを受けた行政等の対応としては、今回の資料は吾妻山の火山噴火に伴う土砂災害に対して砂防部局が実施すべき事項を中心としてまとめたものでありますが、噴火対応には砂防部局以外の関係機関が実施する対応も多く含まれますので、平常時からの準備事項や緊急対策など関係機関との連携等について今後調整を図っていきます。

元のページへ戻る