<緊急ソフト対策について>


Q16: 火山はどのように監視されているのですか。

A16:

 吾妻山の場合、火山監視機器は、気象庁が雨量計、地震計、空振計(噴火の発生を空気の振動で検知)、傾斜計、風向風速計、積雪深計、GPS(地殻変動測定)、監視カメラなどを整備して観測を行っています。

 気象庁以外では、東北大学や防災科学研究所による地震計等や、国土地理院によるGPS機器等が設置されています。

 これ以外に、国土交通省の監視カメラや雨量計、福島県による雨量計なども通常の土砂災害対策としてだけでなく噴火時の土砂移動現象に対して活用できます。

 なお、国土交通省では現在、想定火口に近い浄土平から福島河川国道事務所まで光ケーブルを敷設する整備(2012年末現在、暫定的に回線を確保)を進めており、想定火口付近の監視カメラ画像など観測情報を取得しています。今後、一般配信を予定しています。また、2011年 1月の霧島山(新燃岳)の噴火時にも実施されたように、火山が噴火した際には、国土交通省やその他関係各機関による緊急的な調査や観測が実施されます。

元のページへ戻る




Q17: リアルタイム・ハザードマップとは何ですか。

A17:

 大規模な火山活動が始まると、噴火口が新たにできたり、地面の隆起等で地形が大きく変わることがあります。また、土石流などが繰り返し発生すると谷が埋められて水が流れる方向が変わったり、氾濫しやすい地形になることがあります。

 リアルタイムハザードマップは、このような時々刻々の変化に対応するもので、プレ・アナリシス型(データベース方式)とリアルタイム・アナリシス(逐次計算方式)の2種類があります。

 プレ・アナリシス型(データベース方式)とは、あらかじめ複数の噴火事象を想定して、その計算結果をデータベースとして準備しておき、噴火現象や土砂移動状況により近似条件のハザードマップを検索することで、数値シミュレーション計算に要する時間を短縮化するものです。

 リアルタイム・アナリシス型(逐次計算方式)とは、刻々と変化する噴火現象や地形などを計算条件に取り込んで、噴火現象や土砂移動の発生が予測されたときに、その時の地形や噴火の条件に応じた数値シミュレーション計算を行い、緊急的に新たなハザードマップを作成するものです。

元のページへ戻る




Q18: 火山防災副読本はどのような経緯で作成し、どこに配布したのですか。

A18:

 緊急減災対策砂防計画を策定する検討委員会において、磐梯山の小冊子を作成して火山防災学習の実績を積んでいる委員からの提案を受けて、福島県内3火山版を作成することとしました。

 作成した副読本は、平成 24年3月に発行したものでA5版、約50ページです。

 配布先は、3火山関係 10市町村(山形県 1市、福島県9市町村)と、市町村内の全ての中学校(全94校)に配布し、福島県立図書館と関係市町村の図書館にも寄贈しました。

 この副読本は、中学校での課外授業などにも使用されています。なお、福島河川国道事務所ホームページで公開しています。

 http://www.thr.mlit.go.jp/fukushima/sabo/kazan_fukudokuhon.pdf

元のページへ戻る




Q19: Xバンド MPレーダとは何ですか。

A19:

 X(エックス)バンド MP(エムピー)レーダは、近年導入が進められているレーダ雨量計です。従来のレーダ雨量計(Cバンドレーダ)よりも観測頻度が5倍(配信周期が従来5分間隔→Xバンド1分間隔)で、16倍の高分解能(従来1kmメッシュ→Xバンド250mメッシュ)での観測が可能です。

 この特徴により、局所的な集中豪雨(いわゆる「ゲリラ豪雨」)の観測ができるため、精度の高い雨量情報が得られ、火山噴火時においても防災対策に活用できるようになります。

 現在、吾妻山に関連して、伊達市、田村市で整備中です。なお、Xバンド MPレーダの雨量情報に関しては、国土交通省ホームページ(XRAIN雨量情報)で公開しています。

 http://www.river.go.jp/xbandradar/

元のページへ戻る




Q20: 各機関の「顔の見える関係」はどのように構築するのですか。

A20:

 先行している他地域の火山を参考として、福島県の防災部局を主体として設置されている県の火山防災協議会などを基本として、必要に応じて、その他の機関にも参加してもらうなど既存の組織を拡充して効率的に実施する方法などがあると考えています。

 例えば、栃木県との県境付近にある那須岳の地元の自治体などで定期的かつ柔軟に会合がもたれている火山防災協議会があります。

 また、秋田県の秋田駒ヶ岳のように緊急減災対策砂防計画の検討メンバーを中心として、委員会が終了した後も防災講演会などを開催して各機関のつながりを持たせている例などがあります。これらも参考としながら「顔の見える関係」づくりを目指したいと考えています。

元のページへ戻る