単断面は高水敷がなく、水位による水面幅の大きな変化がない構造です。一方、複断面には高水敷があり、水位により水面幅が大きく変化する特徴を持っています。
川においては、常に土砂が上流から運ばれて堆積したり、逆に、河岸が浸食されて下流に流れる作用が働いています。この堆積と浸食のバランスがとれた、自然な状態で維持できる水面の幅というものが、川毎にあります。一方、洪水の水を川からあふれさせないためには、さらに広い幅を確保する必要があります。
このため、一般に、幅の広い川の場合には、河道を高水敷と低水路の2段に分けた複断面にして、ふだん水が流れる幅と、洪水の時に水が流れる幅を変えているのです。
高水敷の上では洪水の時に流れる水の水深も浅くなり、流れる速度も遅くなります。従って、洪水時に堤防を守る上でも高水敷の存在は好都合です。
また、高水敷を設けることによって、ふだんは、その場所を様々な用途に利用できるという利点もあります。

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